『ガイドブック世界の民話』で調査したところ
悪魔、農民の項に記載なし。索引で悪魔の各頁を確認。それらしい物語の記載なし。という結果でした。
しかし、お探しのストーリーに近いものに「イワンの馬鹿」(トルストイ)があります。
内容は、「裕福な百姓には三人の息子がいました。軍人のセミヨン、商人のタラス、そして馬鹿のイワンの3人でした。老悪魔は、財産分けでトラブルがなかったことに腹を立て、三人の小悪魔を呼びつけ、三人兄弟をケンカさせるようにいいました。三人を貧乏にすればケンカするに違いないと思った小悪魔たちは、担当を決めて仕事の邪魔をします。イワン担当の悪魔は、イワンに腹痛を起こさせ、農作業の邪魔をします。ついには、イワンのひく鋤をひっぱりますが、イワンに見つかりしくじります。セミヨン担当は、うまくいって、イワン担当が失敗したことを知り、自分が仕事の邪魔をしますが、草刈りの邪魔をして鎌で尻尾を切られます。今度は、麦の束にもぐって腐らせようとするのですが、うっかり眠ってしまい、フォークで串刺しにされます。・・・後略・・・」といったものです。
*参考:『イワンの馬鹿:トルストイの散歩道2』(レフ・トルストイ/著 北御門二郎/訳 あすなろ書房 2006.5)
お探しの物は絵本ということで、府立図書館蔵書検索で「タイトル:イワンノバカ」「NDC:E」で検索したところ
『ドレミファランド6:こどものうたと名作童話 イワンのばか』(重松祥司/編 世界文化社 [19‐‐])がヒットしましたが、中を確認したところ、お探しの物とは一致しませんでした。
次に「タイトル:イワンノバカ」「利用対象:児童」とし、児童書で挿絵の多いものをさがしました。
『学習版 世界こども名作全集(漢字関連 学習おもしろ百科 第13巻:イワンのばか)』(フレホ・アートスタジオ/絵 小学館 1986.11 )が挿絵の多いタイプでした。その中の「三人のむすこ(p5-28)」に、麦束にくま手をさしたところ、悪魔が突き刺さる場面(p18-19)があります。
続いて、児童文学館での調査で「イワンの馬鹿」の所蔵分で絵が多い、もしくは鍬(鎌)でしっぽを刺されるシーンがあるものとして以下の資料が見つかりました。
絵本
『イワンのばか:講談社の絵本・ゴールド版104』(長谷川露二/絵 久米元一/文 講談社 1964.7)
フルカラーの絵。p10-11あたり(ページ記載なし)にいわんのほーくにひっかかったという表現と藁とともに持ち上げられた悪魔の絵あり。
『イワンのばか:トッパンの絵物語』 (米川正夫/文 トッパン 1956.5)
p17にまたざおの先におしりをつきさされた悪魔がくっついている表現があるが、該当の絵はなし。白黒とカラーの挿絵が各見開きごとに付いていて絵本に近いが、資料自体が古い。
物語で挿絵が多く、鍬(鎌)でしっぽを刺されるシーンがあるもの
『イワンのばか:児童名作全集29』(トルストイ/原作 土屋由岐雄/編著 偕成社 1966.3)
p40に草かきのするどい先が悪魔の背中に突き刺さるとの表現はあるが、その箇所の挿絵はなし。
『ロシアのむかし話:母と子の世界むかし話シリーズ3』(松谷さやか/著 研秀出版 1966)
p35-50「イワンのばか」各頁に黒と青の2色絵がある。p41に鎌にひっかかった悪魔の絵あり。
『イワンのばか:母と子の名作文学24』(トルストイ/作 おのちゅうこう/文 集英社 1970)
p50-51 鎌でしっぽを切られる描写と挿絵、p54-55 くま手に引っかかる描写とカラー口絵(p55と巻頭)
『ロシアのお話:オールカラー版世界の童話42』(教育童話研究会/編 小学館 1972.2)
p4-35「イワンのばか」(村上勉/絵) 各見開き頁にフルカラーの絵がある。p12-13に鎌を持ったイワンとちぎれたしっぽを手に持った悪魔の絵あり。
作品を探すには、もう少し情報が必要です。5年以上前に読み聞かせた絵本ということですが、各頁ごとに絵がありましたでしょうか?大きさ、形態、本の厚み(ページ数の分量)、絵の雰囲気、色合い、出版年などがわかれば探す際に絞り込むことが可能です。また、おはなしはしっぽを刺されて終わりだったか続きがあったか、日本か外国かなども覚えてらっしゃる範囲でご記入いただくと調査の際の判断材料になります。また、どこで見たなども分かればヒントになります。 継続調査が必要な場合は、追加情報をお願いします。
今回の調査は、こども資料室と国際児童文学館で調査いたしました。