レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019/11/08
- 登録日時
- 2020/01/24 00:30
- 更新日時
- 2020/01/24 00:30
- 管理番号
- 6001041230
- 質問
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解決
内村鑑三の『愛吟』が収録された資料を教えてほしい。また、当該書出版の過程や当時の評価などについても知りたい。
- 回答
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●『愛吟』収録資料
・『内村鑑三著作集 第17巻』(内村鑑三/著 岩波書店 1954)
p.294-397に内村鑑三の欧米訳詩集『愛吟 その他』が収録されています。なお、内村は後記で『愛吟』は「著者の著作中最も広汎に読者をえたものの一つ」(p.402)と語っています。
・『内村鑑三思想選書 6 ただ神とともに』(内村鑑三/著 羽田書店 1950)
当該資料にも内村の欧米訳詩集『愛吟』(明治30年7月)が収録(p.1-51)されており、各詩に英文と日本語訳が併記されています。
●『愛吟』について
・『内村鑑三:明治精神の道標(中公新書)』(亀井俊介/[著] 中央公論社 1977)
p.155-177に「3 訳詩集『愛吟』」についての記述があり、版を重ねつつ、いろいろな人に読まれた事実がありながら、「日本の近代詩史では全く無視されている」との記述があります。また、出版当時の評価はよいとは言えなかったが、それでも持続的に読まれ続けた様子が記述されています。
・『内村鑑三・青春の原像』(武田友寿/著 日本YMCA同盟出版部 1982.10)
p.121-123には、のちの『愛吟』創作に資することとなったというアメリカ留学についての記述があり、その間にどのように欧米の詩について学んだかが記されています。
・『現代に生きる内村鑑三』(内田芳明/著 岩波書店 1991.6)
『愛吟』創作にも関係すると思われる、ゲーテ、ワーズワース、ラスキンからの影響についての記述が、p.261-262に述べられています。
・『回想の内村鑑三』(鈴木俊郎/編 岩波書店 1956)
本書は、内村についての思い出を集めた資料ですが、『愛吟』を愛読した文学者などの文章も多く集められています。武者小路実篤(p.33-34)や大内兵衛(p.45-47)、ロシア文学者の昇曙夢(p.216-220)など、皆「『愛吟』を愛読した」との記述があります。
・『日米文学交流史の研究』(木村毅/著 恒文社 1982.6)
「第一七章 内村鑑三とアメリカ詩人」(p.471-502)の章には、アメリカ留学時におけるアメリカ詩への開眼の様子、当時早稲田の学生であった正宗白鳥が受けた感銘ぶり、内村がどのようなアメリカ詩をとりあげたかなどが詳述されています。最後に著者は、「内村鑑三は宗教家として文化的戦士として不朽であるが、アメリカの詩の紹介者としても、それに劣らず大きな功績をのこした。私のアメリカ文学にたいする関心と愛好は、少年時代によんだ内村の訳詩集『愛吟』に発源すると言ってよい。」と述べています。
・『明治翻訳文学全集 22 新聞雑誌編 アメリカ詩集』(川戸道昭/編集 大空社 1999.12)
中村嘉良雄「内村鑑三訳詩集『愛吟』の位置」p.297-308
著者は、訳詩集『愛吟』を「米国詩人を米国の社会が生んだ優れた詩人たちとして見る段階から一歩踏み込んで、彼らの詩を宗教的文学の観点からもっぱら見て行こうとする」ものとしています。内村が当該書を出版した過程や出版当時の評価についてもまとめられています。
[事例作成日:2019年11月8日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 各教派.教会史 (198 10版)
- 詩歌 (911 10版)
- 参考資料
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- 内村鑑三著作集 第17巻 内村/鑑三∥著 岩波書店 1954 (294-397、402)
- 内村鑑三思想選書 6 内村/鑑三∥著 羽田書店 1950 (1-51)
- 内村鑑三 亀井/俊介∥[著] 中央公論社 1977 (155-177)
- 内村鑑三・青春の原像 武田/友寿∥著 日本YMCA同盟出版部 1982.10 (121-123)
- 現代に生きる内村鑑三 内田/芳明∥著 岩波書店 1991.6 (261-262)
- 回想の内村鑑三 鈴木/俊郎∥編 岩波書店 1956 (33-34、45-47、216-220)
- 日米文学交流史の研究 木村/毅∥著 恒文社 1982.6 (471-502)
- 明治翻訳文学全集 22 復刻 川戸/道昭∥編集 大空社 1999.12 (297-308)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 人物・団体
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000272869