レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012年02月21日
- 登録日時
- 2012/02/21 18:44
- 更新日時
- 2013/09/13 15:52
- 管理番号
- 秋田-1401
- 質問
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解決
1. 童謡「シャボン玉」ができた頃の時代背景が知りたい。
2. あわせて、子どもたちがどのように童謡を歌っていたか知りたい。
- 回答
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1.
『日本児童文学大系』第二巻 菅 忠道/三一書房/1955 p.385 に、
「明治の半封建的な時代精神を反映する御伽話を先頭とする教訓説話文学や忠臣孝子の美談が児童文学の主流だった時代」から「西欧デモクラシーの思潮と、ようやく知識階層の間に認められてきた児童の自由な心を反映する近代的な情を生命とする童心解放の文学の時代」とあり。
また、以下にも第一次世界大戦と大正デモクラシーの関係、教育界へ及ぼした影響についての記述がある。
『図説明治百年の児童史』下 唐沢富太郎/講談社/1968
Ⅷ 大正デモクラシーと児童
「2 大正デモクラシーと児童中心主義」p266-267
「2 大正期の児童文学と『赤い鳥』」p.342-343
2.
『図説明治百年の児童史』下 唐沢富太郎/講談社/1968
三 創作童謡と幼年唱歌の発達「1 『赤い鳥』と創作童謡」p.346-347 に、
「『赤い鳥』による童謡運動は、山田耕作、成田為三、弘田龍太郎、本居長世、草川信、その他のすぐれた作曲家の協力によって、新しい感覚による新しい童謡に、新しい作曲が付せられたのであるが、発表されるごとに、子どもたちは、たのしく、美しく、すなおに歌った。そして小学校の唱歌の時間にも、童謡の方が多く歌われるほどにさえなったのである。」
と記載あり。また、
「多くの詩人・作曲家たちがこの運動に参加し、童謡レコードが発売され、各地で童謡音楽会が開催された」(「教育研究」(初等教育研究会)にみる童謡教育論/嶋市優子/全国大学国語教育学会発表要旨集 105, 81-84, 2003-10-11)という状況だったようである。
「シャボン玉」自体の作品解説については、以下参考。
『日本文芸鑑賞事典』7 石本隆一ほか編/ぎょうせい/1987 p.431-436
『名作童謡野口雨情 100選』野口雨情/春陽堂書店/2005 p.196-198
『童謡へのお誘い』横山太郎/自由現代社/2001 p/259-263
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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当初は「シャボン玉」の発表された1922年に何があったか、という問いだったが、この1曲に限定せず、大正期に児童雑誌を舞台として多くの童謡が作られた背景について調べた。
ちなみに1922年は、世界的にはワシントン海軍軍縮条約の締結された年であり、国内では日本社会党の結成などがあげられる。
- NDC
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- 教育学.教育思想 (371)
- 児童文学研究 (909)
- 詩歌 (911)
- 参考資料
- キーワード
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- 童謡
- シャボン玉
- 大正デモクラシー
- 童謡運動
- 野口雨情
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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「赤い鳥」については、教育・国語学・音楽・芸術などなどの面から盛んに研究が行われていて、今回紹介したものもその一面から見たものになる。
電話受付、文書で回答 渡部
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 一般
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000102059