レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014年10月16日
- 登録日時
- 2015/02/24 14:59
- 更新日時
- 2017/05/24 10:48
- 管理番号
- S14-005
- 質問
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解決
整形外科医・岩原寅猪(いわはら とらい)の著作『脊髄損傷の臨床』(昭和27年) *1 にて紹介されている、岩原の著作2点を探して欲しい。
調査対象論文は以下の2点である。
論文①「脊髄損傷の後貼症と後療法(原文ママ)」(昭和24年)
論文②「脊髄射創に於ける留弾と瘻孔とは常に手術の対象となる(日外会誌第42圖, 昭16)。」
*②は論題ではない。
- 回答
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論文①
『日本整形外科学会雑誌』24巻1・2号に「第22回日本整形外科学会総会記事」が掲載されており、
110ページに「宿題報告 脊髄損傷の後遺症と後療法 慶応大学整形外科 国立箱根診療所 岩原寅猪」
という記述があるだけで本文は掲載されていなかった。
論文②
安田常男、岩原寅猪、大内正夫「脊髄戦傷 脊髄射創の手術適応批判」
『日本外科学会雑誌』42巻7号、p.1159-1162に掲載あり。
- 回答プロセス
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【調査概要】
下記のプロセスで検索した。
■論文①
1. オンラインデータベースで検索。
2. Google Booksで検索。
3. 国立国会図書館デジタルコレクションで検索。
4. 3の結果見つかった『日本整形外科学会雑誌』の内容を確認。
■■論文②
1. オンラインデータベースで検索。
2. 質問の典拠「日外会誌第42圖」の所蔵館に参考調査を依頼。
【回答プロセス】
■論文①の調査経過
1. CiNii Articles、NDL-OPAC、医中誌、メディカルオンラインの各データベースにて、論文名等で検索する。
⇒いずれのデータベースでもヒットせず。
2. Google Booksにて論文名等で検索する。
⇒論文名ではヒットせず。
検索キーワードを「岩原寅猪 脊髄損傷」に変えて再検索すると9件ヒットした。
以下のような情報が確認できた。
・『慶應義塾大学医学部食養研究所変遷史』(平成2年) *2
285ページに「昭和24年度 岩原寅猪 脊椎損傷の後遺症と後療法」という記述あり。
こちらでは脊髄が「脊椎」になっており、また後貼症が「後遺症」と記述されていた。
・『慶應義塾百年史』(昭和43年) *3
67ページに「脊髄損傷の後遺症と後療法」という記述あり。
こちらも「後遺症」と記述されていた。
・『慶應義塾大学医学部六十周年記念誌』(昭和58年) *4
414ページに「岩原寅猪は、昭和24年「脊髄損傷の後遺症と後療法」の宿題報告を行った。」という記述あり。
同論文が「宿題報告」であったことが分かった。どの学会で報告したかについては記述がない。
3. 国立国会図書館デジタルコレクションにて論文名等で検索する。
⇒論文名ではヒットせず。
「岩原寅猪」で再検索すると、次の資料が見つかった。
・「追悼 故岩原寅猪名誉会員」(『日本整形外科学会雑誌』、62巻6号、105-106、1988年) *5
106ページに
「・・・昭和24年、第22回日本整形外科学会において、「脊髄損傷の後遺症と後療法」として宿題報告され・・・」
という記述あり。
(『日本整形外科学会雑誌』は国立国会図書館デジタル化資料送信サービス対象資料につき、参加館で利用可。)
報告が行われた学会が判明したことから、同学会の機関誌である『日本整形外科学会雑誌』に
当該の宿題報告が掲載されていないかを調査することになった。
4. 国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている『日本整形外科学会雑誌』に
岩原寅猪の宿題報告が掲載されていないか確認する。
⇒昭和24年以降の目次を確認したが、それらしい論題は見つからず。
同誌24巻1・2号に「第22回日本整形外科学会総会記事」が掲載されており、各ページを確認したところ、
110ページに「宿題報告 脊髄損傷の後遺症と後療法 慶應大学整形外科 国立箱根診療所 岩原寅猪」
という記述があるだけで本文は掲載されていなかった。 *6
⇒これ以上の調査は難しいと判断し、調査結果を依頼者に報告した。
■論文②の調査経過
1. CiNii Articles、NDL-OPAC、医中誌、メディカルオンラインの各データベースにて
