レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023/02/22
- 登録日時
- 2023/03/09 00:31
- 更新日時
- 2023/03/09 00:31
- 管理番号
- 6001060196
- 質問
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解決
古典籍資料の情報に「識語」と書かれていることがあるが、「識語」とはなにか。
- 回答
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「識語」については次の資料に記載があった。
■『日本古典籍書誌学辞典』(井上宗雄/[ほか]編 岩波書店 1999.3)
・「識語<奥書等>」(p.258)
「ある書籍についてのさまざまな情報を、その書籍に書き加えた文字・文章をいう。」
奥書と区別がつきにくい場合もあり定説をみないが、「記載者がその書籍の著者や書写者ではなく、所蔵者」などの「後人であるときに識語といい、奥書と区別されている。」とある。
また「記載される内容は、その書籍の著者や著作意図に関する考証、その書籍の伝来や由緒、入手するに至った経緯から、読後の感想、後人へのメッセージまで、実に多様である。多くの場合、記載者の署名と日付を付す。巻末に記載されたものが多いが、見返しや遊び紙など、巻中の余白のどの部分にでも記載されることもある。」とある。
・「奥書<奥書等>」(p.83)
「奥書を漢語では識語という、として同一とみる説もあるが、識語は巻中どこにでも記されるものなので、別とすることが普通である。」
■『日本書誌学用語辞典』(川瀬一馬/著 雄松堂出版 1985)
「識語」(p.135)に「書物に書き加えた文字・文章をいう。」とあり、見返し、巻末、巻中どこに加えられていても識語というとある。
■『日本書誌学を学ぶ人のために』(広庭基介/著 世界思想社 1998.5)
「15、識語、校語、付箋」
「識語は、もともとその本についているのではなく、何によらず後人が加筆したり、書き加えたりしたものすべてをいう。他人の跋文や奥書の類も含める。版本にも写本にもいう。したがって識語によって、成立、伝本、本文等について、多くの問題が惹起されたり、反対に解決されたりすることも少なくない。」(p.188-189)
[事例作成日:2023年2月22日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 写本.刊本.造本 (022 10版)
- 参考資料
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- 日本古典籍書誌学辞典 井上/宗雄∥[ほか]編 岩波書店 1999.3 (79、83、258)
- 日本書誌学用語辞典 川瀬/一馬∥著 雄松堂出版 1985 (135)
- 日本書誌学を学ぶ人のために 広庭/基介∥著 世界思想社 1998.5 (188-189)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 書誌事項調査
- 内容種別
- 出版情報
- 質問者区分
- 業務
- 登録番号
- 1000330035