①当館OPACで 「きよしこの夜」で フレーズ検索すると
184件のヒットがありました。(2014.12.8現在)
内訳は、楽譜130件、録音資料35件、映像資料12件、和書7件でした。
ドイツ語名、英語名のフレーズ検索
Stille Nacht を 検索語とする フレーズ検索では 120件のヒットがありました。(2014.12.10現在)
Silent night を 検索語とする フレーズ検索では 166件のヒットがありました。(2014.12.10現在)
②和書のうち、 「きよしこの夜」物語 が2冊あったので、調べることにしました。
(この2冊の他に、讃美歌〔賛美歌〕の歴史を書いた図書等に「きよしこの夜」が書かれている可能性はもちろんあります。)
・一冊は、日墺協会のもの(参考資料1参照)
・もう一冊は、トゥースヴァルトナーの著作物で大変充実した一書でした。(参考資料2参照)
作詞者モーア像および自筆原稿〔写真〕、作曲者グルーバー肖像画〔写真〕等も掲載され、
この本には、「きよしこの夜」についての誕生史、その後の歴史、作詞者、作曲者の生涯、
〔楽譜研究〕いろいろなヴァージョン、作品論、作者論争、≪きよしこの夜≫ネット情報、
≪きよしこの夜≫に関係するサイト等が掲載されていて、作品成立の要点、問題点、次の
調査の手がかりとなるい情報を得ることができます。なお、サイト等は主に外国発信のもので、
様々な理由からアクセスできないものも含まれていました。
③その他の和書の可能性 「サンビカ」「聖歌」検索の可能性
「サンビカ」を検索語とする和書、フレーズ検索では、
51件のヒットがありました。(2014.12.8現在)
検索結果一覧を見て、明らかに「きよしこの夜」を収載しそうもないものを除き、
可能性のあるすべての資料は、現物の目次等を調べる必要があります。
「聖歌」を検索語とする和書、フレーズ検索でも
検索結果一覧を見て、明らかに「きよしこの夜」を収載しそうもないものを除き、
可能性のあるすべての資料は、現物の目次等を調べる必要があります。
④特殊な調べ方 「略解」によるフレーズ検索
「略解」を検索語とするフレーズ検索では、
12件のヒットがありました。(2014.12.9現在)
主な資料を以下にあげます。
『讃美歌略解 / 日本基督教団讃美歌委員会編』(資料3,4参照)
『聖歌のしらべ : 古今聖歌集作曲者略解』 (資料5参照)
『讃美歌21略解』 (資料6参照)
⑤インターネットで調べることができる情報
「きよしこの夜 - Wikipedia」他に情報を発見(2014.12.9現在)
次の調査(特に讃美歌、聖歌調査)のためには、「きよしこの夜 - Wikipedia」中の
「日本での受容」(編集)は
次の調査にとって重要で、以下は特に重要です。
「初めて収録されたのは1909年の『讃美歌』第2編である。1961年には小学校6年生の音楽の
教科書に採用され、1988年まで掲載されていた[略]。近年では中学校などで英語教育も兼
ねて英語の歌詞で歌われている。なお、日本のカトリック教会においては、別訳にて
カトリック聖歌集111番の「しずけき」として親しまれている。」
↑『カトリック聖歌集』の情報は特に重要です。(参考資料7参照)
*「しずけき」という曲名で、聖歌番号111、初行は「静けき真夜中 貧しうまや」です。
又、次の調査にとっては、「収録讃美歌」の記述も重要です。
(特に、讃美歌集〔讃美歌集〕、聖歌集に収載された「きよしこの夜」は当館OPACで
直接的に検索できません。最も確実な手がかりはほぼ正式歌集名だけとなります。)
⑥参考図書(ツール)を調べ、曲集名の所蔵や所在をOPAC、インターネット等で調べます。
合唱関係
『曲名で引ける合唱曲集総合辞典 / ミュージックランド編集』(参考資料8,9参照)
音楽教科書関係
『音楽教科書掲載作品10000』(参考資料10参照)
・当館ホームページ上の「童謡唱歌索引」では
インチピット:「ソラソミソラソミレレシシドド」 の 検索で
6件のヒットが得られました。(曲名が全て違う点等大変興味深い検索結果です。)
http://www.lib.kunitachi.ac.jp/collection/shoka/top.asp?key=%E3%82%BD%E3%83%A9%E3%82%BD%E3%83%9F%E3%82%BD%E3%83%A9%E3%82%BD%E3%83%9F%E3%83%AC%E3%83%AC%E3%82%B7%E3%82%B7%E3%83%89&kensaku=bubun&koumoku=INCIPIT1&page=1&.submit=%E6%A4%9C%E7%B4%A2%E7%B5%90%E6%9E%9C%E4%B8%80%E8%A6%A7 ◆「きよしこの夜」〔Stille Nacht〕〔Silent night〕 は世界中で愛唱され、編曲も多いようです。
