レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2010年08月29日
- 登録日時
- 2010/11/26 17:01
- 更新日時
- 2010/11/26 17:02
- 管理番号
- 9000006753
- 質問
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解決
ベートーヴェンの死因を知りたい。天然痘や梅毒の治療に使った水銀による中毒が原因か。
- 回答
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検死解剖の結果、潰瘍性大腸炎や動脈硬化、肝硬変など総合織疾患を患っていた。また、1990年代後半から行われたベートーヴェンの遺髪とされる毛髪の鑑定結果では、いずれも「鉛中毒であった」という説が出されている。
- 回答プロセス
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1.『世界伝記大事典』世界編第9巻(ほるぷ出版 1981年)で「ベートーベン」の項を見るが、死因については書かれていない。
2.『ベートーヴェン事典:全作品解説事典』(平野昭編著 東京書籍 1999年)p736~750に「生涯の記録」(年譜)があるが、死因については書かれていない。『ベートーヴェン大事典』(平野昭ほか訳 平凡社 1997年)p66~68に「病気、難聴、そして死」の項目があり、検死解剖の結果、胃や腸は空気で膨れており、肝臓の萎縮と硬化、脾臓の肥大化、膵臓の硬化が見られた。現代医学で見ると、胃腸の症状は潰瘍性大腸炎で、「潰瘍性大腸炎は、特に彼の胸を冒す度重なる発熱症状や、免疫力の低下、眼炎、動脈硬化、肝硬変(肝炎の結果としての)とともに、ベートーベンが総合組織の病気(総合織疾患)を患っていたことを示している」。また、「彼が死の床で苦しんでいた水腫は、心臓の弱化も示しているものの、おそらく直接には肝臓病からきたものであろう」とある。
3.自館システムで件名「ベートーヴェン」で検索すると、『ベートーヴェンの遺髪』(ラッセル・マーティン著 白水社 2001年)がヒット。p271には、毛髪鑑定の結果「ベートーヴェンの生涯にわたる、いくつもの病気は今や、思い鉛中毒の直接の結果-あるいは、思い鉛中毒によって劇的に悪化した結果-だということが九分通り確かなように思われた」とある。
4.「山梨日日新聞縮刷版検索データベース」で検索すると、次の記事がヒットした。
・「ベートーベンは鉛中毒死?:毛髪分析で新説:英紙報道」(平成11(1999)年2月16日付)
→イギリスの「サンデータイムズ」記事で、毛髪の分析から、鉛に汚染された川魚の摂取による鉛中毒で死亡した可能性があると報じられた。
・「ベートーベンは鉛中毒:毛髪鑑定で判明:米博士ら発表」(平成12(2000)年10月19日付)
→米健康研究所のウィリアム・ウォルシュ博士らによると、ベートーベンがよく余暇を過ごした保養先の鉱泉で飲んだミネラルウォーターが原因かもしれないとみている。
5.朝日新聞記事検索サービス「聞蔵」で検索すると、次の記事がヒットした。
・「ベートーベンの死、肺炎薬アダ?:「成分に鉛、中毒が悪化」説 法医学者まとめ(平成19(2007)年9月7日)→ウィーン医科大のクリスティアン・ライター氏が、死の約4ヵ月前にかかった肺炎の治療に処方した薬に微量の鉛が含まれており、体内の鉛の量が増加、肝臓が機能しなくなり死に至ったという説を発表。
- 事前調査事項
- NDC
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- 音楽史.各国の音楽 (762 9版)
- 個人伝記 (289 9版)
- 参考資料
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- 『ベートーヴェン大事典』(平野昭ほか訳 平凡社 1997年) (p66~68)
- 『ベートーヴェンの遺髪』(ラッセル・マーティン著 白水社 2001年) (p271)
- 「山梨日日新聞」」(平成11(1999)年2月16日付)
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「山梨日日新聞」(平成12(2000)年10月19日付)
- 「朝日新聞」(平成19(2007)年9月7日付)
- キーワード
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- ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
- 死亡原因
- 作曲家
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 音楽・舞踊
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000074216