レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/03/14
- 登録日時
- 2022/04/02 00:30
- 更新日時
- 2022/04/14 10:53
- 管理番号
- 11589655
- 質問
-
解決
2007年12月27日 東京読売新聞夕刊 「[よみうり寸評」集団自決と教科書コンニャク説」に、〈教科書はコンニャクのようなもの〉―植村清二先生がそう言った。直木三十五の実弟で旧制松山、新潟高校、新潟大などで教鞭(きょうべん)をとった東洋史の大先生はうまいことを言う。コンニャクはそのままでは味がない。ミソを塗り田楽にするなど工夫がいる。どうしてうまく食べさせるか、…以下略、とあります。
この植村清二の「教科書はコンニャクのようなもの…」はどこに書かれているのか、根拠を知りたい。
- 回答
-
以下の資料、データベース及びインターネット情報を調査しましたが、「教科書はコンニャクのようなもの」という発言が植村清二氏のものであることを裏付ける根拠は見当たりませんでした。
調査の過程で、教科書をコンニャクにたとえることに関する雑誌記事1及び2が見つかりましたので、参考までにご紹介します。
【 】内は当館請求記号です。
インターネットおよびデータベースの最終アクセス日は2022年3月8日です。
末尾に「*」が付された資料は、国立国会図書館デジタルコレクションに収録されており、国立国会図書館内で公開しています。
雑誌記事1
植村清二. 老いたる教科書検定委員の悩み. 諸君! : 日本を元気にするオピニオン雑誌. 2(9) 1970-09. pp.138-143 【Z23-148】*
p.138(72コマ目)に「教科書を蒟蒻に譬えた人がある。そのままでは何の味もないというのである。その骨組に肉をつけ、蒟蒻に味噌を塗るのが、いうなれば教師の仕事であった。」との記述があります。この書きぶりから、最初に「教科書を蒟蒻に譬えた」のは植村清二氏ではないと考えられますが、それが誰なのかについて記事内では言及されていません。
なお、上に引用した箇所に続いて「もっとも全部の教師が、肉づけ味噌塗りができるとは限らなかったから、教師用参考書、いわゆる虎の巻が盛んに使用された。その頃小学校の教科書は国定であったから、いま考えるとおかしいが、虎の巻も国定であった。」との記述があります。ここから、教科書がコンニャクにたとえられたのは国定教科書制度のあった時代、つまり戦前であることが分かります。
雑誌記事2
ラウンジ 教科書コンニャク説. 内外教育. (5200) 2001.5.8. p.24 【Z7-454】
文中、「そんな折、随分昔に聞いた「教科書コンニャク説」というのを思い出した。」などと述べられています。ここでも典拠は示されていません。
なお、貴館でご提示いただいた以下の資料1は、当館で所蔵していないため確認できませんでした。
また、資料2の参考文献として資料3及び4が記載されていましたが、資料3は当館に所蔵がなく、資料4は当館所蔵分がデジタル化作業中であり、いずれも確認できませんでした。植村氏の発言が記載されている可能性がありますので、参考までにご紹介します。
資料1
後藤均平. 追想 : 植村清二. 草風館, 1989.5
※CiNii Books( https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA46140191 )で調べたところ、複数の大学図書館で所蔵があるようです。利用の可否は、ご自身でご確認ください。
資料2
植村鞆音 著. 歴史の教師植村清二. 中央公論新社, 2007.2 【GK144-H23】
※目次から、本件に関連すると思われる箇所のみを確認しました。当館のレファレンスでは、本文を精読しての調査はできませんのでご了承ください。詳細については、利用者ご自身でご確認ください。
資料3
持田 松山髙等学校第二一回文甲乙文集. 平成元年
資料4
松山高等学校同窓会 編. 真善美. 松山高等学校同窓会, 1984.4 【FB22-1725】
※CiNii Books( https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA40590785 )で調べたところ、複数の大学図書館等で所蔵があるようです。利用の可否は、ご自身でご確認ください。
(調査済み資料およびデータベース)
・植村 清二 他. 先学を語る--田保橋潔先生. 東方學. 65 1983.01 pp.168-194 【Z8-377】
・苅谷 剛彦. 時評2001 「歴史教科書」論争を縛る国家幻想. 中央公論. 116(5) (通号 1404) 2001.5 pp.44-47 【Z23-9】
・丸太才一. 植村清二先生の史眼. 文芸春秋. 65(10) 1987-08. pp.82-83 【Z23-10】
・国立国会図書館オンライン( https://ndlonline.ndl.go.jp/ )
・国立国会図書館デジタルコレクション( https://dl.ndl.go.jp/ )
・国立国会図書館サーチ( https://iss.ndl.go.jp/ )
・次世代デジタルライブラリー( https://lab.ndl.go.jp/dl/ )
・Googleブックス( https://books.google.co.jp/ )
・聞蔵Ⅱビジュアル[当館契約データベース]
・毎索[当館契約データベース]
・ヨミダス歴史館[当館契約データベース]
・日経テレコン[当館契約データベース]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
-
掲載されていそうな本・雑誌を上げてみましたが、実際に載っているのかは不明で、定かではありません。
「歴史の教師 植村清二」 / 植村鞆音 著 / 中央公論新社 2007 請求記号 GK144-H23
「追想 植村清二」 / 後藤均平 編 / 草風館 1990
「東方学」東方学会編 / No.65(1983/01) 168-194頁 “先学を語る―田保橋潔先生” 植村清二他 請求記号Z8-37
- NDC
-
- 教育課程.学習指導.教科別教育 (375 10版)
- 参考資料
- キーワード
-
- 植村清二
- 教科書
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 経済社会(レファレンス)
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 大学図書館 図書館
- 登録番号
- 1000314570