冒頭にあげた"Stille Nacht"検索の結果から、学術的にもしっかりした楽譜(Kritischer Bericht付
Quellen に Die autogrpphen Fassungenについての記述等を掲載)を一例あげます。
"Weihnachtslied "Stile Nacht, heilige Nacht""(参考資料11参照)
◆「きよしこの夜」の歴史については、多くの資料、情報があるようです。
◆中でも、Stille Nacht の日本語作品名、日本語歌詞については、その変遷や改稿、改訂意図等
について、日本の今後の調査、研究を期待したいところです。
なお、言うまでもなく、日本語歌詞は必ずしも、原曲歌詞の日本語訳ではありません。
拍節や歌詞作成側の作成意図により、言葉が選ばれ、その結果、内容も変化し、
その逆にしかるべき内容を意図するために言葉が選べる場合もあるので、
特に、「きよしこの夜」の普及に大きな影響のあったとされる由木康の歌詞の原曲歌詞
との関係、改稿等は良く調査する必要を感じました。
◆「きよしこの夜 - Wikipedia」中に書かれていた1909年の『讃美歌』第2編の前後の
版については、集中的に調べる必要があると思われます。(2014.12現在、主な版貸出中)
◆「きよしこの夜 」は、各教団により、各出版年代により、歌詞や譜割等が違う場合が多いので、
比較研究する場合は、教会各派全ての公式讃美歌集(賛美歌集)を調べる必要があります。
◆「きよしこの夜 」の成立事情や歌詞については、ネット情報の中に参考になるものもあります。
「きよしこの夜 - Wikipedia」には、収録歌集についての記述がありますが、検索にとって
重要な点は、カトリックは「カトリック聖歌集」、救世軍は「救世軍歌集」のように讃美歌
(賛美歌)という語を用いないので、それらの歌集を検索する場合は特に注意を要します。
又、カトリックのように曲名も「きよしこの夜 」を用いない場合〔「しずけき」〕もあるので、
歌集に辿りついたとしても更なる注意と下調べが必要となります。
◆なんぶー「明治27年ののきよしこのよる」『ぱるらんど』〔当館コミュニケーション誌〕No.152 1988年
12月9日 p.9 に「しののめ」『クリスマス讃美歌』(収載)であった点や、昭和五年、世界音楽全集(
A6-517)の門間直衛訳詞「静夜 聖き夜…」と由木康の初版、「きよしこのよる ほしはひかり
すくいのみこは まぶねのなかに ねむりたもう いとやすく」等について触れる記事他、参考文献を
掲載しています。
◆「きよしこの夜」についての情報を得られる可能性のある讃美歌(賛美歌)関係の雑誌については、
下記に書いております。ご参照をお願いします。
「日本の讃美歌(賛美歌)」(調べ方マニュアル 国音2011-0066S)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=man_view&id=2000019300◆当館所蔵の新しい讃美歌集、聖歌集の例と「きよしこの夜」に関しての情報を以下に挙げます。(2014.12.12現在)
なお、以下の3冊は、レファレンスツールとしても大変重宝しています。
『讃美歌21 ; 交読詩編付き』(264 曲名:きよしこの夜)〔アーメン付〕 (参考資料12参照)
1番歌詞:きよしこの夜 星はひかり、 すくいのみ子は まぶねのなかに ねむりたもう、 やすらかに。
『教会讃美歌』(37 曲名:表示なし)〔アーメンなし〕(参考資料13参照)
1.番歌詞:きよしこのよる 星はひかり、 救いのみ子は まぶねのなかに 眠りたもう、 やすらかに。
『聖歌集』(74 曲名:表示なし))〔アーメン付〕(参考資料14参照)
1.番歌詞:きよしこの夜 星は光り 救いのみ子は まぶねの中に 眠りたもう いとやすく
*アーメンを除き、3冊とも、楽譜は和声等ほぼ同じと見て良いと思われます。
〔ただし、 『聖歌集』は他の曲も含め、拍子を書く各習慣がないように思われます。
他の2冊の拍子は6/8です。〕
〔『讃美歌21 ; 交読詩編付き』のみ(♪=96)の指示があります。〕