レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年11月11日
- 登録日時
- 2021/03/13 14:08
- 更新日時
- 2021/04/02 22:47
- 管理番号
- 県立長野-20-111
- 質問
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解決
長野県内の盂蘭盆会(うらぼんえ)の行事について知りたい。
1 お盆について記載のある資料
2 スーパーマーケットで販売される盆商品
3 迎え火、送り火の詠唱について
4 「かんば」を用いる理由について
- 回答
-
1 お盆について記載のある資料
お盆そのものに特化して書かれた書籍は多くないため、内容の一部に盆行事を含むものととして、次のの資料群を紹介した。
・『盆行事と葬送墓制』 関沢まゆみ編 吉川弘文館 2015 【386.1/セマ】
・『祭・芸能・行事大辞典 上・下』 朝倉書店 2009 【386.1/マツ】
「盂蘭盆会」「盆」「盆市」「盆歌」「盆踊」「盆踊り歌」「盆小屋」「盆棚」など盆にかかわる項目がある。
・『信州の年中行事と食』八十二文化財団編・刊 2007 【N386/157】
・『信州の年中行事』 斉藤武雄著 信濃毎日新聞社 1981 【N386/53】
・『日本の民俗 長野』 向山雅重著 第一法規 1975 【382.1/ニホ】
・『民俗資料選集 盆行事I-VIII』文化庁文化財保護部編 国土地理協会 1990- 【382.1/ブン/18,19,26,28,32,43,44,48】
18: 岡山県 19: 静岡県 26: 京都府、大阪府 28: 茨城県、埼玉県
32: 山形県、新潟県 43: 高知県 44: 長野県 48: 徳島県
・『月ごとの祭』 橋浦泰雄著 岩崎美術社 1968 (民族民芸双書)【380.8/7/3】 p.202-237
また、 長野県全般の盆行事については、
・『長野県史 民俗編 第5巻総説1』 長野県編 長野県史刊行会 1991 【N209/11-3/5-1】p.519-528
・『長野県史 民俗編 第5巻総説2』 長野県編 長野県史刊行会 1991 【N209/11-3/5-2】p.494-522
・『長野県史 民俗編』の東信、北信、南信、中信の4地区の「仕事と行事」の巻を紹介する。
なお、県内各地の盆行事に関しては、各市町村の史誌類を見るよう案内。「長野県市町村史誌目次情報データベース」で各市町村史誌の目次の検索ができるようになっている。
2 スーパーマーケットで販売される盆商品
「お盆に売るもの」のカテゴリーとしての調査項目がないため、統計は確認できなかった。
『商業統計表』において、「線香」「ロウソク」などは産業分類では「60221荒物」に分類されるが、スーパーや百貨店での販売においては「56118家庭用品」に分類される。統計数値は「荒物」「家庭用品」全体で示されるため、線香、ロウソクのみの販売を示すものにはなりえない。市単位の統計もあるが、郡部は郡合計でまとめられている。『平成28年経済センサス-経済産業活動調査卸売業・小売業に関する結果報告書』では、市町村ごとの表になっている。
当館契約のデータベースのうち、「日経テレコン21」に「売れ筋商品ランキング」がある。消耗家庭用品のカテゴリーで、「ろうそく」「線香」など検索される。研究データとして使えるものかは判断できなかったが、参考までに紹介した。
どのようなものを販売しているか、売り上げ等詳細は、各スーパーに個別調査するほうが有効と思われた。
3 迎え火、送り火の詠唱について
1で紹介した『長野県史』各市町村の史誌に記載があるものが多い。ただし、いずれも音源はない。
4 「かんば」を用いる理由について
盆火に「かんば」を炊く習慣があるのは、地域によって異なるようで、1で紹介した『長野県史』および、各市町村の史誌に盆火の記載がある。火の炊き方、材料もそれぞれ異なっているようだ。「迎え火、送り火を炊く」という表現にとどまって、詳細に触れない資料も多く見受けられた。また、「かんば」を使う理由について触れた資料は確認できなかった。
『しなの植物考』 丸山利雄著 信濃毎日新聞社 1972 【N472/39/1】 p.262-264 「シラカバ」では、
「お盆の迎え火に、この樹皮をたく習慣が東北地方にもあり、長野県内にもある。」
