レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015年02月17日
- 登録日時
- 2021/10/29 14:28
- 更新日時
- 2021/12/27 13:25
- 管理番号
- KYUA-0067
- 質問
-
解決
【資料1】に以下のような記述あり。
『ヒレルが萩で採集した昆虫の標本は、ベルリンの博物館に送られていることを、後に九州大学農学部の江崎悌三教授(昆虫学)がみつ・・・』
江崎悌三(えざきていぞう)(1899−1957)教授が見つけたベルリンの博物館はどこか。
- 回答
-
江崎先生の著書では博物館に関する具体的な記述を発見できませんでした。
江崎先生以外の方が記された文献中に、ヒレル(Hiller, Reinhold)が萩で採取した標本は”Beliner Museum”に所蔵のものである旨の原記載(※1)があります。
ただし、これは原記載の翻訳文献で確認できた情報であり、真偽や詳細を確かめるためには、原本を確認するなど、さらなる調査が必要と思われます。
本学附属図書館で調査できることは以上です。ご期待に沿えず申し訳ありません。
これ以上の詳細については、協力が得られるかどうかは分かりませんが、江崎先生が初代教授を務めた九州大学昆虫学教室にお尋ねになることをお奨めします。
以下、昆虫学教室のウェブサイトです。
http://www.agr.kyushu-u.ac.jp/lab/entomology/(最終確認2021/12/17)
- 回答プロセス
-
1.【資料2】
ヨーロッパ滞在時代の想い出をつづる文章などが掲載されていますが、ヒレルの標本に関する記載は発見できませんでした。
2.【資料3】
ヒレルに関する記述が3個所あります。うち1箇所第二巻p.89「日本昆虫学史話 明治編」に、
『たくさんの甲虫を持ち帰り、Heydenが取りまとめ、Putzeys, Weise, Kraatz、Reitter、Eichhoffらによって分担研究され、日本甲虫の研究に大きな寄与をなした。』
と記載されていますが、その標本がどの博物館にあるという記述は発見できませんでした。
なお、【資料3】第一巻p389-432に著書目録が付与されており、【資料4】については、ドイツの博物館に関する記述があるものの、ヒレルの標本に関しては言及されていませんでした。
3.【資料5】
検索語「萩」「ヒレル」でGoogleを検索したところ、見つかった文献です。
『甲虫の標本はベルリン博物館に収蔵され』との記述があります。また、同文献中に参考文献として次の【資料6】が紹介されていました。
4.【資料6】
以下の記載がありました。
『・・・昆虫や植物を採取した。それをベルリン博物館へ送ったが、その中に陸貝も含まれ、1879年コベルトW. Kobeltが萩産としてHelix Lischkeana(= Trishoplita lischeana)リシケオトメマイマイを記載した。』
5.【資料7】
CiNii Articlesで「リシケオトメマイマイ」をキーワードに検索したところ、見つかった文献です。
p98にKobeltによるリシケオトメマイマイの原記載が訳されており、その中に以下の記載がありました。
『私の手許にある標本はBeliner Museum所蔵のもので(カタログ番号 Nr. 25711)Hiller氏により日本の萩で採取されたものである。』
ここで“Beliner Museum“との記載があるものの、綴りがこれで本当に正しいのか、また、特定の博物館の名称を指すものかどうか、という点が疑問です。
以下が原文のようで、本来ならこれを確認すべきですが、本学に所属が無いため確認できておりません。
『1879 Helix lischkeana Kobelt, Abh. Senckend Nat.Ges. 11,56, pl.7, fig.16』
6.AnimalBase http://www.animalbase.org/(最終確認2021/12/17)
ドイツのゲッティンゲン大学動物学研究所による昆虫も含む動物の学名データベースです。
検索語author「Kobelt」で検索するも、helix lischkeanaは見つかりませんでした。
- 事前調査事項
- NDC
-
- 昆虫類 (486 10版)
- 参考資料
-
-
【資料1】
山口県立萩高等学校編. 山口県立萩高等学校百年史. 山口県立萩高等学校, 1973.3. p. 37 -
【資料2】
江崎悌三著 ; 江崎シャルロッテ編. 江崎悌三随筆集. 北隆館, 1958.
http://hdl.handle.net/2324/1000322604 -
【資料3】
上野益三 [ほか] 編集. 江崎悌三著作集. 思索社, 1984.
http://hdl.handle.net/2324/1000272929 , ISBN 4783501211 -
【資料4】
江崎悌三. ヨーロッパ旅行みやげ(二). 新昆虫 7(4) p. 28-32. -
【資料5】
樋口尚樹. 偉人伝 萩ドイツ教師 R・ヒレル. 萩ネットワーク 7, p.4.
https://www.city.hagi.lg.jp/uploaded/attachment/4936.pdf (2021/12/17確認) -
【資料6】
波部忠重. 貝類研究採集者列伝 (65) ヒレル Hiller (1843-?). ちりぼたん, 17(3・4), p.101.
http://ci.nii.ac.jp/naid/110004759535 -
【資料7】
福田宏, 土田英治. リシケオトメマイマイの再発見とその分布. ちりぼたん, 19(4), p.97-104.
http://ci.nii.ac.jp/naid/110004759535
-
【資料1】
- キーワード
-
- ヒレル
- 江崎悌三教授
- 昆虫
- 標本
- ベルリンの博物館
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- (※1)原記載…生物分類学で学名を発表するさいに、新種の形質・特徴を記述すること。また、その文のこと。(出典:日本国語大辞典第二版. 小学館)
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000306705