レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016/06/04
- 登録日時
- 2016/10/06 00:30
- 更新日時
- 2016/10/06 00:30
- 管理番号
- 北方 16-0009
- 質問
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解決
1 昭和初期(戦前)に、北海道にあった学校が一覧になっている資料はあるか。
またそれぞれの学校の創立年と、現在残っているものはどの学校にあたるのかも併せて知りたい。
2 大正時代~戦前の冨貴堂楽器部によるオルガン、ピアノの販売について知りたい。
・山葉のオルガン、ピアノをどのくらい取り寄せていたか。
・舶来ピアノはどのようなものをどのくらい取り寄せていたか。
・冨貴堂楽器部の楽器の納入先(札幌だけでなく全道)はどのようなところかが分かる資料はあるか。
- 回答
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1 昭和初期(戦前)に、北海道にあった学校について
(1) 一覧になっている資料があるか。
・学校が一覧となって記載されている資料としては、明治32年から継続的に発行されている『北海道教育関係職員録』の昭和初期分が該当。道内各自治体及び学校種別ごとに、それぞれ学校名及び教職員名が記載されている。ただし、創設年の記載なし。
(2) また、それぞれの学校の創立年と、現在残っているものはどの学校にあたるのかも併せて知りたい。
・昭和初期に存在し、現在も残っている学校一覧については調査したが、まとまった資料については確認できなかった。
・道内の高等学校に限定すれば、『北海道高等学校職員録』 (当館所蔵の最新版としては平成27年度版)』があり、同書に記載されている各学校の項目に、創設年からの現在までの来歴が記載されているので、学校単位で個別に現在から過去へと調査していく必要あり。
2 大正時代~戦前の冨貴堂楽器部によるオルガン、ピアノの販売について
(1) 山葉のオルガン、ピアノをどのくらい取り寄せていたか。
(2) 舶来ピアノはどのようなものをどのくらい取り寄せていたか。
(3) 冨貴堂楽器部の楽器の納入先(札幌だけでなく全道)はどのようなところかが分かる資料はあるか。
※冨貴堂楽器部創設経緯について
・『[冨貴堂]七十年のあゆみ』(p51~52)によると、以下の記述あり。
→“創業二十周年を迎えた冨貴堂(大正七年)は、その記念として札幌区教育委員会の事業基金として一千円を寄付するなど、業務は発展の一路をたどり、店内も狭くなって増築の機運が高まった。たまたま東京島津製作所から第一次世界大戦後のわが国における科学教育の普及から実験用の理科器械の販売について協力を求められ、一方日本楽器製造株式会社から戦後盛んになった音楽教育のためにオルガン・ピアノの販売の勧めがあり、加えてこれらは文部省の方針でもあって、今後ますます需要の盛んになることが予想されたので、(中略)隣接所有地に増築して理科器械・楽器部を特設することとなった。間口三間奥行七間三階建モルタル仕上げの店舗は、大正七年の夏に落成し七月一日から開店した。(中略)冨貴堂楽器部の活躍は、札幌延いては、本道の音楽界をリードすることとなった。
(1) 山葉のオルガン、ピアノをどのくらい取り寄せていたか。
・『[冨貴堂]七十年のあゆみ』(p215〔巻末〕“落穂集ー座談 冨貴堂楽器部の思い出”)に、以下の記述あり。
→“いろいろな楽器は、楽器部をこしらえる前から店内の一隅に陳列場があって、東京の共益商社(今日の日本楽器)からヤマハオルガンやバイオリン・マンドリンなどをたえず仕入れて陳列されていた。”(冨貴堂専務取締役 西田庄太郎氏談)
※楽器部創設前の内容であるが、時期は不明、また楽器の分量も記載なし。
(2) 舶来ピアノはどのようなものをどのくらい取り寄せていたか。
(3) 冨貴堂楽器部の楽器の納入先(札幌だけでなく全道)はどのようなところかが分かる資料はあるか。
・ともに上記資料(p218〔巻末〕“落穂集ー座談 冨貴堂楽器部の思い出”)に、以下の記述あり。
→“冨貴堂の楽器部がようやく根をおろしたころ、(中略)シュタインウェイ、ローゼンクランツその他ドイツ系のものを入荷、(中略)積極的に新販路の拡張に努めた、全く古いのれんの冨貴堂としては真に目をみはらせるものであった。終戦後まであった北大中央講堂のシュタンウェイ、中央創成小学校のローゼンクランツ(創成小に現存)等はその名残りである。”(株式会社札幌市民会館食堂社長 杉山正次氏談)
