レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017/05/18
- 登録日時
- 2017/06/10 00:30
- 更新日時
- 2017/06/10 00:30
- 管理番号
- 6001023977
- 質問
-
解決
犬と猫の母乳の詳しい成分について知りたい。また、初乳は成分が違うと聞いたが、もし初乳の成分に関する文献もあれば紹介して欲しい。
- 回答
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1.母乳の成分について
犬の母乳および初乳の成分については、内容が確認できた中で次の資料が一番詳しい資料でした。
『ペット栄養学会誌』Vol.7 ※J-STAGEで公開されています。
「(13)イヌ・ネコのライフステージと栄養(その1)(坂根弘/著 マーク・モーリス研究所 2004)
http://doi.org/10.11266/jpan1998.7.1_29 (2017/05/18現在)
p.34-37 繁殖期の、主に母犬が必要とする栄養について書かれていますが、乳汁中の成分についての記述も少し見られます。
p.38 初乳と成熟乳についての説明があります。分娩後最初の2~3日間に分泌される母乳を初乳、泌乳開始第1週の終わり頃から分泌される母乳を成熟乳と呼び分けており、それぞれについての成分についての記述もあります。
p.39 乳汁中に含まれる蛋白質、脂肪、炭水化物、カルシウムおよびリンならびに他のミネラル類それぞれについて書かれていますが、初乳中の成分についての記述がないものもあります。
なお、(その2)は同著者の猫についての論文ですが、こちらでは乳成分についての記述は見つけられませんでした。
「(14)イヌ・ネコのライフステージと栄養(その2)」
http://doi.org/10.11266/jpan1998.7.2_67
2.乳成分比について
乳成分比については、以下の資料にそれぞれ次のような記述がありました。
・『イラストでみる犬学』(林良博/監修 講談社 2000.6)
p.31
「乳汁成分(%)の比較」として、ウシ(ホルスタイン)とウマと比較した表があります。
犬のものについては、脂肪 9.5% タンパク質 9.3% 乳糖 3.1% 灰分 1.2%
と書かれています。
・『イラストでみる猫学』(林良博/監修 講談社 2003.11)
p.73
表3
「乳成分(%)の比較」として、ウシと比べたパーセントが載っています。
(ウシについては省略)
水分 81.5% 脂肪 5.1% 乳糖 6.9% タンパク質 8.1% カルシウム 0.035% リン 0.07% 全固形分 18.5% エネルギー(ME Kcal/100g) 97.0
と書かれています。
3.その他論文抄録
JDreamIII(国立研究開発法人科学技術振興機構)で、「乳汁 成分」または「初乳」と、「イヌまたはネコ」のキーワードを組み合わせて検索しました。
・イヌの「初乳」について何らかの記述があるもの
「わが国における各種ほ乳動物の乳汁成分(IX) 常乳脂質に対する初乳脂質の脂肪酸組成の比較」(片岡啓, 宮本拓, 中江利孝 (岡山大・農))
『酪農科学の研究』Vol.24 No.1 Page.A・15-A・20 (1975)
内容:イヌの初乳脂質の脂肪酸組成と、常乳脂質の脂肪酸組成の比較について
「授乳期イヌにおける乳汁の蛋白質および栄養組成の変化」
(原著名「Changes in protein and nutrient composition of milk throughout lactation in dogs.」)
(ADKINS Y, LOENNERDAL B (Univ. California, CA), LEPINE A J (Iams Co., OH))
『Am J Vet Res』(Vol.62 No.8 Page.1266-1272 (2001.08))
内容:授乳期のビーグル10頭の分娩後1,3,7,14,21,28,35,および45日に採取した乳汁標本について
(蛋白質濃度、非蛋白態窒素濃度、カゼイン対乳清比、ラクトース濃度、クエン酸濃度、鉄、亜鉛、銅およびマグネシウム濃度、カルシウムおよびりん濃度)
・イヌの「乳成分」について何らかの記述があるもの
「イヌにおける授乳 乳組成と子イヌによる摂取」
(原著名「Lactation in the dog: Milk composition and intake by puppies.」)
(OFTEDAL O T (Cornell Univ., NY))
『J Nutr』(Vol.114 No.5 Page.803-812 (1984.05)
内容:ビーグル犬の出産後7‐37日間の、イヌ乳成分の平均について
「犬乳中の珍しいラクトース硫酸エステルの存在」
(原著名「Occurrence of an unusual lactose sulfate in dog milk.」
(BUBB W A (Univ. Sydney, NSW, AUS), URASHIMA T, KOHSO K, NAKAMURA T, ARAI I (Obihiro Univ. Agriculture and Veterinary Medicine, Hokkaido, JPN), SAITO T (Tohoku Univ., Sendai, JPN))
『Carbohydr Res』(Vol.318 No.1/4 Page.123-128 (1999.05.31)
内容:ビーグル犬の乳の主成分について
(ラクトース,2'‐フコシルラクトース,シアリル少糖類、β‐D‐Galp3S‐(1→4)‐D‐Glc(ラクトース3'‐硫酸エステル)など)
・ネコの「初乳」について何らかの記述があるもの
「ネコ体液中の免疫グロブリン組成」(YAMADA T, TOMODA I, USUI K (Univ. Tokyo))