とあり、この文の前段落に、「樹皮はまた、油やろうが多く、キャンプなどの折りには、雨の中でもよくもえるので、たきつけにしたり灯火用にしたりする。(後略)」とあった。
- 回答プロセス
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1 お盆に関する参考文献を確認するために、NDC分類380(民俗学),386(年中行事)の書棚で調査する。
2 郷土分類N380(長野県の民俗学)の書棚の周辺で調査する。また、『長野県史 民俗編』を一通り調査する。
3 『商業統計表』の商品分類を確認するが、「盆用品」のようなカテゴリはない。当館契約データベースの「日経テレコン21」で「盆用品」や季節商品などを探す。仏具のカテゴリでは「盆棚」などヒットするが、「スーパーマーケットで売られているもの」を求めているので除外する。1,2で調べた内容から、盆飾りに用いるものは野菜が多く、そのほかには、盆菓子や墓参りに使用する提灯、ろうそく、線香など。また郷土料理になってしまうため、「盆」だけで括ることができないものが多い。「かんば」は商品の項目にはない。
4 1,2には迎え火、送り火の項目があるものは多いが、白樺やダケカンバの皮である「かんば」について理由をきしているものが確認できない。『しなの植物考』に、「かんば」としての記述ではなく、白樺の樹皮の特徴としての記述を見つける。
<調査資料>
・『植物民俗』 長澤武著 法政大学出版局 2001(ものと人間の文化史101)【N382/112】
・『中部・北陸の民俗 長野県編』 三一書房 1996(日本民俗調査報告書集成)【382/287/20】
・『都道府県別冠婚葬祭大事典』 主婦と生活社 1992 【385/ヤヒ】
・『信州の冠婚葬祭』5訂版 信濃毎日新聞社 2006 【N385/8d】
・『商業統計表 第4巻 品目編』経済産業大臣官房調査統計グループ編 経済産業統計協会 2016 【670.59/シヨ/’14-4】
・『商業動態統計年報 平成30年』 経済産業調査会編・刊 2019 【670.59/ケイ/‘18】
・『平成28年経済センサス-経済産業活動調査卸売業・小売業に関する結果報告書』 長野県企画振興部情報政策課統計室編・刊 2018 【N670/6/‘16】
- 事前調査事項
- NDC
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- 風俗史.民俗誌.民族誌 (382 10版)
- 年中行事.祭礼 (386 10版)
- 中部地方 (215)
- 参考資料
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関沢まゆみ, 国立歴史民俗博物館 編 , 関沢, まゆみ, 1964- , 国立歴史民俗博物館. 盆行事と葬送墓制. 吉川弘文館, 2015. (歴博フォーラム)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I026450171-00 , ISBN 9784642082785 (【386.1/セマ】) -
八十二文化財団. 信州の年中行事と食 : 人々のくらしと川 : 水系をめぐる食文化. 八十二文化財団, 2007.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000010073268-00 ( 【N386/157】) -
丸山利雄 著 , 丸山, 利雄, 1908-. しなの植物考. 信濃毎日新聞社, 1972.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001121836-00 (【N472/39/1】 p.262-264)
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関沢まゆみ, 国立歴史民俗博物館 編 , 関沢, まゆみ, 1964- , 国立歴史民俗博物館. 盆行事と葬送墓制. 吉川弘文館, 2015. (歴博フォーラム)
- キーワード
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- お盆
- 迎え火
- 送り火
- 盆菓子
- 盆飾り
- 信州学
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000295216