レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014/07/19
- 登録日時
- 2015/11/21 00:30
- 更新日時
- 2015/11/22 13:23
- 管理番号
- 所沢新所-2015-008
- 質問
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解決
仏教用語で食前に唱える「五観の偈(ごかんのげ)」について知りたい。
- 回答
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「五観の偈」については以下の資料に記載があります。
〇『岩波仏教辞典 第二版』 中村元/ほか編 岩波書店 2002年
「五観」とは「僧侶が食事の際に有すべき五つの観念(食物が供されるまでの人々の辛苦と施主の恩、自己にこれを受ける徳があるかどうか、多くを貪らないこと、飢渇をいやす良薬であること。道を修めるための食物であること)をいう」
「偈」とは「仏の教えや仏・菩薩の徳をたたえるのに詩句の体裁で述べたもの」
〇『典座教訓(てんぞきょうくん)』 道元/原著 佐藤達全/訳 教育社 1988年
「食物を全員に配り終えたあとに遍食槌を打ち、その音を聞いて、全員が合掌し頭を下げ、食物に感謝して、5つの事柄を思いうかべる
一つには、功の多少を計り、彼の来処を量る。
二つには、己が徳行の全欠を忖って供に応ず。
三つには、心を防ぎ過を離るることは、貪等を宗とす。
四つには、正に良薬を事とするは、形枯を療ぜんがためなり。
五つには、成道のための故に、今、この食を受く。」
〇『典座教訓・赴粥飯法(ふしゅくはんぽう)』 道元 著 中村璋八/ほか訳 講談社 1991年
「五つの瞑想」という項目で記述があります。 「遍槌を聞くを候ち、合掌し揖食して、次に五観を作す。」とあり、5つの項目について記述。また、「食事が全員に行きわたった合図の遍食槌が聞こえたら、合掌し、食事に対して頭を下げ、次に五つの事柄について心にえがき反省する。」と始まる訳文も記載されています。
- 回答プロセス
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1.所蔵資料の内容確認
〇『典座教訓』 道元/原著 佐藤達全/訳 教育社 1988年
p.131~133・p.211に、五観の偈という項目で記述あり。(p.211は原文書き下し文)
以下内容の抜粋
「食物を全員に配り終えたあとに遍食槌(へんじきつい)を打ち、その音を聞いて、全員が合掌し頭を下げ、食物に感謝して、5つの事柄を思いうかべる
一つには、功の多少を計り、彼の来処を量る。
二つには、己が徳行の全欠を忖って供に応ず。
三つには、心を防ぎ過を離るることは、貪等を宗とす。
四つには、正に良薬を事とするは、形枯を療ぜんがためなり。
五つには、成道のための故に、今、この食を受く。」
「遍食槌」については「禅院で食事の時、粥飯を修行僧の食器に盛り終わったことを知らせるために打つ槌のこと。」と記述あり。
〇『典座教訓・赴粥飯法(ふしゅくはんぽう)』 道元 著 中村璋八/ほか訳 講談社 1991年
p.193~194に、「五つの瞑想」という項目で記述あり。
「遍槌を聞くを候ち、合掌し揖食して、次に五観を作す。」とあり、5つの項目について記述。また、「食事が全員に行きわたった合図の遍食槌が聞こえたら、合掌し、食事に対して頭を下げ、次に五つの事柄について心にえがき反省する。」と始まる訳文も記載されている。
〇『岩波仏教辞典 第二版』 中村元/ほか編 岩波書店 2002年
p.318「五観」とは「僧侶が食事の際に有すべき五つの観念(食物が供されるまでの人々の辛苦と施主の恩、自己にこれを受ける徳があるかどうか、多くを貪らないこと、飢渇をいやす良薬であること。道を修めるための食物であること)をいう」
p.263「偈」とは「仏の教えや仏・菩薩の徳をたたえるのに詩句の体裁で述べたもの」
△『道元禅師に学ぶ人生 典座教訓を読む 』 青山俊董/著 NHK出版 2005年
p.48~49「食事の徳に感謝する」という項目の中で、食事の前に「五観の偈」という5つの誓願を唱えるとあるが詳細はなし。
×『道元 典座教訓』 藤井宗哲/訳・解説 角川学芸出版 2009年
p.80に、食前に詠む「食事五観」があることは記述されているが詳細はなし。
- 事前調査事項
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質問者より「五観の偈」は禅の言葉とのこと。
- NDC
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- 各宗 (188 9版)
- 参考資料
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- 典座教訓 道元/原著 教育社 1988.9 188.86 4-315-50685-0
- 典座教訓・赴粥飯法 道元/[著] 講談社 1991.7 188.86 4-06-158980-6
- 岩波仏教辞典 中村元/編集 岩波書店 2002.10 180.33 4-00-080205-4
- キーワード
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- 典座教訓
- 赴粥飯法
- 五観の偈
- 禅
- 道元
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000184268