レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015/01/12
- 登録日時
- 2015/02/04 00:30
- 更新日時
- 2015/02/13 11:15
- 管理番号
- 6000020081
- 質問
-
解決
「おとんぼ」という方言について、自分は「きょうだいの中で一番下の男の子」を指す言葉だと思っていたが、友人は「きょうだいの中で一番下の子」を指す言葉で、男女は関係なく使っているようだ。
自分は神戸の出身、友人は大阪の出身なのだが、地域によってこの言葉の意味が違うのかどうかわかる本はあるか。
- 回答
-
『現代日本語方言大辞典』などによると、「おとんぼ」という言葉は男女に関係なく末っ子を指して用いる地域と、末の男の子(末弟)を指して用いる地域、「鈍な子」や「尾」の意味で用いる地域があるとのこと。
- 回答プロセス
-
日本語方言(818)の書架を探す。
『ごめんやす「おおさか弁」』(リバティ書房)p105-107「こいさん」p107-109「ぼん」には、末の女の子を「こいとさん」「こいさん」、末の男の子を「こぼんちゃん」「小ぼん」と呼ぶ方言について記載があるが、「おとんぼ」には言及なし。
『日本のことばシリーズ27 大阪府のことば』(明治書院)p132「すえっこ(末っ子)」には、「オボンボ」「バッシ」「ツルタクリ(すぐ上の子と年齢の離れた女の末子)」「スソノトーチャン・スソノジョーチャン(末のお嬢さん)」「コボンチャン(末のお坊ちゃん)」があり。「オトンボ」はなし。
『都道府県別 全国方言小辞典』(三省堂)p119「兵庫県」には、「おとんぼ」について、末っ子とのみあり。男女の区別には言及なし。
『ひと目でわかる 全国方言一覧辞典』(学研)p117「すえっこ(末っ子)」には、大阪・奈良・広島・山口・徳島・香川・大分が「オトンボ」(注:アクセントに差異あり)、兵庫・和歌山・岡山が「オトンボー」(同じくアクセントに差異あり)となっている。また愛媛では「オトゴ」が収録されているが、「オトンボ」という場合もあるとのこと。オトンボは「弟坊」と解説にあるが、男女の別については書かれていない。
『大阪ことば事典』(講談社)p134「オトンボ」には、「末っ子。おとご」とあり。p131「オトゴ(乙子)」にも末っ子とのみあり、男女の別は言及なし。
『日本方言辞典 標準語引き』(小学館)p1187-1188「まっし 末子」には、おとんぼ・おとんぼー・おとんぼし等の方言が中部・近畿・中国・四国・九州の一部に見られるが、男女の別についてはふれていない。
『日本国語大辞典 第二版』2巻(小学館)p1289「おとん-ぼ(乙坊)」には、方言・「おと(弟)」を見よとあり。p1241「おと(弟・乙)」には、方言の意味の5番目「末子」に「おとぼう」「おとんぼう」「おとんぼ」「おとんぼし」が記載されており、また他の項目を見ると「鈍な子」や「尾」の意で「おとんぼ」という言葉を使う地域もあり。
『現代日本方言大辞典』第3巻(明治書院)p2565-2567「すえっこ」には、各地域での末っ子を指す言葉の使い分けについて詳しい。「オトンボ」については男女ともに言うとされている地域が多いが、岡山県では、比較的男児に多く用いるとあり(女の子の末子を特に指すときは「オトゴ」というとのこと)第2巻p878-880「おとうと」には、広島県では「オトンボー」を末弟の意味で用いるとあり。
- 事前調査事項
- NDC
-
- 方言.訛語 (818 9版)
- 参考資料
-
- 『最新ひと目でわかる全国方言一覧辞典』江端 義夫/[ほか]編(学研)
- 『都道府県別 全国方言小辞典』佐藤 亮一/編(三省堂)
- 『大阪ことば事典』牧村 史陽/編(講談社)
- 『日本方言辞典』佐藤 亮一/監修(小学館)
- 『日本国語大辞典 第2巻』小学館国語辞典編集部/編集(小学館)
- 『現代日本方言大辞典3』平山 輝男/[ほか]編集(明治書院)
- 『現代日本方言大辞典2』平山 輝男/[ほか]編集(明治書院)
- キーワード
-
- 方言(ホウゲン)
- 日本語(ニホンゴ)
- 末子(マッシ)
- 親族名称(シンゾクメイショウ)
- 大阪(オオサカ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土,言葉
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000167223