レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年09月30日
- 登録日時
- 2023/07/20 15:06
- 更新日時
- 2023/11/16 13:37
- 管理番号
- 995
- 質問
-
解決
昭和25年7月2日未明に金閣寺が焼失した事件において、『京都新聞』でどのように報道されたか、記事を読みたい(事件後すぐ~3日程度)。また、京都新聞社の社史等に、何か事件について記載されていないか知りたい。
- 回答
-
◆京都新聞
当館所蔵の『京都新聞』マイクロフィルム<資料1>にて、記事の掲載を確認。
確認期間(昭和25年7月2日~7月5日)
掲載紙面の見出しは以下の通り。<>内は報道記事ではないが、関連記事のため列挙。
※旧漢字は適宜、新漢字に改めています。
※なお、この当時は、夕刊が翌日の日付で発行されていたため、夕刊→朝刊の順番となります(夕刊1面の題字下には、紙面上部の日付とは異なり前日の発行日が記載されております)。一部の地域では、前日の夕刊と当日の朝刊が一緒に配達されていました。
【1】昭和25年7月3日夕刊(題字下「2日(日)発行」)(1面)
今暁・国宝「金閣」焼失す 一瞬にして紅蓮の焔 放火説が有力視
・焼失とは残念 蜷川知事談
・“まことに申訳なし” 村上住職談
・今後消防に万全 二度と起らぬように 高山市長談
・文部省から調査員
・主要仏像焼く 難をまぬがれた鳳凰
・現場を発掘
<時言 今や無き“金閣”の池畔に立ちて>
<文相談 法隆寺といい金閣寺といい>
【2】昭和25年7月3日夕刊(2面)
燃え盛った業火 あの豪華いま灰燼に
・九時には異状なし
・望樓で発見
・“常に不満そう” その直前、姿を消した谷大生
・和、唐様の名建築
・根本的防災策を
・焼失いたむ各方面の声 胸の中に大穴
・哀れ義満像
・早く再建を
【3】昭和25年7月3日朝刊 (3面)
国宝「金閣」放火に焼く 手配中の犯人、林捕る
・放火は二時過ぎ 燃え盛る業火眺めて服毒
・“紙、蚊帳で火つけ 一週間前から計画していた”林の自供
・短気な性質 わが子林を語る母しま子さん
・不可解な林の心境
・痛々し黒焦げの柱
・消火隊の活躍空し
<謝出火御見舞 京都金閣寺>
【4】昭和25年7月4日夕刊(2面)
「金閣」放火へ世の怒り
・非常識極まる犯行
・“動機は今語れぬ”
・死んだ方が 母は語る
・防災全力尽す けさ府教委から声明
・万全策とれ
【5】昭和25年7月4日朝刊 市内版(2面)
子の罪ゆえに死す 犯人の母親自殺
・犯行動機を糾明
・文化財の尊重
・金閣再建を協議
・鳳凰を国宝指定 金閣は指定から除外か
<京日記>
<“金閣”に思う>
【6】昭和25年7月4日朝刊 両丹版ほか(2面)
放火犯林を本格的取調べ 有閑人種への反感
・金閣再建を協議
・“死んで呉れたら”([滋賀版]→母親自殺 列車から飛降り)
・金閣国宝指定除外 類焼まぬがれた鳳凰を近く指定か
<“金閣”に思う>
※【5】と【6】は同じ日の紙面ですが、市内版と地域版で構成・内容が異なっています。
地域版は、山城版と両丹版はほぼ同じですが、山城版・両丹版では“死んで呉れたら”となっている部分が、滋賀版では「母親自殺」となっています。
【7】昭和25年7月5日夕刊(2面)
この母に罪ありや 林しま子さんの自殺めぐって
・“死んでおわび” 林の母、きのう保津峡へ投身
【8】昭和25年7月5日朝刊(2面)
母の自殺は知らず 金閣放火の林を送庁
◆社史
*『京都新聞九十年史』<資料2>
第一編 京都新聞社編 京都新聞の躍進
p82 昭和25年の出来事が欄外の囲みに列挙されており、「七月 国宝・金閣へ放火」と記載。
p94 「ローカル・ニュース必勝」の項に金閣炎上についての記載あり。以下引用。
「昭和二十五年七月二日未明、谷大生・林養賢の愚かな放火によって金閣が炎上した。編集記者はもちろん、工務局員の家族、名誉通信員、販売店員から実に五つの速報が宿直デスクをたたき起こしている。ただちに無線ジープ以下が出動、まだ三層の金閣が燃え上がっている情景を活写できたのは、ひとり本紙のみであった。他紙はペチャンコになった焼け跡の写真に恨みを呑んでいる。」
年表 p559
昭和25年(一九五〇) 7.・2 (京都)金閣、放火で全焼し早朝号外発行
その他の社史には年表に記載があるのみでした。
*『京都新聞社小史』<資料3>
年表 p136
昭和25年(一九五〇) 7.・2 (京都)金閣、放火で全焼し早朝号外発行。
*『京都新聞百年史』<資料4>
年表編 p612
昭和25年(1950) 7・2 (京都)金閣、放火で全焼、早朝号外発行
*『京都新聞110年史』<資料5>
年表 p425
昭和25年(1950) 7・2 金閣寺放火で、早朝に号外発行
各年史に「号外発行」の旨が記載されていますが、当館所蔵マイクロフィルムには収録されていませんでした。また、原紙所蔵の京都学・歴彩館に問い合わせましたが、この号外は所蔵がないそうです。
*京都新聞105年小史、京都新聞120年史、京都新聞グループ130年史(DVD-ROM)、京都新聞グループ140年史(DVD-ROM)には、記事の記載はありませんでした。
- 回答プロセス
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『京都新聞』の該当時期は索引や検索機能のないマイクロフィルムのみのため、目視で確認。
調査過程で、新聞の発行順が夕刊→朝刊となっていることや、発行や配送のタイミング(地域)によって報道内容が変わっていることなどがわかった。
社史・年史についてはCD-ROMも使って検索したが、紙版の目次等を見て確認。
百年史にもあまりなかったので諦めかけていたが、九十年史に詳しい記載があった。
- 事前調査事項
- NDC
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- 近畿地方 (216)
- 寺院.僧職 (185)
- 参考資料
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<資料1>京都新聞. [国立国会図書館] [製作].
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000058530-00 (当館請求記号 マ キョウ/k/) -
<資料2>京都新聞社史編さん委員会 編 , 京都新聞社. 京都新聞九十年史. 京都新聞社, 1969.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001237283-00 -
<資料3>京都新聞社小史作成委員会 編 , 京都新聞社. 京都新聞社小史. 京都新聞社, 1974.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001233624-00 -
<資料4>京都新聞社史編さん小委員会 編 , 京都新聞社. 京都新聞百年史. 京都新聞社, 1979.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001450673-00 -
<資料5>京都新聞創刊110年記念事業実行委員会社史編さん部会 編 , 京都新聞社. 京都新聞110年史. 京都新聞社, 1989.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002066667-00
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<資料1>京都新聞. [国立国会図書館] [製作].
- キーワード
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- 金閣寺
- 鹿苑寺
- 新聞
- 火災
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000336146