1.バラキレフ作曲『イスラメイ』について、『最新名曲解説全集』を確認。
「1866年から69年にかけて作曲した「イスラメイ」と、同じころに作曲にかかり、1882年に完成した交響詩「タマーラ」とが、コーカサス旅行の直接の産物である。しかし「タマーラ」はもともと「レズギンカ」の名で作曲を進めた管弦楽曲の改作であり、「イスラメイ」はこの「レズギンカ」のスケッチから作られたとされるので、両者に共通の要素は多い。イスラメイはコーカサス山脈の北側のカバルディノ地方およびアドゥイゲイ地方で行われる速い民俗舞曲で、同じコーカサスのダゲスタン地方のレスギ人の舞曲として知られるレズギンカの一種であり、八分の六拍子風のリズムをもっている。」
2.バラキレフ作曲『交響詩タマーラ』について、『最新名曲解説全集』を確認。
「・・・1860年の沿ヴォルガ地方の旅行、1862年のコーカサス地方の旅行を行ってこれらの地域の民謡・民俗音楽を直接採譜し、・・・トルコ・イスラム系音楽からは、彼自身の「イスラメイ」や「タマーラ」が生みだされた。・・・はじめはコーカサスの山間民族レズギ人の民謡舞曲である「レズギンカ」を題名にするつもりであったといわれ、ピアノ曲「イスラメイ」はそのスケッチから作られたらしい。」
3.バラキレフ作曲『イスラメイ』について、所蔵している楽譜『The Russian five : the selected works for piano=「ロシア五人組」集』の解説を確認。
「「イスラメイ」はアディゲイ人とカバルド人の音楽で、一種の舞曲である。レズギンカ Lezghinka (lesghinka) は、コーカサス地方のレズギ人に起源を持つグルジアの民族舞曲。急速な6/8拍子か2/4拍子で、同一旋律を反復し、踊り手は周りからの掛け声と手拍子で回転を繰り返す。イスラメイはカスタネット系の打楽器(三・七枚の板を紐でつなぎ、撃つ楽器)プハチチ "pkhachichi"を伴奏に、擦絃楽器やガルモーニで演奏される。他に舞曲ウッヂudzh、カファkafa,がある。アディゲイ人の音楽の民謡oredは2連符と3連符の交替が特徴で、全音階的である、ガバルド人の音楽は、英雄や勤労を歌うuered、祝いの歌khokh、哭き歌gybzhekがあり、全音階的だが、古い様式の音楽はタタールの影響で5音階である。」
4.バラキレフ作曲『イスラメイ』と『交響詩タマーラ』について、所蔵している録音資料の解説を確認したが、詳しく説明されているものは所蔵していなかった。
5.音楽事典・辞典の確認
・『ニューグローヴ世界音楽大事典』・・・「ソヴィエト連邦」の項目は地域別に民俗音楽の解説があるが、踊りについては触れられていなかった。ほかに「トレパーク」の項目があるが、簡単な説明。
・『音楽大事典』・・・「カフカス」の項目では、行政単位に基づいて、簡単に民族音楽の特徴、楽器などについて説明している。3の楽譜の解説にあった楽器「プハチチ」の写真が掲載されている。ほかにレズギンカ」、「トレパーク」、「イスラメイ」の項目がある。
・『ロシア音楽事典』・・・「イスラメイ」「トレパーク」「レズギーンカ」の項目がある。
・『世界の民族音楽辞典』・・・「コーカサスの音楽」の項目あり。コーカサス全体の説明。
6.音楽以外の事典を確認
『ロシアを知る事典』・・「民族舞踊」の項目があるが、詳しくない。
7.OPACを件名「民族音楽 ロシア」で検索。さらに「コーカサス」「カフカス」「グルジア」「トレパーク」「レズギンカ」「イスラメイ」「Caucasus」「Gruziya」「Trepak」「Lezghinka」「Lesghinka」「Islamei」で絞り込み。
・「コーカサス」で下記1点ヒットした。
『北コーカサス、 ウラル、 シベリアの音楽』・・・ 日本語の解説がついているが、詳しい情報はなかった。録音として、カバルダ、アディゲ、レズギなどの音楽が収録されている。またカバルダの踊りとして「レズギンカ」が収録されている。
・「trepak」で下記1点ヒットした。
『Sibirskaya matanja』・・・音のみで解説なし。