レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年08月10日
- 登録日時
- 2022/10/16 14:01
- 更新日時
- 2022/11/10 11:18
- 管理番号
- 2022-10
- 質問
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解決
栄福寺のいざり車に関する文献について詳しく知りたい。
- 回答
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1 参考文献として提供のアドレスは、デジタル版の新聞記事。紙媒体新聞では、毎日新聞2017年8月31日22面(愛媛版)、朝日新聞2017年8月25日25面(愛媛版)に掲載されていることを確認。
2 郷土歴史雑誌の内容タイトル等の検索も可能な、当館蔵書検索データベースでは、栄福寺・いざり車・箱車等で関連文献を見つけることができなかった。
3 1992年5月以降の新聞記事が検索可能な愛媛新聞データベースにおいて、関連記事を検索すると、次の2件があったが、いずれも栄福寺の紹介記事の中の数行の記述のみ。
(1)愛媛新聞1994年2月28日1面 「光と風の一すじの道を(86)府頭山栄福寺 四国霊場遍路」
「本堂の縁に箱車が奉納されている。付添人に押され、同寺まで来て、大師からおかげを授かったのだろうか。「高知県沖の島村字鶴ケ島 宮本武 十五歳男」と記している。本人と付添人の感激が目に映るようだ。」
(2)愛媛新聞2008年7月10日9面 「四国遍路ぶらり寄り道(50)57番札所 栄福寺(えいふくじ)<今治市玉川町八幡> 体に関する地蔵 点在」
「足の不自由な少年が箱車に乗って巡礼していたところ、同寺で転倒。すると歩けるようになったことから「足に御利益がある」との信仰を集めるようになった。箱車は本堂に奉納されている。」
4 愛媛県生涯学習センターがインターネット上に公開しているデータベース「えひめの記憶」(「愛媛県史」等が検索可能)において、「箱車」・「栄福寺」を手掛かりに検索すると、次の2件の記述があった。
http://www.i-manabi.jp/system/regionals/regionals/search
(1)【資料1】 p169
岡崎忠雄氏の紀行文の記述の一部
「車は五十七番栄福寺へ。(略)箱車や松葉杖の古びたのが堂の横においてあるのは、ご利益を受けた人の遺物であろう。」
(2)【資料2】 p126-127
「また、本堂のぬれ縁には今も古びた松葉杖を何本も乗せた箱車が奉納されているが、西端さかえは「本堂に『高知県沖ノ島宮本武正十五歳男、イザリガタチマシタ、奉納』と書いた古い貼紙があった。」と記し、梅村武氏によると昭和8年(1933)奉納の日付があるという。」
5 4(2)に書かれている内容をp130の注により確認すると次のとおり。
(1)【資料3】 p231
「本堂に「高知県沖ノ島宮本武正十五歳男、イザリガタチマシタ、奉納」と書いた古い貼紙があった。」
(2)【資料4】 p24-25
「本堂ぬれ縁には、古いリンゴ箱を組み合わせたような粗末なイザリ車が奉納されている。そして車の中には古びた松葉杖が何本も乗せてある。一見ごみ捨場に捨てられているようなしろもの。これも、あらゆる階層の庶民を対象とする四国霊場札所ならではの光景であろう。大師のおかげを戴いて、イザリが治ったという話は八十八ヶ所霊場中には多い。だが此のイザリ車には昭和八年七月十六日奉納の日付があり、そう古い話ではない。
何時のテレビか忘れたが、霊場ミニ紀行で住職が話していた。イザリ車に乗った遍路が犬に引かせて栄福寺山道を登っていると、犬が参道わきの流れを見つけ、急に水を飲もうと川に入り、イザリ車は遍路を乗せたままひっくり返されてしまった。そのとたんそれまでイザリであった遍路の足が立つようになったという。遍路は大師さまのおかげと、イザリ車を奉納していったとのこと。後で聞いた話であるが、奉納者は高知県沖ノ島の宮本武正さんで当時十五歳であったとのこと。」
6 他に四国八十八ヶ所関連の書籍に当たると同程度の記述は見つかる可能性があるが、当館に多数の所蔵があり、職員の手に余る調査となるため、以上とする。なお、『玉川町誌』(玉川町 1984年)の栄福寺の項目(p915-917)には、記述がなかった。
- 回答プロセス
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事前調査済の資料を確認した後、当館蔵書データベース、愛媛新聞データベース及び「えひめの記憶」データベースを検索。
- 事前調査事項
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四国のお遍路に関して、足の不自由な人が巡礼することがある。そこで、いざり車(箱車)が使われていたことがこれまでの文献より判明している。いざり車とは現代でいう車椅子のようなもの。今治市の栄福寺にはいざり車(箱車)があるようだ。
https://88shikokuhenro.jp/57eifukuji/
ウェブサイトには「昭和8年」、朝日新聞の記事には「栄福寺に伝わる話によると、1933(昭和8)年に足の不自由な15歳の少年が荷車「箱車」に乗って寺を参拝。その際に、連れていた犬に引っ張られて転倒した。思わず立ち上がったら、足が治っていたのに気づいたという。少年はこのお礼に箱車を奉納した。
「奉納された」と寺に伝わる箱車は、後ろから押して進む木製の三輪車で、長さ約1メートル、幅約0・5メートル、高さ約0・8メートル。ふたを開けると、子ども1人が入れるスペースがある。現在も「寺の宝物」として本堂脇で公開されている。」
- NDC
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- 仏会 (186)
- 参考資料
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- 【資料1】『四国遍路のあゆみ』(愛媛県生涯学習センター 2001年)<当館請求記号:K186.9-シコ-2000>
- 【資料2】『伊予の遍路道』(愛媛県生涯学習センター 2002年) <当館請求記号:K186.9-イヨ-2002>
- 【資料3】『四国八十八札所遍路記』(西端さかえ著 大法輪閣 1964年) <当館請求記号:K186-12>
- 【資料4】『へんろ道 五六番泰山寺より五八番仙遊寺』(梅村武 2001年) <当館請求記号:K186.9-ウタ-2001>
- キーワード
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- いざり車
- 箱車
- 栄福寺
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000322658