レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012/05/09
- 登録日時
- 2014/11/08 00:30
- 更新日時
- 2014/11/11 10:50
- 管理番号
- 所沢本-2014-024
- 質問
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解決
東洋(朝鮮)の星座について調べたい。
- 回答
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朝鮮の星座は、14世紀末に作られた「天象列次分野之図」や、18世紀に作られた「渾天全図」などがあります。以下の資料に記載があります。
〇『韓国科学史』 全相運/著 日本評論社 2005年
〇『科学百話 -文化遺産にみる朝鮮の知恵』 孫済河/著 啓明書房 1992年
また、朝鮮の「天象列次分野之図」にも記録されている二十八宿(天の赤道上の星座)は、中国で作られて日本にまで広がりました。以下の資料に記述があります。
〇『星座の秘密』 前川光/著 恒星社厚生閣 2000年
〇『世界大百科事典 15』 平凡社 2007年
〇『世界大百科事典 21』 平凡社 2007年
〇『日本星名辞典』 野尻抱影/著 東京堂出版 1978年
〇『暦と時の事典』 内田正男/著 雄山閣 1986年
〇『星座の神話』 原恵/著 恒星社厚生閣 1996年
〇『中国の星座の歴史』 大崎正次/著 雄山閣 1987年
- 回答プロセス
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1.所蔵資料の内容確認
〇『韓国科学史』 全相運/著 日本評論社 2005年
p50~65 「天象列次分野之図」(1396年)について記述あり。
p55 「「天象列次分野之図」とは、天象、つまり星座の配列を12分野に分けて、順序立てて展開させた図という意味である。-(中略)ー 星座の図の星の総計は1467個であるが、その円の周囲には二十八宿の名称と赤道宿度が記録されている。」と記述あり。
p65 「一方、西洋天文図を朝鮮の伝統的形式に従って作成した天文図がある。18世紀末に木版本で作られた「渾天全図」というものである。この星図は336座の星座、1449個の星が描かれた独特のものである。」と記述あり。
〇『科学百話 -文化遺産にみる朝鮮の知恵』 孫済河/著 啓明書房 1992年
p16 「高句麗では、「石刻天文図」が造られたが、これをもとにして李王朝初期に再刻した「天象列次分野之図」は、およそ肉眼で見える1467個の星を282の星座にまとめている。これは1247年に漢時代以後の星図をまとめてつくりあげた中国の「石刻星図」にも匹敵する立派なものである。」と記述あり。
p17 「三国(高句麗・百済・新羅)がそれぞれ天文の分野でも、外国のものをうのみにすることなく、独自の観測体系をもって天文学を発達させて来たことを示している。」と記述あり。
△『韓国文化シンボル事典』 伊藤亜人/監訳 平凡社 2006年
p668~671 「星」の項目あり。神話と星についてや、北斗七星を信仰する七星信仰などの記述あり。
×『韓国朝鮮を知る事典』 平凡社 2014年
2.「二十八宿」について所蔵資料の内容確認
〇『星座の秘密』 前川光/著 恒星社厚生閣 2000年
p50~52 「中国の星座と28宿」の項目あり。
〇『世界大百科事典 15』 平凡社 2007年
p283 「せいざ 星座」の項目に[中国の星座]あり。「中国の星座はヨーロッパとはまったく別の系統のもので、これは日本にも伝えられ、江戸末期まで使われたが、国際的に通用するものにはならなかった。-(中略)ー二十八宿の星座体系も前8~6世紀の春秋晩期には成立していたがー(以下省略)」と記述あり。
〇『世界大百科事典 21』 平凡社 2007年
p317 「にじゅうはっしゅく 二十八宿」の項目あり。「中国天文学で用いられた赤道帯の区分法。二十八舎ともいう。」と記述あり。歴史や文献などの記述はあるが、具体的な星座の名称の掲載は少ない。
〇『日本星名辞典』 野尻抱影/著 東京堂出版 1978年
p243~ 「二十八宿の訳名」あり。
〇『暦と時の事典』 内田正男/著 雄山閣 1986年
p224~226 「にじゅうはっしゅく 二十八宿」の項目あり。28星座の名称あり。
〇『星座の神話』 原恵/著 恒星社厚生閣 1996年
p48~52 「二十八宿」あり。
〇『中国の星座の歴史』 大崎正次/著 雄山閣 1987年
p2~24 「二十八宿」について記述あり。
×『天文の事典』 磯部琇三/編集 朝倉書店 2003年
