レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年10月21日
- 登録日時
- 2023/09/27 17:19
- 更新日時
- 2024/03/21 17:00
- 管理番号
- 吹-80-2023-002
- 質問
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解決
万博記念公園(ばんぱくきねんこうえん)内の西大路広場(にしおおじひろば)から自然文化園へつながる道で「上津道」(かみつみち)、「中津道」(なかつみち)、「下津道」(しもつみち)と名付けられた道がある。その名前の元となった道がおよそどこにあるかを知りたい。
- 回答
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下記(1)(2)(3)の資料の記述から、古代奈良盆地(こだいならぼんち)を南北に縦貫していた道路と思われる。なお、項目名と「横大路」以外のふりがなは別途確認して記入した。
(1)『国史大辞典 3』(国史大辞典編集委員会/編 吉川弘文館 1983.2)p583
上ツ道(かみつみち)
「古代奈良盆地を南北に縦貫していた道路のひとつ。上・中・下三道のうち、東側山沿いに現在の桜井市(さくらいし)から北上する道。」
(2)『国史大辞典 10』(国史大辞典編集委員会/編 吉川弘文館 1989.9)p613
中ツ道(なかつみち)
「大和盆地(やまとぼんち)の中央やや東辺を南北に走る古道。飛鳥地方(あすかちほう)から北へ向かう要路の一つ。藤原京(ふじわらきょう)の東の京極にあたる天香久山(あまのかぐやま)の中軸線の北の延長部分にあり、横大路(よこおおじ)と交叉し、北は平城京(へいじょうきょう)の東辺に接続している。現在、水田形態の中にその痕跡を一部とどめており、奈良市池田町(いけだちょう)付近(旧池田荘(いけだのしょう)の西辺にあたる)で発掘調査によってその一部が検出されている。」
(3)『国史大辞典 7』(国史大辞典編集委員会/編 吉川弘文館 1986.11)p164
下ツ道(しもつみち)
「大和盆地を南北に走る古道。(中略)下ツ道は藤原京の西限を通って、その東の中ツ道・上ツ道と併行して南北に走り、藤原京の北端で、東西の古道である横大路と直交している。平城京は、この下ツ道を中軸線として設計され、下ツ道が拡幅されて朱雀大路(すざくおおじ)が造成された。」
- 回答プロセス
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当館検索機でキーワード「万博記念公園」または一般件名「日本万国博覧会記念公園」で検索して見つかった下記資料を調べたが、道の名称由来について記述はなかった。
『万国博覧会記念公園基本計画報告書 要約篇』(日本万国博覧会記念協会 1972.3)
『万国博覧会記念公園基本計画報告書 計画編』(日本万国博覧会記念協会 1972)
『万国博覧会記念公園基本計画報告書 技術編』(日本万国博覧会記念協会 1973)
『森が都市を変える』(吉村元男/著 学芸出版社 2004.2)
『万博記念公園ポケットガイド』(日本万博博覧会記念機構 2005.9)
『万博記念公園 EXPO'70 Commemorative Park』(日本万国博覧会記念機構 [2010])
『万博公園Walker』(KADOKAWA 2015.11)
『万博公園ECOLOGICALSYSTEM』(日本万国博覧会記念機構 2006.3)
『日本万国博覧会公式記録 第3巻』(日本万国博覧会記念協会 1972)
『万博周辺環境マップ』(千里リサイクルプラザ 2018.1)
『元気になる!日本の森を歩こう』(日本の森を歩く会/著 洋泉社 2011.5)
『大阪万博が日本の都市を変えた』(吉村元男/著 ミネルヴァ書房 2018.7)
下記データベースおよびホームページで「上津道」「中津道」「下津道」のキーワードで検索をしたが、道の名称由来について記述はなかった。
万博記念公園公式サイト(最終確認2024.2.6)
大阪府立図書館 おおさかポータル(最終確認2024.2.6)
各種新聞データベース
国立国会図書館サーチ
万博記念公園に電話で問い合わせたところ「奈良のどこかの古道であるとはきいているが、担当者はもうおらず資料も残っていない」と回答を得た。
古道というところから『国史大辞典』(国史大辞典編集委員会/編 吉川弘文館 1979-1997)で「かみつみち」「なかつみち」「しもつみち」を引くと上記回答欄(1)(2)(3)の記述を見つけ、表記が異なるが同じ道のことと思われると回答した。
その他、当館の検索機で「平城京」というキーワードで検索し確認していったところ、下記(4)(5)の資料にも配置等の簡潔な記述がみられたので紹介した。
(4)『古都発掘』(田中琢/編 岩波書店 1996.11)第2部平城京 3「古道と都のメインストリート」p128より
「大和盆地には、正確に直線に走る道路が、南北に三本、東西に一本ありました。盆地のほぼ中央を南北に貫いているのが下ツ道で、その東二・一キロのところを平行するのが中ツ道、さらにその東二・一キロにあるのが上ツ道です。」
(5)『図説飛鳥の古社を歩く』(和田萃/文,森和彦/写真 河出書房新社 2007.12)p115に現代の地図上に上ツ道の位置を示した地図の記載あり。
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本史 (210 10版)
- 参考資料
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国史大辞典編集委員会 編. 国史大辞典 第3巻 (か). 吉川弘文館, 1983.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001610613-00 -
国史大辞典編集委員会 編. 国史大辞典 第10巻 (とーにそ). 吉川弘文館, 1989.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002052411-00 , ISBN 4642005102 -
国史大辞典編集委員会 編. 国史大辞典 第7巻 (しなーしん). 吉川弘文館, 1986.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001850736-00 , ISBN 4642005072 -
田中琢 編 , 田中, 琢, 1933-2022. 古都発掘 : 藤原京と平城京. 岩波書店, 1996. (岩波新書)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002560140-00 , ISBN 4004304687 -
和田萃 文 , 森和彦 写真 , 和田, 萃, 1944- , 森, 和彦, 1938-. 図説飛鳥の古社を歩く : 飛鳥・山辺の道. 河出書房新社, 2007. (ふくろうの本)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009209036-00 , ISBN 9784309761084
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国史大辞典編集委員会 編. 国史大辞典 第3巻 (か). 吉川弘文館, 1983.
- キーワード
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- 万博記念公園
- 奈良
- 上ツ道
- 中ツ道
- 下ツ道
- 照会先
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- 万博記念公園
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000339060