レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年06月07日
- 登録日時
- 2023/10/24 18:54
- 更新日時
- 2023/11/27 14:05
- 管理番号
- 中央-1-0021682
- 質問
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解決
北海道では、海獣(トド、アザラシ)が 漁業被害を起こしていると聞いた。 駆除のため処分されているトドやアザラシはどのように活用されているのか、年間どれくらいの数なのか調べたいが、どんな資料を見たらよいか。
また動物園・水族館での屠体飼育に関する本はあるか。
- 回答
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(1)駆除のため処分されているトドやアザラシの活用法、年間の処分数が分かる資料
≪図書≫
・『なぜ生態系を守るのか?』松田裕之/著 NTT出版 2008年
p98-107「トドの管理と知床世界遺産」において、トドの漁業被害や駆除、トドの絶滅リスク等について記述している。p99に「北海道のトドの駆除数と漁業直接被害額」の図表あり。(1958~1998年のもの)
・『寝ても覚めてもアザラシ救助隊』岡崎雅子/著 実業之日本社 2022年
p144-147 アザラシによる漁業被害や、「北海道アザラシ管理計画」について記述している。2015年4月1日より始まった「北海道アザラシ管理計画」の中で、科学的根拠に基づくアザラシの適切な個体数管理(捕獲)が行われ、2018年度には106頭のゴマフアザラシが捕獲されたとのこと。
・『北の海獣たち トド・アザラシ・オットセイと共存する未来へ』和田一雄/著 彩流社 2010年
p181-187 トドの食害について
p188-202 ゼニガタアザラシの食害について
p205-227 ゼニガタアザラシの保護について
p229-249 トドの保全について
≪雑誌≫
・「TEMPO タウン 知床でトド駆除やめろとユネスコ様は言うけれど」『週刊新潮』2021年8月26日号 p137
知床で行われているトド駆除について、IUCN(国際自然保護連合)が問題視しているという記事内で、駆除されるトドは年間15頭前後との記載あり。
≪新聞≫
・「トド漁業被害深刻 駆除上限数を倍増へ 肉や皮の利活用が課題」産経新聞 朝刊 24面 2014.8.8
記事中に、駆除したトド年間約250頭のうち、50~60頭はトドの肉を使った「トドカレー」の缶詰やレトルトカレーとして加工・消費されているが、残りの約200頭は利用できていないとのこと。また、かつては、トドの皮は衣服やかばん、脂肪は油として使われていたこともあったとのこと。
≪インターネット≫
・水産白書(水産庁)
https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/(2023.11.7最終確認)
毎年度、「第3章 水産資源及び漁場環境をめぐる動き」の「(6)野生生物による漁業被害と対策」の項で、トドのことについても若干触れられている。ただし、具体的な駆除数や駆除後の活用法については記述なし。
・齊藤真生子「海獣類による漁業被害」『調査と情報』No.844 2015.1.22 p.巻頭1p,1-13
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_8943328_po_0844.pdf?contentNo=1(2023.11.7最終確認)
北海道における海獣類による漁業被害について、詳しくまとめられている。
p5(PDF6枚目)に、平成20年~平成26年までの「トド採捕数の推移」の表がある。
p2(PDF3枚目)にある「表1 海獣類の法的位置づけと保全状況評価」によると、トドは採捕数枠内の制限で駆除を実施しているが、ゼニガタアザラシについては、「学術研究に限定」して、ゴマフアザラシについては、「学術研究、被害防止、個体数調整等」が捕獲許可の条件となっている。
・鳥獣関係統計(北海道版)
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/toukei/tyozu.html(2023.11.7最終確認)
鳥獣保護管理及び狩猟行政に関し、狩猟者の方々からの狩猟報告、北海道知事の許可権限に係る鳥獣捕獲許可、鳥獣保護区等指定状況等の資料を集計したもの。
たとえば最新の統計である令和3年度の鳥獣関係統計のPDFファイルを見ると、p26(PDF29枚目)の「10 令和3年度 北海道知事の鳥獣捕獲許可による捕獲鳥獣数 (6)被害防止を目的としたもの ~獣類」の表にゴマフアザラシがあり、令和元年度~令和3年度の捕獲数が分かる。
・令和3年度海獣類による漁業被害状況について(北海道庁水産林務部水産局水産振興課)
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/6/6/7/9/7/2/8/_/040824-02kaijyuurui.pdf(2023.11.7最終確認)
海獣類の漁業被害状況についてまとめた最新の発表。わかるのは被害額のみだが、参考に。
≪問い合わせ先≫
トドなどの海獣類による漁業被害については、「北海道庁水産林務部水産局水産振興課」が担当課として取り組んでいる。年間駆除数や、駆除個体の活用法については、こちらに問い合わせると情報を得られるかもしれないため、以下のページを紹介。
・北海道庁水産林務部水産局水産振興課
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/sr/ssk/sigoto.html(2023.11.7最終確認)
(2)動物園・水族館での屠体飼育に関する資料
「屠体飼育」では情報が出てこず、「屠体給餌」ならば、参考になる資料がいくつか見つかった。
そのため、「屠体給餌」についての資料を紹介して回答とした。
≪図書≫
・『狩猟を仕事にするための本』東雲輝之/著 秀和システム 2021年
p163「動物園の餌に使う『屠体給餌』」
ジビエペットフードの一例として動物園での屠体給餌が挙げられている。
・『獣害列島 増えすぎた日本の野生動物たち』田中淳夫/著 イースト・プレス 2020年
p144-147「野生動物の資源化と駆除の担い手」の項で、大牟田市動物園で行われた屠体給餌について記述あり。
≪雑誌≫
・「TEMPO タウン ジビエ振興は愛称募集より屠体給餌支援でやれ」『週刊新潮』2021年12月23日号 p127
羽村市動物公園でシマハイエナに対して実施された屠体給餌の例あり。
≪新聞≫
・「日曜の朝に=駆除される命 大切に」読売新聞 朝刊 29面 2020.11.8
・「屠体給餌広がる 獣害問題 啓発にも期待」読売新聞 朝刊 10面 2020.12.25
・「駆除動物次の命に 福岡から全国へ 捕獲後、動物園の餌に提供」毎日新聞 夕刊 9面 2021.4.21
・「鹿、皮や骨付きのまま飼育動物へ 全国24施設に拡大 命のリレー 屠体給餌 愛知・東栄町 住民ら年3トン超販売」日本農業新聞 朝刊 13面 2023.1.6
・「農村の新潮流=広がる屠体給餌 命をつなぐ 害獣駆除は必要/活用わずか1割 「無駄」にせず いただきます」日本農業新聞 朝刊 14面 2023.1.18
・「「まいちゃん」のニュース教えて!=広がる屠体給餌 捕獲鳥獣を有効利用 導入増へ行政助成が鍵」日本農業新聞 朝刊 2面 2023.1.28
≪インターネット≫
・「屠体給餌〝命のリレー〟全国24施設に拡大 鹿肉を皮や骨付きで」(日本農業新聞)
https://www.agrinews.co.jp/society/index/128541(2023.11.7最終確認)
日本農業新聞2023年1月6日付の記事。屠体給餌を行う主な動物園24カ所の一覧あり。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 哺乳類 (489 10版)
- 狩猟 (659 10版)
- 参考資料
- キーワード
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- 海獣被害
- 屠体給餌
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000340121