レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年3月24日
- 登録日時
- 2020/03/25 00:30
- 更新日時
- 2020/03/27 11:20
- 管理番号
- 2019-0006
- 質問
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解決
戦前に呉羽の呉羽紡績の場所に、呉羽航空機という会社があったらしい。その会社について調べたい。
- 回答
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◎回答資料
【1】『富山県大百科事典』 p.251
…<呉羽自動車工業>の項に「1944(昭和19)年呉羽航空機として設立、翌年終戦により呉羽工業と改称、バス車体の製造を開始、1950年現社名になる」とあり。
【2】『富山市史 第二巻』 p.1175
…「昭和十九年二月十日 呉羽紡績会社では航空機の急速な増産への国家の要請に応えて、紡績から重工業へ転換することを決し、呉羽、大門の二工場をもつて呉羽航空機株式会社の設立方を許可申請中のところこの程許可があったので~」との記載があり、昭和19年に「呉羽紡績会社」が「呉羽航空機」に転換したことがわかる。
【3】・【4】『富山県史』
…「大建産業株式会社呉羽工場は呉羽航空機呉羽工場に転換し航空機二機を製作し」(近代下)、「平和産業への転換状況として呉羽工業福野工場が農機具、家庭用品 呉羽工業呉羽工場が製材、木工家具に転換」、「呉羽航空呉羽は錦糸、綿布、大建産業は合板、漆器、家具にそれぞれ転換」(現代)とある。
三菱ふそうバス製造(株)HPの会社沿革より、
呉羽自動車工業(1950)→新呉羽自動車工業(株)(1986)→三菱ふそうバス製造(株)(2003)と改称したとある(<呉羽航空機>については記載なし)。 (参照 2020-03-24)
*以上より、呉羽紡績会社→(S19)呉羽航空機株式会社→(S20)呉羽工業→(S25)呉羽自動車工業→(S61)新呉羽自動車工業(株)→(H15~)三菱ふそうバス製造(株)と変遷したと考えられる。
渋沢社史データベースに『呉羽紡績30年 : 1929-1959』のデータあり。 (参照 2020-03-24)
「1929年(昭4)富山県西呉羽村に工場を作り呉羽紡績(株)設立、1934年(昭9)富山紡績を合併する。1944(昭19)年国策で三興、大同貿易と合併し大建産業(株)となる。戦後解体され繊維部門は1950年(昭25)呉羽紡績(株)として再発足。30年史は富山紡績の沿革を記した前史と、沿革・現況・回想・資料からなる。(中略)[1966年(昭41)東洋紡績(株)と合併]」。目次情報に「呉羽航空機」あり。
また、同データベースより【5】『伊藤忠商事100年』にも<呉羽航空機>についての記述が複数個所確認できた。
【6】『しらべる戦争遺跡の事典 続』 「呉羽航空機跡」の項に紡績部門を中心とした歴史等について記述あり。
参考資料より【7】『とやま近代化ものがたり』、【8】『富山県の近代化遺産』にも記載あり。
*以上より、戦前、紡績会社として設立された呉羽紡績は、戦禍のなか航空機会社へ転換、戦後は平和産業へ再転換し複数の会社への分割、吸収合併を経て今に至ると思われた。
- 回答プロセス
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郷土事典、市史、県史を確認。
インターネットよりキーワードで検索。
社史データベースを確認。
戦争に関する資料を確認。
- 事前調査事項
- NDC
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- 北陸地方 (214 10版)
- 企業.経営 (335 10版)
- 日本の建築 (521 10版)
- 参考資料
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- 【1】『富山県大百科事典』 富山新聞社大百科事典編集部/編 富山新聞社 1976 T031/ト
- 【2】『富山市史 第2巻』 富山市史編修委員会/編 富山市 1960.4 T232/ト/2
- 【3】『富山県史 史料編7』 富山県/編 富山県 1983.12 T209/ト/1-7-1
- 【4】『富山県史 史料編8』 富山県/編 富山県 1980.2 T209/ト/1-8-1
- 【5】『伊藤忠商事 100年』 伊藤忠商事/編 伊藤忠商事 1969 335/イ
- 【6】『しらべる戦争遺跡の事典 続』 十菱 駿武/編 柏書房 2003.6 216/シシ/2
- 【7】『とやま近代化ものがたり』 富山近代史研究会/編著 北日本新聞社 1996.4 T209/ト
- 【8】『富山県の近代化遺産』 富山県教育委員会/編 富山県教育委員会 1996.3 T521/ト
- キーワード
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- 呉羽紡績
- 呉羽航空機
- 社史
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000276544