レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2006年08月11日
- 登録日時
- 2006/11/23 02:10
- 更新日時
- 2007/03/15 17:14
- 管理番号
- 島根斐川-郷土-2006-01
- 質問
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解決
・「出西しょうが」について書かれた資料(歴史・由来などについて)はないか
・「出西しょうが」について昔の写真や資料等はないか
- 回答
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出西しょうがとは
しょうが特有の繊維が少なく、切れのある辛みが特徴の、出西(しゅっさい)でしか生産できないしょうがです。
戦前は、盛んに生産されていましたが、戦後になって安いしょうがに押され、数えるほどの農家が自家消費分だけを栽培する状況になっていました。しかし、平成10年斐川町特産開発振興会がこの特産品を復活させようと農家に生産を依頼し、再び出西しょうがの生産組合が誕生しました。(※注1)
資料について
1.『斐川町農業協同組合史』(同組合、1989)p.158~161「出西村(しゅっさいむら)農業協同組合」の項目の中に、大正~昭和初期の出西しょうが生産の記録について記載があります。
2.販売用のパンフレット(斐川町特産開発振興会(斐川町役場商工観光課内)作成)(※注2)に出西しょうがの由来が書かれています。
(なお、パンフレットには、「太田直行『出雲新風土記』から」と出典の記載もありますが、当館ではこの資料を所蔵していません。)
※事後調査(島根県立図書館にて)
パンフレットの文章は、『出雲新風土記 第1輯 味覚の巻』(1938)のp56~60「平田饂飩と生姜糖」の一部分を現代文に直して掲載したものと確認しました。 (※注3)
写真について
『日本の食生活全集32 聞き書島根の食事』(農山漁村文化協会、1991)p.95~96「出西しょうが」の項目と巻頭にあまり古い写真ではありませんが、いくつかの写真が掲載されています。
あわせて、斐川町役場農林振興課を通じて、出西しょうが生産組合理事長を紹介しました。
- 回答プロセス
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資料について
『斐川町史』(斐川町教育委員会、1972)には記載はありませんでした。
『斐川町農業協同組合史』に、大正~昭和初期の出西しょうが生産の記録について記載されていますが、由来等の記載はありませんでした。
そこで、斐川町役場農林振興課に由来などに関する資料がないか尋ねると、販売用のちらし(斐川町特産開発振興会(斐川町役場商工観光課内)作成)に由来が掲載されているとのことでしたので、ちらしのコピーを送ってもらいました。そこには、「太田直行『出雲新風土記』から」と出典も記載されていましたが、当館ではこの資料を所蔵していませんでした。
利用者には『斐川町農業協同組合史』とちらしを紹介しました。あわせて島根県内図書館の横断検索システム(URL: http://opac.lib.shimane-u.ac.jp/mutual/)から『出雲新風土記』は、島根県立図書館・出雲市立出雲中央図書館がこの資料を所蔵していることを紹介しました。
※事後調査(島根県立図書館にて)
『出雲新風土記』は、味覚・行事・風習の3つの巻に分かれています。
今回の出西しょうがについては、『第1輯 味覚の巻』(1938)のp56~60「平田饂飩と生姜糖」のページに、由来(言い伝え)や当時の生産の状況などについて書かれていました。なお、販売用のパンフレットに書かれていた文章は、この「平田饂飩と生姜糖」の一部分を現代文に直して掲載したものとわかりました。
なお、この『出雲新風土記 味覚の巻』については、『出雲民藝録・出雲新風土記』(冬夏書房、1987)として再刊された図書の中にも掲載されています。(「平田饂飩と生姜糖」の項はp.322~326に掲載)
写真について
『伝承写真館日本の食文化 9 中国』(農文協・編、農山漁村文化協会、2006)にも掲載があったと職員が記憶していましたが、レファレンスを受けた際は貸出中で確認できませんでした。なお、返却後確認すると、『日本の食生活全集32 聞き書島根の食事』と同じ写真が使われていました。
- 事前調査事項
- NDC
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- 産業史.事情.物産誌 (602 9版)
- 参考資料
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- 『斐川町農業協同組合史』 (斐川町農業協同組合、1989)
- 『出雲新風土記 第1輯 味覚の巻』 (太田直行・著、1938)
- 『日本の食生活全集32 聞き書島根の食事』 (農山漁村文化協会、1991)
- キーワード
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- 出西しょうが
- 特産品-斐川町(島根県)
- 物産-斐川町(島根県)
- 照会先
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- 斐川町役場農林振興課
- 寄与者
- 備考
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※注1
出西しょうが生産の現状について
「NOSAI島根」ホームページ(URL: http://www.nosai-shimane.jp/)の特集の項目で紹介されています。(2006.08.16.確認)
※注2
斐川町特産開発振興会の事務局は、現在「道の駅湯の川」内になっています。
「道の駅湯の川」ホームページ(URL: http://www.tokusan-hikawa.co.jp/ 2006.08.16.確認)
※注3
『出雲新風土記』について
味覚の巻と行事の巻は、『出雲民藝録・出雲新風土記』(冬夏書房、1987)として再刊されています。この図書は、『出雲民藝録』『出雲新風土記 味覚の巻』『出雲新風土記 行事の巻』の3部を併せて1冊にしたものとなっています。『出雲新風土記 風土の巻』は、1999年に自費出版で再刊されています。2つに別れた理由は、「『出雲民藝録・出雲新風土記』出版当時(昭和62年)には、「新風土記」は「味覚の巻」と「行事の巻」の2篇だけからなるものと考えられた」と再刊された『風土の巻』のあとがきに記されています。
これを踏まえて、再度近隣図書館の所蔵検索を行うと、島根県立図書館・出雲市立出雲中央図書館には、1938年版と1987年版双方とも所蔵があります。また、1987年版は松江市立図書館にも所蔵があります。
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 学生/団体
- 登録番号
- 1000031673