レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011/02/21
- 登録日時
- 2011/03/03 02:00
- 更新日時
- 2022/12/22 16:11
- 提供館
- 京都市図書館 (2210023)
- 管理番号
- 右中-郷土-35
- 質問
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解決
京都市公会堂(岡崎公会堂)の歴史が知りたい。現在は京都市美術館の別館として使用されている建物。
- 回答
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京都市美術館の別館は大正6年(1917)に完成した岡崎公会堂の東館跡地に建っています。昭和5年(1930),火事で東館が全焼した後に再建された2代目です。元々の公会堂には本館と東館がありましたが,両方とも初代は現存していません。本館は昭和9年(1934)に室戸台風で崩壊して以来昭和35年(1960)まで再建されなかったため,長年この2代目東館(現京都市美術館別館)が岡崎公会堂の呼び名で親しまれてきました。歴史については【資料4】をご覧ください。概要は以下のとおりです。
大正6年(1917)6月 岡崎公会堂が新築される。東館あり。
昭和5年(1930)5月 岡崎公会堂東館が全焼。
昭和5年(1930)8月 公会堂東館が再建。(現在,京都市美術館別館となっている建物)
昭和9年(1934)9月 室戸台風により,公会堂本館が完全崩壊。
昭和20年(1945)9月 公会堂(4.721坪)がGHQに接収された。
昭和27年(1952)10月 公会堂が接収解除。
昭和31年(1956) 旧公会堂本館跡に京都国際文化観光会館(京都会館)を建設することを計画。
昭和35年(1960)6月 京都会館開館。従来の公会堂敷地1.892平方メートルは京都会館別館とした。
平成12年(2000)4月 京都会館別館を改修整備し,京都市美術館別館としてオープン。
- 回答プロセス
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●「京都市公会堂」は,京都では「岡崎公会堂」の名で親しまれている建物のことと思われるので,岡崎公会堂をキーワードに調査する。
【資料1】「岡崎公会堂」の項目あり。
・大正6年6月,京都市が市民の集合場所として左京区岡崎公園内に建設した施設。
・大正御大典挙行時の下賜金などを資金とし,御大典の際,二条離宮(二条城)内に新築された大饗宴場の一部を移して建設。
・本館は昭和9年の室戸台風で倒壊。
・現在の建物は昭和4年5月焼失し,翌5年8月に再建された東館で,京都会館の別館に使用。
→【資料1】の発行された1984年の時点では京都会館の別館であったようだ。
●京都市美術館HPから
【資料2】京都市美術館別館は,2000年4月に京都会館別館を改修整備したとある。当館が所蔵している京都市美術館の発行物も確認したが,詳しい経緯やそれ以前の歴史については情報なし。
※(2022年12月追記)
令和2年(2020)4月に京都市美術館は京都市京セラ美術館にリニューアルし、HPも変更になったため、現行のHPには平成12年(2000)の改修整備について見当たらず。京都観光NaviのHPに“京都市美術館別館”あり。(最終確認日 2022年12月22日)
●京都の歴史から
【資料3】「京都会館を開設する」文化局事業概要 昭和36年度より
・当初は本館と東館から成っていたが,東館は昭和4年5月の火災により焼失し,本館も昭和9年9月の台風で大破,再建不能となって廃棄した。
・現在の公会堂は焼失した東館跡に昭和4年12月着工し,昭和5年8月竣工したもので,終戦後は進駐軍に接収され,昭和27年10月解除後再び公会堂として一般の用に供されてきた。
●京都市美術館および別館は左京区の岡崎公園内にあるので,岡崎公園の歴史から
【資料4】記述的ではなく,テーマごとに行政文書を年代順に並べているので分かりにくい。
公会堂に関する情報を整理すると,上記回答の概要(大正6年6月岡崎公会堂新築~昭和35年6月京都会館開館。従来の公会堂敷地1.892平方メートルは京都会館別館とした。)となる。
●京都会館別館であった公会堂が,京都市美術館の別館として利用されるようになった経緯
【資料5】の京都市市会会議録検索システムより,キーワード“京都会館別館 京都市美術館”で検索すると平成10年5月13日の市議会でこの件が取り上げられていたことが分かった。インターネット上でも内容の閲覧はできるが,念のために当館所蔵の冊子体資料を確認した。
↓
【資料6】京都会館別館を整備することについて質疑応答あり。その中で新しい美術館の整備計画について,現状では用地の確保が難しく,財政的にも厳しいので,京都会館別館をギャラリー機能を持つ第二の美術館として整備することにしたと説明している。
- 事前調査事項
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京都市公会堂は京都では通称「岡崎公会堂」と呼ばれていた建物で,現在は京都市美術館の別館となっている。
質問者持参の資料に建築については詳しく載っていた。
- NDC
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- 近畿地方 (216 8版)
- 地方自治.地方行政 (318 8版)
- 衛生工学.都市工学 (518 8版)
- 参考資料
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- 【資料1】『京都大事典』(佐和隆研ほか編集 淡交社 1984)p134
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【資料2】『京都市美術館HP』http://www.city.kyoto.jp/bunshi/kmma/(最終確認2011年2月10日)
※リニューアル後の京都市美術館HPには情報見当たらず。
『京都観光Navi』https://ja.kyoto.travel/に「京都市美術館別館」あり。
(最終確認2022年12月22日) - 【資料3】『京都市政史 第5巻』(京都市市政史編さん委員会編 京都市 2006)p708
- 【資料4】『岡崎公園沿革史』(京都市理財局財産管理課編 京都市 1997)
- 【資料5】『京都市市会会議録検索システム』https://ssp.kaigiroku.net/tenant/kyoto/MinuteSearch.html (最終確認2022年12月22日)
- 【資料6】『京都市会会議録 平成十年』(京都市会事務局 1998)p136~139
- キーワード
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- 公会堂
- 岡崎公会堂
- 京都会館
- 京都市美術館
- 岡崎公園
- 京都市公会堂
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000081028