レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20220727
- 登録日時
- 2023/01/12 00:30
- 更新日時
- 2023/04/05 17:58
- 管理番号
- 0401004591
- 質問
-
未解決
明治6年以前と思われるが、川村純義が欧米視察の際にニューヨークで(米国留学中の)横井左平太と会った、という記事が横井関係文書に出てくる。
横井は留学期間の延長をお願いしたらしいが、他に確認できる資料が見つからない。
(横井関係文書以外で)川村がニューヨークへ行った、横井と会った、と分かる資料はないか。
- 回答
-
参考資料①~③によると、川村は明治5年(1872年)11月にオーストリアのウィーン万国博覧会への出張を命ぜられ、生涯唯一となる外遊を経験。
4月にマルセイユへ到着。パリ、ロンドン、スイスを経て7月にウィーン入り。万博後再度ロンドン、リバプールへ。9月11日にリバプールを出航し、ニューヨークを経て明治6年11月に帰国した。
川村がニューヨークへ立ち寄った事は判明したが、横井と会ったという記述は確認できなかった。
また、国立公文書館アジア歴史資料センターHPで「丙2号大日記 勝小鹿外8名引続留学の件正院申出」がヒット。
明治4年12月10日付の文書中に伊勢左太郎(横井の別名)と川村少輔の名が確認できる。
この時期は、参考資料④によると横井が一時帰国している時期である。
上掲の旨回答し、参考資料を紹介した。
- 回答プロセス
-
「川村純義」「横井左平太」で自館検索しヒットした資料を調査。次に人名辞典類を確認するが略歴のみ。
川村が海軍関係者との情報から、分類390の書架をブラウジング。
『日本海軍史 第11巻』p363に川村純義関連の資料が複数紹介されていた為、書名等で自館検索しヒットした資料を調査。
参考資料①②③によると、川村は明治5年11月にウィーン万博への出張を命じられ、翌年4月にマルセイユ到着。パリ、ロンドン、ウィーン等を歴訪し9月11日にリバプールを出航。ニューヨークを経て11月に帰国した。
ニューヨークへ行ったことは判明したが横井とのつながりは不明。
次に、国立国会図書館デジタルコレクションで『日本海軍史』に紹介されていた『無敵海軍の父』を調査。
p51に「彼が初めて海外視察をしたのは、明治六年墺國に萬國博覧會が開かれた時」との記載があった。
さらに渡航記録がないかインターネットで検索。
国立公文書館アジア歴史資料センターHPで「川村少輔 米国」で検索したところ、「丙2号大日記 勝小鹿外8名引続留学の件正院申出」がヒット。
横井の別名・伊勢左太郎と川村少輔の名が記載されていることを確認。
なお、日付は明治4年12月10日で、参考資料④p246の年譜によると横井が一時帰国している時期である。
「伊勢左太郎」で検索すると他にも数件文書がヒット。
【国立公文書館アジア歴史資料センターHP】「丙2号大日記 勝小鹿外8名引続留学の件正院申出」
https://www.jacar.archives.go.jp/das/image/C09090558000(2023.1.21最終確認)
【国立国会図書館デジタルコレクション】(送信サービスで閲覧可能)
「無敵海軍の父」(永続的識別子:info:ndljp/pid/1043049)p51に(川村が)明治6年に海外視察したとの記載あり。(2023.1.21最終確認)
- 事前調査事項
-
鹿児島出身の川村純義(かわむら すみよし)は明治政府の海軍関係者(身分は少輔)である。
- NDC
-
- 個人伝記 (289 10版)
- 団体 (206 10版)
- 海軍 (397 10版)
- 参考資料
-
- 明治海軍の創始者川村純義.中牟田倉之助伝,田村 榮太郎/著,日本軍用図書,1944年 (①p50「明治五年十一月澳國博覧會へ派遣するの命があり渡欧。(中略)九月ニューヨーク経由で帰朝した」とあり。p49-52コピー提供。|0112677323|/289.1/カ/)
- 維新の政治変革と思想,伊藤 之雄/編著,ミネルヴァ書房,2022.4 (②p286-「西海巡幸と洋行」に「生涯唯一となる外遊を経験する。(中略)九月一一日にリバプールを出航し、ニューヨークを経て明治六年一一月に帰国する。」とあり。|0141133025|C/206/イ/)
- 中牟田倉之助伝,中村 孝也/著,大空社,1995.6 (③p532-536に川村海軍少輔の記載あり。「十一日、川村・末川・谷本・朽木は乗船して先づニウヨルクに赴く。」とあり|0116430661|/289.1/ナ/)
- 幕末維新期の米国留学,高木 不二/著,慶應義塾大学出版会,2015.9 (④横井左平太の留学事情が記載されている。p245-246年譜によると1866-1871、1872-1874にアメリカ留学している。|0141468264|/289.1/ヨ/)
- 岩倉使節団の群像,米欧亜回覧の会/編,ミネルヴァ書房,2019.2 (記載なし|0141128199|C/283/イ/)
- 特命全権大使米欧回覧実記 1,久米 邦武/編著,慶應義塾大学出版会,2005.5 (p265にアナポリスの記載はあるが横井に関する記載なし。|0118662444|/210.6/ク/1)
- 日本海軍史 第11巻,海軍歴史保存会/編,第一法規出版,1995.11 (p363川村純義関係図書資料目録あり。貸出。|0116298589|/397.2/カ/)
- 近現代日本人物史料情報辞典,伊藤 隆/編,吉川弘文館,2004.7 (p139略歴あり。|0118032465|R/281/イ/)
- 政治家人名事典,日外アソシエーツ株式会社/編集,日外アソシエーツ,2003.10 (p190略歴あり。|0117937920|R/310.3/ニ/)
- 明治大正人物史 第1巻,渋沢 栄一/監修,日本図書センター,2004.5 (0118072727|/281/メ/1)
- 類聚 伝記大日本史 第13巻 海軍篇 復刻版,小笠原 長生/編,雄山閣出版,1981年 (0110636909|/210.8/ル/)
- 人物レファレンス事典 明治・大正・昭和<戦前>編3<2010-2018>あ~す,日外アソシエーツ株式会社/編集,日外アソシエーツ,2019.6 (0141809418|R/281/ジ/3-1)
- 近現代日本人物史料情報辞典,伊藤 隆/編,吉川弘文館,2004.7 (0118032465|R/281/イ/)
- 明治天皇と輔弼の人々,渡邊 幾治郎/著,千倉書房,1936. (0115063075|/フマア/05453/)
- 鹿児島大百科事典,南日本新聞社鹿児島大百科事典編纂室/編,南日本新聞社,1981年 (0111387817|R/219.7/カ/)
- 近代日本の海外留学史,石附 実/著,ミネルヴァ書房,1972年 (0111210183|/377.6イ/シュ/052440)
- キーワード
-
- 川村純義
- かわむら すみよし
- 川村少輔
- かわむら しょうゆう
- 横井左平太
- よこい さへいた
- 伊勢左太郎
- いせ さたろう
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000327013