レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年09月05日
- 登録日時
- 2023/11/11 13:06
- 更新日時
- 2023/11/16 09:16
- 管理番号
- 000011077
- 質問
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解決
錦川(岩国市)に架かっていた(現在撤去工事中)の御庄橋について調べている。
以下についての資料(新聞記事の場合は検索キーワードなど)を教えてほしい。
1.架橋以前にあった御庄の渡し場の概要
2.御庄橋の建設から解体までの歴史
3.御庄大橋の建設理由
4.御庄橋撤去の詳細な理由
- 回答
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1.御庄の渡し場について
下記資料1『岩国市史 通史二』p1222-1225に、江戸時代の市内の渡し場について記載がある。
それによると、錦川の渡し場は「四か所の変遷があった」とあり、「寛永年代(一六二四~一六四三)では関戸→千石原、延宝四年(一六七六)以降は御庄橋の上流から、安永初年(一七七二ころ)には御庄大橋の付近から、安政五年(一八五八)以降は多田・中村→千石原を渡河するコースである。」とある。「この変遷は、流水による河川床の変動に伴う要因や、延宝四年の御庄市並の変更などにより、渡河が可能で便利な場所へ移ったものであろう。」とある。
また、元禄16年(1703年)の絵図や、『玖珂郡志』(享和2年(1802年成立)などに基づく御庄の渡しの様子が紹介されている。
資料2『岩国の民俗と俚諺』にも渡しの概要について記載がある。
2.御庄橋の建設から解体までの歴史
御庄橋の建設については、資料2p32-33に記載がある。
それによると、御庄橋は昭和27年(1952年)年5月着工、昭和28年(1953)年12月18日に完工式を兼ねて渡初式が挙行されている。渡初式については、以下に記事がある。
「防長新聞縮刷版」(資料3)
昭和28年12月14日付け5面「十八日に渡初式 御庄橋」
同年同月17日付け4面「渡初め三重奏 喜びにわく村民たち 初めての架設御庄橋」
同年同月20日付け4面「渡し舟がトラックに 喜び満つ御庄橋渡初め」
「朝日新聞」(資料4)
昭和28年12月20日付け山口版「御庄橋の渡り初め」
また、御庄橋の撤去にあわせて、それまでの経緯と今後の整備構想について、岩国市議会で山本辰哉議員による一般質問(平成29年第6回定例会(12月)12月6日-02号に収録)が行われており、当時の辻孝弘都市建設部長より答弁がなされている。それを簡単にまとめると以下のとおり。
御庄橋は昭和28年(1952年)に県道柱野大竹線として山口県によって建設され、昭和50年(1975年)に主要県道岩国大竹線が別ルートで整備されたことにより市道に降格となり、以降は市が管理していた。
老朽化が進行しており、平成29年(2017年)2月に実施した法定点検において、橋桁の2カ所に著しい損傷が確認され、橋の健全度判定の中で最低値であるⅣ判定となった。
そのため、即時通行止めとし、現在(平成29年12月)に至っている。
補修やかけかえなど、検討を重ねたが、周辺の道路状況や利用度、費用対効果等を総合的に判断した結果、御庄橋を閉鎖する方針を決定した。そこで、地域住民を対象に、平成29年10月18日に説明会を開催した。
閉鎖後については、錦川の治水安全の観点からも早期の御庄橋の撤去に向け、国の補助金の活用などに努めていくとともに、国道2号から御庄橋に取りつく周辺道路については、歩道が未整備となっていることから、管理する国に対して協議を行いたい。
なお、上記会議録については、インターネット上の“岩国市会議録検索システム”にて、「ことばから検索」のリンク先で、「御庄橋」と検索するヒットし、閲覧することができる。
“岩国市会議録検索システム”(岩国市) 2023年11月11日最終確認
https://ssp.kaigiroku.net/tenant/iwakuni/pg/
なお、解体時期等については、質問者確認済の以下の資料以外には見当たらなかった。(2020年から上部工撤去、2022年から下部工撤去工事予定とある。)
“道路橋の集約・撤去事例集 令和5年4月”(国土交通省)p23
https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/yobohozen/pdf/tekkyo-jirei.pdf
3.御庄大橋の建設理由
明確に記載した資料は見当たらなかった。
「防長新聞」昭和48年(1973)年1月4日付け7面(資料5)の記事「14市政の展望 山口県をになう」に、岩国市の昭和48年の事業について概説されており、その中で、「土地区画整理事業は山陽新幹線の新岩国駅となる御庄地区に六億五千万円を投入、うち約三億円で新御庄大橋を建設」とあることから、新岩国駅の建設に伴う、周辺土地区画整理事業の一環で御庄大橋は架設されたものと推察される。
区画整理事業の経緯や詳細については、当館に関係資料がなく、不明。
なお、資料6の昭和50年3月の項に「御庄大橋完成」とあり、「山口新聞」昭和50年(1975年)3月9日付け13面(資料7)の記事には「国道二号線は錦川をまたいで新岩国駅へ抜ける新御庄橋約1キロが完成。十日新幹線開業と共に開通する」とあるため、昭和50年3月10日が御庄大橋の開通日と思われる。
4.御庄橋撤去の詳細な理由
3.で紹介した資料以外に、関係する資料は見当たらなかった。なお、前述のとおり、平成29年10月18日に地域住民に対する説明会が行われたとあるため、岩国市の関係部署(道路課)に関係書類が遺されている可能性がある。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 橋梁工学 (515 9版)
- 参考資料
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1.岩国市史編さん委員会 編纂 , 岩国市. 岩国市史 通史編 2. 岩国市, 2014.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I025770456-00 (p1222-1225) -
2.大岡昇 著 , 大岡, 昇, 1912-. 岩国の民俗と俚諺. 岩国市立岩国図書館, 1974.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001215605-00 (p35-33、42-43) - 3.防長新聞社. 防長新聞 縮刷版 昭和28年12月
- 4.朝日新聞社. 朝日新聞山口版 昭和28年12月20日
- 5.防長新聞社. 防長新聞 縮刷版 昭和48年1月4日
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6.50周年記念誌編集委員会 企画 , 50周年記念誌編集委員会. 年表 いわくに : その50年の歩み. 岩国市, 1990.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I060448438-00 - 7.山口新聞 縮刷版 昭和50年3月9日
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1.岩国市史編さん委員会 編纂 , 岩国市. 岩国市史 通史編 2. 岩国市, 2014.
- キーワード
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- 橋梁--山口県
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土 地名
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000340931