レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年4月15日
- 登録日時
- 2023/08/29 18:19
- 更新日時
- 2023/12/27 09:46
- 管理番号
- 大分県立調査-2023-001
- 質問
-
解決
食事などに使うレンゲの起源を知りたい。
- 回答
-
「散蓮華(レンゲ)」という名称は日本独自のものであるが、元になったと思われる湯匙(タンチイ)は中国。
現在使用されている陶製の散蓮華は江戸時代ごろのもの。中国製のものが出土していることから、江戸時代に日本に入ってきたと思われる。
【1】『日本国語大辞典 第13巻』小学館国語辞典編集部/編集 小学館 2002.1
p1095 正式には"『散蓮華(ちりれんげ)』"という。
【2】『日本国語大辞典 第9巻』小学館国語辞典編集部/編集 小学館 2001.9
p164"散った蓮の花に形が似ているところから"そう呼ぶとのこと。江戸時代の洒落本に"ちりれんげ"の表記があると記載あり。
【3】『中国食文化事典』 木村 春子/[ほか]編著 角川書店 1988.3
p251「匙子」の項目内に「湯匙(タンチイ)、(調羹(ティヤオコン))]という散蓮華の中国読みのみあり。
【4】『身近なモノ事始め事典』三浦基弘/著 東京堂出版 2010.9
p60に散蓮華の名前の由来についての記述あり。
p61"平安時代には上流階級が中国風に匙で飯をすくって食べる~"との記述があるが、形状についての明記はない。
【5】『食具 ものと人間の文化史』 山内昶/著 法政大学出版局 2000.10
p143~「中国の餐匙」の項目あり。出土した昔の匙の図が複数掲載。現代の散蓮華に形が似ているものはあるが、「湯匙」のような特定の名称は記載されていない。
p141「日本の匙」の項目あり。"平安末期までは匙が食卓に並んでいた"との記述があるが散蓮華状のものかは明記されていない。
【6】『食の器の事典』荻野文彦/編著 柴田書店 2005.6
「レンゲ」の項目あり。形状の説明のみ。
【7】『日本料理とは何か 和食文化の源流と展開』奥村 彪生/著 農山漁村文化協会 2016.7
p77 "藤原京では木の匙を使っていたようで飛鳥古京藤原京跡から出土している。これで飯をすくって食
べたかどうかはわからない。"
"奈良時代、宮廷には現在も朝鮮半島で使う金銅製の箸と匙があった。平安時代には銀製の箸と匙に
変わる。"
※写真はあるが、散蓮華とはまったく異なる形状。
【8】『「うつわ」を食らう 日本人と食事の文化』神崎 宣武/著 吉川弘文館 2017.6
p91 日本で匙が普及しなかったことの持論等が掲載されている。
【9】『日本食生活史』渡辺 実/著 吉川弘文館 2007.11
p102"匙はカイともいわれ、箸とならべて食膳に用意され、汁物のほか主として飯をすくうのに使用した。
これは奈良時代から用いられ、この時代には(1)銀製・佐波理製(青銅製)・銅製・木製・貝製が
ある。"
p257"江戸時代の陶磁器は画期的な発達をとげた。""(2)また慶長当時渡来した朝鮮人が九州の各地に窯
を起して朝鮮の李朝風の素朴な日用雑器や食器・茶器などを焼いたため、肥前一体にはおびただしく
陶器が作られた。"との記述あり。
【10】大阪歴史博物館2015年4月23日ツイート
https://twitter.com/naniwarekihaku/status/591045308601077762(2023/11/27最終確認)
"「大坂-考古学が語る近世都市―」展より。ラーメンでおなじみの散蓮華(チリレンゲ)。江戸時代から
ありました。中国製の青花磁器と、日本製の肥前磁器を展示中"との投稿あり。現物の写真あり。
- 回答プロセス
-
1 レファレンス協同データベースで「れんげ」「スプーン 歴史」で検索
「中華料理を食べるときに使う「レンゲ」は、なぜ「レンゲ」というのか。」(宮城県図書館 https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000063242)
「スプーンやフォークの歴史について書いている本は?」(香川県立図書館 https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000086577)
2 食文化関係の棚を見る
3 インターネットで「散蓮華 歴史」で検索
- 事前調査事項
- NDC
-
- 衣食住の習俗 (383)
- 食品.料理 (596)
- 参考資料
-
-
【1】日本国語大辞典第二版編集委員会, 小学館国語辞典編集部 編 , 小学館. 日本国語大辞典 第13巻 第2版. 小学館, 2002.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003061408-00 , ISBN 4095210133 -
【2】日本国語大辞典第二版編集委員会, 小学館国語辞典編集部 編 , 小学館. 日本国語大辞典 第9巻 第2版. 小学館, 2001.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003029320-00 , ISBN 4095210095 -
【3】木村春子 [ほか]編著 , 木村, 春子. 中国食文化事典. 角川書店, 1988.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001921170-00 , ISBN 4040403002 -
【4】三浦基弘 著 , 三浦, 基弘, 1943-. 身近なモノ事始め事典. 東京堂出版, 2010.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000010993245-00 , ISBN 9784490107876 -
【5】山内昶 著 , 山内, 昶, 1929-2006. 食具. 法政大学出版局, 2000. (ものと人間の文化史 ; 96)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002945337-00 , ISBN 4588209612 -
【6】荻野文彦 編著 , 荻野, 文彦, 1940-. 食の器の事典. 柴田書店, 2005.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007777005-00 , ISBN 4388353175 -
【7】奥村彪生 著 , 奥村, 彪生, 1937-. 日本料理とは何か : 和食文化の源流と展開. 農山漁村文化協会, 2016.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I027239263-00 , ISBN 9784540142550 -
【8】神崎宣武 著 , 神崎, 宣武, 1944-. 「うつわ」を食らう : 日本人と食事の文化. 日本放送出版協会, 1996. (NHKブックス ; 757)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002552613-00 , ISBN 4140017570 -
【9】渡辺実 著 , 渡辺, 実, 1911-1978. 日本食生活史. 吉川弘文館, 2007. (歴史文化セレクション)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009200732-00 , ISBN 9784642063418
-
【1】日本国語大辞典第二版編集委員会, 小学館国語辞典編集部 編 , 小学館. 日本国語大辞典 第13巻 第2版. 小学館, 2002.
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000337690