レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011/03/29
- 登録日時
- 2011/04/23 02:01
- 更新日時
- 2014/03/03 10:37
- 管理番号
- 1000000157
- 質問
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解決
「芭蕉布」の3番の歌詞の意味を知りたい。
①「唐ヲゥーつむぎ」とは何なのか。
②「首里天加那志」はなぜ「しゅいてんぢゃなし」と読むのか。
- 回答
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①「唐ヲゥーつむぎ」について
『ふるさとふるさと』(吉川安一、やまねこ出版、2004年) p12~13に「芭蕉布」の歌詞・解説あり。
「唐ヲゥー」は「芭蕉の繊維」とある。電話で確認したところ吉川氏の出身地鳩間島では「芭蕉の繊維」のことを「唐ヲゥー」といっていたとのこと。「芭蕉の繊維を紡ぎ」という意味になる。(※吉川安一氏は「芭蕉布」の作詞者)
方言辞典などでは以下のように「唐ヲゥー」の意味は地域によって若干異なっている。
『沖縄語辞典』(国立国語研究所||編、大蔵省印刷局、1963年)は沖縄の首里地方の語を集めたもので、p760に「芭蕉」の項目あり。basjuu、uu (ヲゥー)という と記載されている。
『沖縄今帰仁方言辞典』(仲宗根 政善、角川書店、1983年)p55のウー(苧・糸芭蕉)の項目に実芭蕉はトーウーという とある。
『琉球語辞典』(半田 一郎、大学書林、1999年)p604に uu・・・芭蕉、糸芭蕉という記述あり。
②「首里天加那志」について
『沖縄歌(ウチナー・ソング)』(ケイ・エム・ビー、2005年)p7に歌詞、言葉の「注」があり、「首里天」は琉球王朝のことだとある。
『沖縄語辞典』(国立国語研究所||編、大蔵省印刷局、1963年)
p702 「首里」の項目には、首里の国王 → sjuitiNganasiとある。
p640 「王(おう)」の項目には、敬語で sjuitiNganasi、sjuNzanasi、tiNzanasiとある。
p491 「sjuitiNganasi」の項目には、名詞 〔首里天加那志〕 国王の敬称。首里の国王様 とある。
同書のp47~「モーラ(短音節)の種類」に首里方言のモーラ一覧表があり、それによると
「sju」→「シュ」、「i」→「ヰ(イ)」、「ti」→「ティ」、「N」→「ン」
「ga」→「ガ」、「na」→「ナ」、「si」→「シ」、「za」→「ジャ、ヂャ」とよむ。
『沖縄古語大辞典』(沖縄古語大辞典編集委員会||編、角川書店、1995年)
p340「しよりてんがなし【首里天加那志】」の項によると、読みとして「シュイティンガナシ」「シュイティンジャナシ」となっている。
【首里天加那志】のその他の表記として例をあげると、首里天がなし・すいてんざなし・しゆりてんがなし・・・などがある。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 芸術 (7)
- 参考資料
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- 1 ふるさと ふるさと 吉川 安一∥著 やまねこ出版 2004.8 K76/Y89/ 12-13
- 2 沖縄語辞典 国立国語研究所∥編 大蔵省印刷局 1963.8 K80/KO49/ 47、491、640、720、760
- 3 沖縄今帰仁方言辞典 仲宗根 政善∥編 角川書店 1983.2 K81/N42/ 55
- 4 琉球語辞典 半田 一郎∥編著 大学書林 1999.11 K80/H29/ 604
- 5 沖縄歌(ウチナー・ソング) ケイ・エム・ピー 2005.3 K76/U21/ 7
- 6 沖縄古語大辞典 沖縄古語大辞典編集委員会∥編 角川書店 1995.7 K80/O52/ 340
- キーワード
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- 芭蕉布
- 民謡
- 布
- 方言
- うちなーぐち
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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一、海の青さに空の青 南の風に緑葉の
芭蕉は情に手を招く 常夏の国我した島沖縄
二、首里の古城の石だたみ 昔を偲ぶかたほとり
実のれる芭蕉熟れていた 緑葉の下我した島沖縄
三、今は昔の首里天ぢゃなし 唐ヲゥーつむぎはたを織り
じょうのうささげた芭蕉布 浅地紺地の我した島沖縄
- 調査種別
- 他館所蔵調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000085522