「脊髄射創」などをキーワードとして検索した。
⇒いずれのデータベースでもヒットせず。
2. 「日外会誌」は『日本外科学会雑誌』の略語であると判断し、同雑誌の42巻を所蔵している
京都大学附属図書館に以下のような参考調査を依頼した。(同雑誌の42巻も昭和16年に出ており、
典拠の情報と一致することから、『日本外科学会雑誌』のことであると判断した)
調査対象誌: 『日本外科学会雑誌』42巻
調査内容 : 次のキーワードのいずれかが含まれている論文の有無について
キーワード: 脊髄、脊髄射創、留弾、瘻孔、岩原寅猪
⇒京都大学附属図書館から以下の回答があった。
掲載 : あり
論題 : 脊髄戦傷 脊髄射創の手術適応批判 *7
執筆者: 安田常男、岩原寅猪、大内正夫
掲載巻号およびページ数: 42巻7号、1159-1162
⇒以上のように論文情報の確認ができたので、調査結果を依頼者に報告した。
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
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*1) 岩原寅猪. 脊髄損傷の臨床. 医学書院, 1952.
※国立国会図書館デジタルコレクション収録。国立国会図書館/図書館送信参加館内公開。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1371324(参照: 2015-02-25) -
*2) 慶應義塾大学医学部食養研究所変遷史編集委員会. 慶應義塾大学医学部食養研究所変遷史. 慶應義塾大学医学部, 1990.
※Google Booksで公開。
http://books.google.co.jp/books?id=5RrurWnPajMC&printsec=frontcover&hl=ja#v=onepage&q&f=false
(参照: 2015-02-25) -
*3) 慶應義塾. 慶應義塾百年史 下巻. 慶應義塾, 1968.
※Google Booksで公開。
https://books.google.co.jp/books?id=CupGAAAAIAAJ&printsec=frontcover&hl=ja#v=onepage&q&f=false
(参照: 2015-02-25) -
*4) 慶應義塾大学医学部六十周年記念誌編集委員会. 慶應義塾大学医学部六十周年記念誌. 慶應義塾大学医学部, 1983.
※Google Booksで公開。
https://books.google.co.jp/books?id=kA9QYCN9j88C&printsec=frontcover&hl=ja#v=onepage&q&f=false
(参照: 2015-02-25) -
*5) 鳥山貞宜. 追悼 故岩原寅猪名誉会員. 日本整形外科学会雑誌. 1988, 62(6), 105-106.
※国立国会図書館デジタルコレクション収録。国立国会図書館/図書館送信参加館内公開。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3401916(参照: 2015-02-25) -
*6) 岩原寅猪. 宿題報告 脊髄損傷の後遺症と後療法. 日本整形外科学会雑誌. 1950, 24(1/2), 110.
※見出しのみ。本文掲載なし。
※国立国会図書館デジタルコレクション収録。国立国会図書館/図書館送信参加館内公開。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3401474(参照: 2015-02-25) - *7) 安田常男, 岩原寅猪, 大内正夫. 脊髄戦傷 脊髄射創の手術適応批判. 日本外科学会雑誌. 42(7), 1159-1162.
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*1) 岩原寅猪. 脊髄損傷の臨床. 医学書院, 1952.
- キーワード
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- 脊椎損傷
- 整形外科
- 岩原寅猪
- 照会先
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- 論文② 京都大学附属図書館 http://www3.kulib.kyoto-u.ac.jp/(参照: 2015-02-25)
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 書誌的事項調査
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000168210