・同上(p59“大正期”の項)に、以下の記述あり。
→“大正十四年、大阪三木開成館楽器部と輸入特約のある「スタインウェイ」「ホイリッヒ」「ローゼンクランツ」などの世界一流のドイツ製ピアノ各一台を無条件で委託契約と同時に陳列販売し、楽器部の声価を高めた。
・同上(p70“昭和期”の項)に、以下の記述あり。
→“(昭和3年)6月、札幌放送局の開局の折には、スタンウェイグランドピアノを納入し、11月には即位大礼記念竪型ピアノ設備を道内主要小学校にPRして、予期以上の成果を収めた。
・同上(p155~156“年表”)にも、上記(3)と同様の記述あり(内容は省略)。
※上記項目(2)及び(3)に関して、舶来ピアノの納入分量について触れている記述はなし。このことについては、以下の資料をも調査したが、確認できなかった。
・『日本のピアノ100年』(前間孝則著 岩野/裕一著 草思社 2001)
・『ヤマハ草創譜』(三浦啓市著 按可社 2012)
・『社史で見る日本経済史 第53巻 日本楽器製造株式会社の現況』(ゆまに書房 2011)
・その他、音楽及び楽器産業(ヤマハ等)、また北海道の商工産業など、一般資料も含め、周辺資料に手がかりなし。
- 回答プロセス
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以下の資料も参考として挙げる。
1 『北海道洋楽の歩み』(前川 公美夫∥著 前川公美夫 1989.12 請求記号:762.1/MA)
2 『社史で見る日本経済史 第53巻 日本楽器製造株式会社の現況』( ゆまに書房 2011.5
請求記号582.7/Y)
3 『音楽新報 第1巻第1号~第4巻第1号』(音楽新報社 1977~1981 請求記号:Z302)
以下は調査したが見つけられず。
4 『日本のピアノ100年』( 前間/孝則?著 岩野/裕一?著 草思社 2001.10請求記号:
582.7/NI)
5 『ヤマハ草創譜』(「三浦/啓市?著 按可社 2012.11 請求記号:582.7/Y)
- 事前調査事項
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さっぽろ文庫57『札幌と音楽』236~245ページ
前川久美夫『北海道音楽史』228~231ページ
- NDC
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- 事務機器.家庭機器.楽器 (582 7版)
- 参考資料
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- 1 北海道教育関係職員録 昭和2年6月調査 北海道連合教育会∥編 北海道連合教育会 1927 374.3/HO/S2-ロ
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2 [冨貴堂]七十年のあゆみ 冨貴堂∥編 冨貴堂 1967 335.48/F -
3 北海道高等学校職員録 平成27年度版 北海道高等学校長協会事務局∥編 旭図書刊行センター 2015.7 374.3/HO/H27 -
1 北海道洋楽の歩み 前川 公美夫∥著 前川公美夫 1989.12 762.1/MA -
2 日本のピアノ100年 前間/孝則?著 岩野/裕一?著 草思社 2001.10 582.7/NI 手がかりなし -
3 ヤマハ草創譜 三浦/啓市?著 按可社 2012.11 582.7/Y 手がかりなし -
4 社史で見る日本経済史 第53巻 日本楽器製造株式会社の現況 ゆまに書房 2011.5 582.7/Y -
5 音楽新報 第1巻第1号~第4巻第1号 音楽新報社 1977~1981 Z302
- キーワード
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- 戦前期 学校 山葉 オルガン ピアノ 冨貴堂
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事項調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000197814