レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012年2月4日
- 登録日時
- 2012/12/14 10:33
- 更新日時
- 2013/05/16 09:55
- 管理番号
- 埼久-2012-129
- 質問
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未解決
「メリーさんの羊」の作曲者はだれか。
- 回答
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『大人になってから読むマザー・グース』(加藤恭子・ジョーン・ハーヴェイ著 PHP研究所 1999)などでは「サラ・ヘイル」あるいは「ヘール夫人」(Sara Josepha Hale1788-1879)が作詞・作曲者とされることが多いが、『マザーグース童謡集』(宮川幸久ほか共編 日本英語教育協会 1986)ではジョン・ロウルストン説など複数の説がある。
- 回答プロセス
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作曲者について
『楽しく歌える英語のうた』(伊勢誠監修 成美堂出版 2003)
p10-11「メリーは子ひつじ飼っていた」(「19世紀のアメリカで生まれた童謡。日本では「メリーさんのひつじ」として有名」とある)
p10「作詞・作曲サラ・ヘイル」「女性雑誌の編集者であったサラ・ヘイルが、1830年に『少年少女のための文集』に発表した童謡です。」英語・日本語の歌詞と楽譜あり。
曲の由来について
『大人になってから読むマザー・グース』(加藤恭子・ジョーン・ハーヴェイ著 PHP研究所 1999)
p38-39「メリーさんの羊」の謎 マザーグースの日本でよく知られている英文と谷川俊太郎訳あり。
p40-41(Poem retold by Elsie Eunice Sawyer,1917.Courtesy of the Stering Historical Society,Inc.,Sterling, Masssachusetts, 01564, 1992)
2ページにわたり、マサチューセッツ州スターリングで伝えられている歌詞を紹介。(上記と数語違いあり)
p42-52 メリーさんは何者かについての3つの説を紹介している。
ア. エールズのヘール夫人(Hale)を作者、「メアリー」はウェールズ人のメアリー・トマス・ヒューズ(Mary Thomas Hughes)だとしている。
イ. ボストンの雑誌編集者サラ・ジョゼフ・ヘール(Sara Josepha Hale,1788-1879)が1830年に「Juvenile Miscellany 」に発表したのだという説もある。こちらのヘール夫人は「感謝祭(Thanksgiving)を固定の祭日にしようとする運動を推進したことでも知られている。
ウ. マサチューセッツ州スターリングの周辺では、あの「メアリー」はメアリー.ソーヤ-(Mary Sawer)だという噂が流布している。「メアリ・トマス・ヒューズ」ではないのだという。
『名作マザーグース70選』(藤野紀男著 三友社出版 1989.12)
p45-49 原詩と日本語訳があるほか、「トーマス・エジソンが蓄音機初めて録音したのもこの唄なので、何時までも歴史に名を留める唄だと言えよう。
【文献初出】
1830年9月にThe Juvenile Miscellany(Sept.-Oct,1830)に次のような詩形で掲載されたのが初めての記録となっている。24行の英詩で最後にS.J.H.のイニシャルあり。(英詩引用省略)
【初訳】
水谷まさるが次のように訳し、「マリイの羊」というタイトルをつけて『世界童謡集』(1924)に載せているが、これが日本での初訳であろう。(以下訳詩があるが省略)
『マザーグース 愛される唄70選』(谷川俊太郎訳 講談社 1996)
p70 アメリカのボストンに住んでいたヘイル夫人(Mrs.Sarah J.Hale1788-1879)が1830年9月にJuvenile Miscellanyという雑誌に発表したもので、マザー・グース童謡の中では珍しく作者と初発表時期がはっきりしている唄。子羊が学校へついて来るような「古き良き時代」(the good old days)のアメリカのイメージ(image)がこの唄にはあり、特にアメリカ人のノスタルジア(nostalgia)をかきたてるようだ。広く親しまれている点では、マザー・グース童謡の中でも抜群。
『マザーグース童謡集』(宮川幸久ほか共編 日本英語教育協会 1986)
p033-037 マザーグースの歌として親しまれているものはほとんど、制作年代も作者もはっきりしない中で、この歌は1830年代のはじめに、ボストンのMrs.Sarah .J.Haleという女性が、実際のエピソードに基づいて作詞したものと言われています。また、アメリカ生まれという点でも珍しい例です。日本でも「メリーさんの羊」という曲で知られていますが、英語圏でも最もよく知られた歌です。(作曲者についての記述なし)
逸話
そのすぐあとで出版されたPoems for Our Children: Designed for Families, Sabbath Schools,and Infant Schools...(1830年)にこの唄が収められていることから、同詩集の著者セアラ・ジョセファ・ヘイル夫人(1788-1879)がこの唄の作者であると一般的に考えられている。しかし、ハーバード出身のジョン・ロウルストンという青年(生没年不詳)こそ本当の作者であるという説も相当にひろまっているらしい。なんでも、ジョンがボストン郊外のスターリングで牧師をしていた叔父のもとに滞在していたときに、たまたまレッドストーン・スクールを訪れたところメアリー・エリザベス・ソーヤーちゃん(当時9歳)がかわいがっていた子羊が教室までついて来たのを目撃したのである。ジョンはこの出来事をたいへん面白く思い、早速3スタンザ(各4行)のこっけい詩を書き上げ、午後に再度学校を訪れてメアリーに手渡したという。後年メアリー(タイラー夫人となっていた)はこの話を肯定したと伝えられるので、「ロウルストン作者説」の信ぴょう性を高めたことであろう。この学校は今日でも保存されていて、記念碑には「ロウルストンが前半の3スタンザを、ヘイル夫人は後半の12行を作った」と記されているそうだ。
- 事前調査事項
- NDC
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- 詩 (931 9版)
- 児童文学研究 (909 9版)
- 参考資料
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- 『楽しく歌える英語のうた』(伊勢誠監修 成美堂出版 2003)
- 『大人になってから読むマザー・グース』(加藤恭子・ジョーン・ハーヴェイ著 PHP研究所 1999)
- 『名作マザーグース70選』(藤野紀男著 三友社出版 1989)
- 『マザーグース 愛される唄70選』(谷川俊太郎訳 講談社 1996)
- 『マザーグース童謡集』(宮川幸久ほか共編 日本英語教育協会 1986)
- キーワード
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- 童謡
- マザーグース
- Hale Sara Josepha(ヘール、サラ ジョセフ)
- ロウルストン ジョン
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000115748