レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020/07/24
- 登録日時
- 2021/04/01 00:30
- 更新日時
- 2024/03/30 00:41
- 管理番号
- M20072414510699
- 質問
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過疎が問題となり、過疎という言葉が使われ始めたのはいつ頃か。
- 回答
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①『日本の過疎地帯』によると、「過疎」ということばが「初めて公式に登場したのは、経済審議会の地域部会が昭和四十一年に出した「中間報告」においてである。その後、同審議会は四十二年十月、正式に地域部会報告書を提出した」とあり、中間報告の引用が掲載されている。
②『過疎社会』にも①と同様に、「過疎」という言葉が公的にはじめて使われたのは、経済審議会の地域部会が昭和41年に発表した中間報告だと書かれている。
③『過疎問題と地方自治体』には、「「過疎」という言葉が初めて使われたのは、昭和41年(1966)3月に発表された経済審議会の報告書――『日本経済の地域的変化』においてであった。(中略)都市における「過密」に対置して、農村地域では「過疎」の地域問題が生じていること」を指摘したと書かれている。また、「「過疎」という言葉の命名者とされる農林省農業総合研究所の渡辺兵力計画部長ですらも、「当時、過密問題ばかりさわがれていて、表裏一体である人口減少地区がとりあげられていない。そこで最初は“密”の反対語である“粗”を使って“過粗”としたが、字体が悪いので“疎”を使って“過疎”とした」と述べ」とある。
④『過疎地域対策緊急措置法の解説』には、「昭和40年の国勢調査の結果、人口流動化現象が顕著であることが判明し、各種の論議が行われたことは記憶に新しいところである。その頃から過密・過疎ということがいわれ、現在では一般的に通用語となっているばかりでなく、ここ数年の間、過密問題・過疎問題として政治上、行政上の課題となっている」と書かれている。
なお、①で言及されている昭和42年10月に提出された「地域部会報告」は⑤『自治研究』vol.44,no.1~no.4に掲載されており、「都市への激しい人口移動は人口減少地域にも種々の問題を提起している。人口減少地域における問題を「過密問題」に対する意味で「過疎問題」と呼び」とある。
また、③で言及されている『日本経済の地域的変化』は当館に所蔵がなかったため、確認できなかった。しかし、その概要として『九州経済統計月報』に⑥「日本経済の地域的変貌」が掲載されている。国立国会図書館デジタルコレクションを確認したところ、過密問題に続いて、過疎問題についても書かれていた。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 地方自治.地方行政 (318 9版)
- 参考資料
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①今井幸彦『日本の過疎地帯』 岩波書店,1968,200p. 参照はp.8-9,94-130.
②米山俊直『過疎社会』 日本放送出版協会,1969,214p. 参照はp.16-18.
③内藤正中『過疎問題と地方自治体』 多賀出版,1991,355p. 参照はp.3,5.
④自治省大臣官房企画室『過疎地域対策緊急措置法の解説』 第一法規出版,1970,266p. 参照はp.1.
⑤「高密度経済社会への地域課題(経済審議会地域部会報告・昭和42年10月30日)」『自治研究』vol.44,no.1:p.265-282 - no.2:p.180-206
- no.3:p.229-240
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no.4:194-206,1968.1-4.参照はvol.44,no.1,p.267
⑥「日本経済の地域的変貌――経済企画庁総合計画局資料」『九州経済統計月報』vol.20, no.6,1966.6,p.25-42.
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①今井幸彦『日本の過疎地帯』 岩波書店,1968,200p. 参照はp.8-9,94-130.
- キーワード
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- 過疎 過密 人口減少 言葉 社会問題
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- M2020072414523110699
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 全年齢
- 登録番号
- 1000296073