レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年04月07日
- 登録日時
- 2023/07/20 15:47
- 更新日時
- 2023/07/25 16:53
- 管理番号
- 000011051
- 質問
-
解決
山口県文書館所蔵「行程記」と「御国廻行程記」について、その書誌事項が知りたい。
- 回答
-
両図は、山口県文書館が所蔵している絵図で、毛利家文庫に含まれるもの。
うち、「行程記」(山口県文書館請求記号:毛利家文庫30地誌41)について、下記資料1に収録の川村博忠「近世道中絵図『行程記』の内容と成立時期」によると、同図は萩藩主の参勤交代の道中を描いた23帖(及び複本とされるもの2帖)の道中絵図。成立年代は、記載された城主名から推定して、山陽道が明和元年(1764年)、中山道が明和8年(1771年)から安永5年(1776年)、東海道が天明7年(1787年)から寛政元年(1789年)と考えられている。また、作成者については、山陽道が萩藩絵図方の有馬喜惣太(明和6年(1769年)没)、中山道はその関係者と考えられる。東海道については明示されていない。
なお、「行程記」で描かれた道筋等については、資料2に収録の下記論文に詳しい。この論文は、インターネット上に公開されている。
山田稔「近世街道絵図「行程記」の路線図について」(「山口県文書館研究紀要」36(山口県文書館,2009,p29-45)
http://archives.pref.yamaguchi.lg.jp/user_data/upload/File/kiyou/036/kiyou36-02.pdf
また、「御国廻行程記」(山口県文書館請求記号:毛利家文庫30地誌57)について、資料3に収録の山田稔「「御国廻御行程記」とその異本について」によると、同図は萩藩主の初入国行事の一つである「御国廻り」(領国内巡視)の道中を描いた7帖の道中絵図。絵図の別冊資料である「寺社旧記」や、控えにあたる異本の奥書から、寛保2年(1742年)に、萩藩絵図方の有馬喜惣太、岩崎四郎兵衛により作成されたものと考えられている。
なお、「御国廻行程記」とその異本の書誌事項については、資料3山田論文の末尾にまとめた表がある。また、この論文はインターネット上に公開されている。
山田稔「「御国廻御行程記」とその異本について」(「山口県文書館研究紀要」25(山口県文書館,1998,p49-79)
http://archives.pref.yamaguchi.lg.jp/user_data/upload/File/kiyou/025/kiyou25-03.pdf
参考までに、「行程記」と「御国廻行程記」の全体を掲載した資料(電子化資料を含む)は見当たらない。ただし、「行程記」の「大屋」の部分については資料4に、「大屋」を含む萩から明木、佐々並部分については資料5に掲載されている。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 地理.地誌.紀行 (290 9版)
- 参考資料
-
- 1.川村博忠. 近世道中絵図『行程記』の内容と成立時期. 山口県地方史学会, 1986. 山口県地方史研究 通巻55号 (p1-12)
- 2.山田稔. 近世街道絵図「行程記」の路線図について. 山口県文書館, 2009. 山口県文書館研究紀要 通巻36号 (p29-45)
- 3.山田稔. 「御国廻御行程記」とその異本について. 山口県文書館, 1998. 山口県文書館研究紀要 通巻25号 (p49-79)
-
4.山口県文書館 編 , 山口県文書館. 絵図でみる防長の町と村. 山口県文書館, 1989.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002092825-00 (p170-171,241-242) -
5.歴史の道「萩往還」資源活性化事業推進委員会 [編] , 歴史の道「萩往還」資源活性化事業推進委員会. 行程記 登り一. 歴史の道「萩往還」資源活性化事業推進委員会, 2011.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I060510148-00
- キーワード
-
- 山口県--古地図
- 参勤交代
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 書誌的事項調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000336149