レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023/08/30
- 登録日時
- 2023/11/22 00:30
- 更新日時
- 2023/11/22 00:30
- 管理番号
- 6001061656
- 質問
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解決
洋書などの製本の際に、天金という装飾を行なうことがあるが、日本ではじめて図書に天金を行なったのはいつ頃か。
- 回答
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1.天金について
まず、天金について以下の資料で確認をした。
・『日本国語大辞典 第9巻 第2版』(小学館国語辞典編集部/編集 小学館 2001.9)
p.775
「書物の装丁法の一つ。書物の上方となる切口の部分(天)だけに金箔を付けたもの。」
・『製本加工はやわかり図鑑』(関根房一/著 日本印刷技術協会/出版部 1993)
p.100「小口の装飾あれこれ」
「小口装飾は、装飾することによって紙の劣化を押さえ、日焼けや汚れを防ぐ目的をもっています。」とあり、金つけ(天金、三方金つけ)について、手作業による方法と全自動金付機による方法について説明あり。
2.日本における天金の歴史について
・『西洋の書物工房:ロゼッタストーンからモロッコ草の本まで(朝日選書914)』(貴田庄/著 朝日新聞出版 2014.2)
p.171-188「第7章天金と小口装飾 四 天金の歴史」では、日本における天金がいつからはじまったのかについて、『製本之輯』(上田徳三郎/口述 武井武雄/図解 アオイ書房 1941)の36丁ウ~37丁オ「製本六十年」の上田氏が明治22年から4年間横浜で製本技師のドイツ人について修行したことに関する口述から「(前略)初めて日本で天金をおこなった人物は横浜の洋館で働いていた外国人であると考えるのは早計であろうが、明治期に日本にやってきた欧米の製本職人であることは間違いないであろう。」(p.188)としている。
『製本之輯』(上田徳三郎/口述 武井武雄/図解 アオイ書房 1941)(2023/8/30現在)
https://dl.ndl.go.jp/pid/1122822/1/35
国立国会図書館デジタルコレクションで、国立国会図書館内/図書館・個人送信限定で閲覧可能。
33丁ウ~38丁ウ(35~40コマ)「製本六十年」
・『本の情報事典 新版』(出版ニュース社 1991.1)
p.314「印刷・製本・紙 278 天金」
「書籍には、天と前と地と三つの小口がある。この三方の小口に金箔を貼付したものを三方金、天のみのものを天金という。」とあり、日本の天金のはじまりについて、以下のような記述があった。
「天金は、日本でも早くからおこなわれていた。明治十三年ころ、横浜製紙会社が邦語訳の新旧約聖書につけたのが最初であろうといわれている。」
この根拠となった『本の話』(寿岳文章/著 白凰社 1964)p.130-132「天金ものがたり」にほぼ同様の記述がある。
『本の話』は国立国会図書館デジタルコレクションで国立国会図書館内/図書館・個人送信限定で閲覧可能。
『本の話』(寿岳文章/著 白凰社 1964)(2023/8/30現在)
https://dl.ndl.go.jp/pid/2933248/1/69
p.130-132(69-70コマ)
[事例作成日:2023年8月30日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 写本.刊本.造本 (022 10版)
- 参考資料
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- 日本国語大辞典 第9巻 第2版 小学館国語辞典編集部∥編集 小学館 2001.9 (775)
- 製本加工はやわかり図鑑 関根/房一∥著 日本印刷技術協会/出版部 1993 (100)
- 西洋の書物工房 貴田/庄‖著 朝日新聞出版 2014.2 (171-188)
- 本の情報事典 新版 出版ニュース社 1991.1 (314)
- 本の話 寿岳/文章∥著 白凰社 1965 (130-132)
- https://dl.ndl.go.jp/pid/1122822/1/35 (『製本之輯』(国立国会図書館デジタルコレクション)(2023/8/30現在))
- https://dl.ndl.go.jp/pid/2933248/1/69 (『本の話』(国立国会図書館デジタルコレクション)(2023/8/30現在))
- キーワード
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- 装丁(ソウテイ)
- 天金(テンキン)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000341317