p501~502 「中国の宇宙観」の項目あり。星座に関する記述はなし。
×『天文学大事典』 地人書館 2007年
×『宇宙・天文大辞典』 小田稔 監訳 丸善 1987年
3.インターネット検索
〇『人文学報』第8 2 号( 1999 年3 月)「日本の古星図と東アジアの天文学」宮島, 一彦著
→「日本と同じく中国の天文学を導入した朝鮮では,星図中の星にいくぶん大きさの区別が見られる。しかし,それは必ずしも星の見かけの明るさに従ってはいない。例えば,有名な「天象列次分野之図」(後述)で最も大きく描かれているのは老人星(カノープス)であり,それより明るい天狼星(シリウス)はそれほど大きく描かれていない。」と記述あり。
〇国立故宮博物院
→「天象列次分野之図刻石」(朝鮮、1395年|国宝第228号)あり。「高句麗の天文知識に基づき、1395年(太祖4年)に完成した天文図で、 中国の南宋代につくられた〈淳祐天文図(1241年) 〉に次いで世界で2番目に古いものである。 ‘星座12種類を配列順に並べた星宿図’という意味で‘天象列次分野之図’と呼ばれた。片面に刻まれた文字数は2,932字であり、 星座は1,467個に至る。周囲には28宿の名称や赤道宿度が記されている。さらにこの刻石天文図には、表面と裏面に星座が逆さまに刻まれ、 表面には下段、裏面は上段に‘天象列次分野之図’と刻まれている。この天文図に刻まれた権近(クォン∙グン、1352~1409年)の文章によると、 高句麗にも刻石天文図が存在したが、戦火のなか大同江という川の中に沈み、失われたという。 1687年(粛宗13年)に作られた1395年製作の天象列次分野之図刻石の復刻品(宝物第837号)も現存している。」と記述あり。
△国立国会図書館NDLサーチ
「韓国昌徳宮所蔵の星座盤について」 宮島 一彦著 掲載誌『科学史研究』 [第2期] / 日本科学史学会 編 24 (通号 155) 1985-10 p.p164~170
「古代人たちの天文観--高句麗壁画の古代星座図 (特集 韓国の天文学と暦) 」 金 一権 掲載誌『月刊韓国文化』 韓国文化院 監修 (通号 271) 2002-06 p.8~11
- 事前調査事項
- NDC
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- 恒星.恒星天文学 (443 9版)
- 参考資料
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- 韓国科学史 全相運/著 日本評論社 2005.10 402.21 4-535-58446-X
- 科学百話 孫済河/著 啓明書房 1992.3 402.21 4-7671-0768-7
- 韓国文化シンボル事典 伊藤亜人/監訳 平凡社 2006.11 382.21 4-582-13601-X
- 暦と時の事典 内田正男/著 雄山閣 1986.5 449.033 4-639-00566-0
- 暦の百科事典 暦の会/編 本の友社 1999.11 449.036 4-89439-274-7
- 星座の秘密 前川光/著 恒星社厚生閣 2000.8 443.8 4-7699-0916-0
- 星座の神話 原恵/著 恒星社厚生閣 1996.6 443.8 4-7699-0825-3
- 日本星名辞典 野尻抱影/著 東京堂出版 1978 443.033 4-490-10078-7
- 中国の星座の歴史 大崎正次/著 雄山閣 1987.5 443.8 4-639-00647-0
- 世界大百科事典 21 平凡社 2007.9 031
- 『人文学報』第8 2 号( 1999 年3 月)「日本の古星図と東アジアの天文学」 http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/48530/1/82_45.pdf 2014/10/31
- 国立故宮博物院 http://www.gogung.go.kr/fgn/jsp/jn/html/gallery/gallery1-6.jsp 2014/11/02 (「天象列次分野之図刻石」)
- キーワード
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- 二十八宿
- 天象列次分野之図
- 渾天全図
- 星座
- 朝鮮
- 韓国
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- その他
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000161904