(原著名「Immunoglobulin compositions of the feline body fluids.」)
『Jpn J Vet Sci 』Vol.46 No.6 Page.791-796 (1984.12)
内容:
ネコの血清及び体液中の免疫グロブリン量について
「ネコの泌乳期間における乳汁の栄養および蛋白質成分の変化」
(原著名「Changes in nutrient and protein composition of cat milk during lactation.」)
(ADKINS Y, ZICKER S C, LOENNERDAL B (Univ. California, CA), LEPINE A (Iams Co., OH))
『Am J Vet Res』Vol.58 No.4 Page.370-375 (1997.04)
内容:
短毛種12頭の分娩後1,3,7,14,28,42日の乳汁について、窒素,非蛋白態窒素,ホエー蛋白,アミノ酸,総脂質,ラクトース,クエン酸,無機質,微量元素の変動を記載した
「ネコの乳汁成分の発育過程による変化 微量元素,無機質,たんぱく質,炭水化物,脂肪」
(原著名「Developmental changes in composition of cats' milk: Trace elements, minerals, protein, carbohydrate and fat.」)
(KEEN C L, LONNERDAL B, CLEGG M S, HURLEY L S, MORRIS J G, ROGERS Q R, RUCKER R B (Univ. California))
『J Nutr』)Vol.112 No.9 Page.1763-1769 (1982.09)
内容:
乳の鉄,銅,亜鉛,Mn,Ca,Mg,たんぱく質,炭水化物,脂肪を授乳期間中分析した
英文抄録:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/6213745
「雌ネコの乳汁組成および乳汁産生量に関する研究」
(原著名「Investigations on Milk Composition and Milk Yield in Queens.」)
(DOBENECKER B, ZOTTMANN B, KIENZLE E (Ludwig‐Maximilians Univ., Muenchen, DEU), ZENTEK J (Tieraerztliche Hochsch. Hannover, Hannover, DEU))
『J Nutr』Vol.128 No.12 Supplement Page.2618S-2619S (1998.12)
内容:
乳汁産生量および乳汁組成(多量栄養素,ラクトース,多量要素および微量要素,ビタミンAと脂肪酸,およびアミノ酸パターン)の授乳期間中の変化を検討した。
http://jn.nutrition.org/content/128/12/2618S.full
(英文であればインターネット上で全文公開されているようです。)
・ネコの「乳成分」について何らかの記述があるもの
「母乳又は代用乳を与えた子猫の比較」
(原著名「Comparison of kittens fed queen's milk with those fed milk replacers.」)
(REMILLARD R L, PICKETT J P, THATCHER C D, DAVENPORT D J (Virginia Polytechnic Inst. and State Univ., VA)
『Am J Vet Res』Vol.54 No.6 Page.901-907 (1993.06)
「ネコの栄養の特殊性」
(原著名「Les particularite' s nutritionnelles du chat.」)
(FERRANDO R)
『Rev Aliment Anim』No.357 Page.13-17 (1982.09)
内容:
ネコの乳は他の動物のそれに比べて著しくタウリンが多い
「泌乳中期のサーバル(Felis serval)乳汁の組成」
(OSTHOFF G., HUGO A., DE WIT M. (Dep. of Microbial, Biochemical and Food Biotechnology, Univ. of the Free State, Bloemfontein, South Africa))
『Comp Biochem Physiol B Biochem Mol Biol』Vol.147 No.2 Page.237-241 (2007.06)
内容:
一般的に,サーバルの乳汁はイエネコやチーターよりも高い蛋白質と脂肪の含量を有し,イエネコよりも低含量の不飽和脂肪酸を有していた。
[事例作成日:2017年5月18日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 家畜.畜産動物.愛玩動物 (645 8版)
- 参考資料
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- イラストでみる犬学 林/良博∥監修 講談社 2000.6 (31)
- イラストでみる猫学 林/良博∥監修 講談社 2003.11 (73)
- http://doi.org/10.11266/jpan1998.7.1_29 ((13)イヌ・ネコのライフステージと栄養(その1))
- キーワード
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- 犬(イヌ)
- 猫(ネコ)
- 乳(チチ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 書誌事項調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000217102