レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年09月15日
- 登録日時
- 2023/10/27 16:56
- 更新日時
- 2024/02/14 10:38
- 管理番号
- 名古屋市鶴-2023-005
- 質問
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解決
太平洋戦争中に名古屋または愛知県で金属を供出した記録を探している。
- 回答
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『新修名古屋市史』『愛知県史』『愛知県昭和史』などに載っていました。
- 回答プロセス
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●下記の資料に記載がありました。
『新修名古屋市史 第6巻』新修名古屋市史編集委員会/編集 名古屋市 2000
p.726 第1節 戦時下の市民生活
「戦争に必要な物資については、拠出への協力が求められた。贅沢品・金属の供出もますます熱心にすすめられたが、金・銀・白金・ダイヤモンド・補助貨(アルミ)・金属の他、茶殻・タバコ吸殻・草木灰・古繊維・古紙等の回収が行われた。…鉄・銅および鉛については、すでに金属回収令(一六年八月二九日)によって早くからすすめられたが、家庭からは鍋釜・火鉢その他あらゆるものが供出の対象とされた。寺院や火の見やぐらの鐘、道路・公園の街灯も供出された。一六年一一月の常会強調事項は「掘出せ家庭の鉱物を」であった。」
『愛知県史 通史編8』
p.758 第9章 戦争末期の愛知県
「武器・兵器増産のため、金属の回収にも盛んに取り組まれている。一九四一(昭和十六)年八月に政府が金属類回収令を発して以降、一九四四年頃から更に盛んとなり、名古屋市内の鶴舞公園の加藤高明像(一章二節参照、通7 621ページ)、渥美郡二川町(現豊橋市)の岩屋観音像なども供出された。郵便ポスト、下水の蓋、一般家庭の窓の鉄枠、仏具なども対象とされている。寺院の梵鐘も多くが供出され、コンクリート製などの代替物を設置するところもあった(別文1 546ページ)。」
ダイヤモンドや白金(プラチナ)も回収の対象とされ(資27 354・355)、名古屋市の町内会ではダイヤモンドが航空機や電波兵器の生産に必要な材料であることを説明し、回収を呼びかけている(あいち・平和のための戦争展実行委員会編二〇一五)。金属などの回収計画は、一九四四年八月に発足した愛知県資源回収協議会が担当した(『愛知県公報』第二〇三一号[一九四四年八月二十二日])。」など。
『愛知県史 別編〔7〕文化財1 建造物・史跡』
p.546 第3章 戦争遺跡
「金属資源に乏しい我が国は、戦争遂行に必要な金属資源の不足を補うため、昭和一六年(一九四一)八月三十日、国家総動員法に基づく金属類回収令を制定した。これまでにも不要不急の金属類の回収運動が展開されてきたが、これより法的強制を伴うようになり、官民の別なく金属類は根こそぎ強制回収されるようになった。愛知県においては昭和十六年十一月「寺院・教会等ニ対スル金属類特別回収ニ関スル件」の通牒が出され、次いで「寺院ノ仏具・梵鐘類強制譲渡令」により、仏具・梵鐘類の強制買い上げが行われた。地域によっては保存運動もあったが、江戸時代以降の梵鐘はすべて回収するという方針のもとに進められた。回収令によって供出される梵鐘は、「お国のため」と送られて、四日市の石原産業精錬所溶鉱炉へ入れられ兵器に造り変えられた。
寺社の鐘楼は、梵鐘がないと構造上、耐震性や風害に弱いものがあった。そこで、鐘楼のバランスをとるために、音は鳴らないが梵鐘代替品が吊り下げられたところがあった。」など。(瀬戸市の法雲寺、西尾市の阿弥陀寺、幡豆郡の願成寺の梵鐘代替品の記述あり)
『愛知県昭和史 上巻』愛知県/編 愛知県 1972
p.728 第4章 戦争の終結
「回収の対象となった資源のうち、とくに重視されたのは金属であった。十五年ごろの金属回収は、家庭や官公庁の物置や倉庫に放置された不用金属の供出に重点がおかれた。十月からは蚊帳釣環献納運動が行われたが、まだ比較的ゆるやかであった。しかし年々強化され、十六年になると学校、協会などの鉄門・鉄柵が対象となり、各家庭からも、一戸につき一品以上が町内会を通じて回収された。十七年五月には、金属回収令によって強制譲渡命令が発せられ、神社・寺院から各種の銅製品が供出され、家庭の花器・火鉢などが強制的に集められた。
十七年にはニッケル貨・銅貨が婦人会を通じて回収され、寺院の梵鐘の多くも供出された。十九年には名古屋市の鶴舞公園にあった加藤高明銅像、渥美郡二川町の岩屋観音像なども供出された。街灯からは郵便ポスト、下水のふたなどの金属製品が姿を消し、一般家庭でも窓の鉄わく、仏具などまで供出するありさまであった。」など。
●また金属類回収令については、日本法令索引(https://hourei.ndl.go.jp/#/)で検索すると、国立公文書館デジタルアーカイブや国立国会図書館デジタルコレクションの法令本文へのリンクが見つかります。(最終確認日2023/09/15)
・金属類回収令 昭和16年8月30日勅令第835号
・金属類回収令 昭和18年8月12日勅令第667号〔昭和16年勅令第835号の全部改正〕
・金属類回収令中改正ノ件 昭和20年2月12日勅令62号
- 事前調査事項
- NDC
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- 中部地方 (215 9版)
- 国防政策.行政.法令 (393 9版)
- 参考資料
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新修名古屋市史編集委員会 編 , 名古屋市. 新修名古屋市史 第6巻. 名古屋市, 2000.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002937642-00 -
愛知県史編さん委員会‖編集 , 愛知県史編さん委員会‖編集. 愛知県史 通史編8. 愛知県, 2019.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I091237702-00 -
愛知県史編さん委員会 編集 , 愛知県史編さん委員会. 愛知県史 別編〔7〕. 愛知県, 2006.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I069312650-00 -
愛知県. 愛知県昭和史 上巻. 愛知県, 1972.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001230886-00
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新修名古屋市史編集委員会 編 , 名古屋市. 新修名古屋市史 第6巻. 名古屋市, 2000.
- キーワード
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- 戦争ー名古屋市
- 金属回収
- 金属供出
- 太平洋戦争
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000340276