レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年08月16日
- 登録日時
- 2022/09/25 10:43
- 更新日時
- 2023/01/15 09:28
- 管理番号
- 中央-般-2022-0002
- 質問
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解決
竹筆(たけふで)の作り方が知りたい。
- 回答
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レファレンス協同データベースに登録されていた「藁筆」のレファレンス事例を参考に自館資料を確認したところ、資料②③に竹筆についても記載がありました。さらに書道の道具に関する資料④~⑧に竹筆について記載がありました。
「また竹筆が墨さしともいう」とのことから、大工道具の墨さし(墨刺し、墨差し)として記載があった資料⑨⑩も参考までに紹介します。
資料⑧は竹筆の製法、資料⑨は墨さしの製法が、図や写真とともに記載されています。
- 回答プロセス
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1. 自館所蔵資料を「竹」「工芸」をキーワードに検索しましたが、「竹筆」に関する記載がある資料は見つかりませんでした。
2.レファレンス協同データベースで「竹筆」をキーワードに検索したところ、以下の事例が見つかりました。
①「藁筆の歴史やルーツ(いつ、どこで生まれたのか、どのように使われているのか等)について調べています。また、藁筆を使って書かれた書や絵が載っている本があるかも調べています。」(千葉県立図書館)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000140223 (2022/9/25最終確認)
「藁筆」について記載のある参考資料のうち、自館所蔵の資料を確認したところ、「竹筆」に関する記載のある以下の資料が見つかりました。
②『筆談墨史 増補改訂』 李家 正文/著 学芸書林 1973年
p.51 「大工の竹筆」
大工が使用する竹筆として「大工さんはこれ(竹の筆)を墨さしといった。」との記載がありました。
「大工が竹の筆づくりをはじめた」とあり、「竹を割って五、六寸の長さにしたものを五分幅で~(中略)~穂をつくっていた。」との記載がありました。
③『筆』 田淵 実夫/著 法政大学出版局 1978年
p.63 「三、 獣毛以外を用材とした筆」
竹筆について、「若竹を割いて箸状にし、その先端をたたきほぐして毛羽立ちとしたもので、大工や石工は「たんぽぽ筆」と呼んでいる。篠竹の細い物を丸幹のまま軸にしてその先端を穂にしたものである。」との記載がありました。
2.①の参考資料より「文房四宝」をキーワードに検索したところ、以下の資料が見つかりました。
④『文房四宝筆の話』 榊 莫山/著 角川書店 1998年
p.146~148 「竹筆(ちくひつ)」
竹筆の写真、竹筆を使用した書が掲載されています。
竹筆の特徴とともに「竹筆といえば大工さんが材木に墨を打つときに使うヘラのような筆もある。あれはふつう墨刺と呼ばれている竹筆だ。」との記載がありました。
⑤『文房四宝 筆の話』 榊 莫山/著 角川書店 1981年
p.158 ④の資料と記載内容は同じですが、竹筆の穂先を大写しにした写真が掲載されています。
⑥『文房四宝の基礎知識』 綾村 坦園/著 光村推古書院 1985年
竹筆について記載がありましたが、作り方の記載はありませんでした。
2. 書棚を確認したところ、以下の資料が見つかりました。
⑦『書道辞典 第4版』 飯島 春敬/編 東京堂出版 1976年
p.496 「竹筆(ちくひつ)」の項目
「今の竹筆の製法は~(中略)~全体の形を筆のようにとがらせて削成する。」との記載がありました。
3.資料②④から、書棚(大工道具:分類525、583)を確認したところ、以下の資料が見つかりました。
⑧『図説世界の木工具事典』 世界の木工具研究会/編 海青社 2015年
p.45 墨差の構造
「墨差は竹を割って作られ、穂先は斜めに切り落とされたヘラ状である。」との記載がありました。
p.178 日本の木材工芸品として「倉敷竹筆(岡山県)」の記載がありました。倉敷竹筆の製造工程の記載が使用する工具とともに写真付きで掲載されています。
⑨『木造建築の木取りと墨付け』田処 博昭/著 井上書院 2001年
p.84「(10)墨刺し」
墨刺しの材料と作り方が図とともに記載されています。
⑩『図解大工技術を学ぶ 道具・規矩・工作法』松留 慎一郎/編著 市ケ谷出版社 2006年
p.4「(2)墨つぼと墨さし」
「墨さしは主として肉厚の竹材でできており、材面に線を引いたり、文字等を記入するための道具である。」との記載があり、墨さしの写真が掲載されています。
以下の資料では確認できませんでした。
『文房四宝』 宇野 雪村/著 平凡社 1980年
『The筆 弘法は筆を選ぶ』 向久保 健蔵/著 日貿出版社 1984年
『墨色の美しさと用具』 川辺 尚風/著 知道出版 1997年
『木竹工芸の事典 新装版』 柳 宗理[ほか]/編集 朝倉書店 2005年
『竹』 内村 悦三/著 農村漁村文化協会 2019年
『図説竹工芸』 佐藤 庄五郎/著 共立出版 1980年
『竹と暮らし』 上田 弘一郎/編著 小学館 1983年
『竹の世界 Part1』 室井 綽/著 地人書館 1993年
『竹の世界 Part 2』 室井 綽/著 地人書館 1994年
- 事前調査事項
- NDC
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- 書.書道 (728)
- 建築計画.施工 (525)
- 木工業.木製品 (583)
- 参考資料
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李家正文 著 , 李家, 正文, 1909-1998. 筆談墨史 増補改訂. 学芸書林, 1973.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001277847-00 -
田淵実夫 著 , 田淵, 実夫, 1909-1991. 筆. 法政大学出版局, 1978. (ものと人間の文化史 ; 30)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001388764-00 -
榊莫山 著 , 榊, 莫山, 1926-2010. 文房四宝筆の話. 角川書店, 1998. (角川選書 ; 294)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002693349-00 , ISBN 4047032948 -
榊莫山 著 , 榊, 莫山, 1926-2010. 文房四宝筆の話. 角川書店, 1981.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001506102-00 -
世界の木工具研究会 編 , 世界の木工具研究会. 図説世界の木工具事典 = Illustrated Encyclopedia of Woodworking Hand Tools. 海青社, 2015.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I026274419-00 , ISBN 9784860992309 -
藤澤好一 監修 , 田處博昭 著 , 藤沢, 好一, 1938- , 田處, 博昭. 木造建築の木取りと墨付け. 井上書院, 2001.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003665140-00 , ISBN 4753025047 -
松留愼一郎 監修・執筆 , 前川秀幸, 田母神毅 著 , 松留, 慎一郎 , 前川, 秀幸 , 田母神, 毅. 図解大工技術を学ぶ : 道具・規矩・工作法. 市ケ谷出版社, 2006.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008348355-00 , ISBN 4870712261
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李家正文 著 , 李家, 正文, 1909-1998. 筆談墨史 増補改訂. 学芸書林, 1973.
- キーワード
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- 竹筆
- 筆
- 墨さし
- 大工
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000321711