レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20220525
- 登録日時
- 2023/03/02 00:30
- 更新日時
- 2023/03/02 00:30
- 管理番号
- 0400002163
- 質問
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未解決
江戸時代の越後での藩札と共通貨幣との両替についてわかる本が見たい。
- 回答
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江戸時代の越後の藩札と共通通貨の両替としては、新発田藩が銭座・両替座を設けており、町中には銭札所が7~9か所設けられたとの記載があった。ただし、どの場所だったかは不明。
●藩札の流通や使用について
(1)『藩札の経済学』(鹿野 嘉昭著 東洋経済新報社 2011)
諸藩における藩札の流通形態は2つだったと記載されている。
・「専一流通」領民に対しては保有正貨と藩札の交換を義務付け、藩札のみを領内の通貨とする(ただし、領外取引の決済に必要な金額に限り正貨との兌換が認められる)
・「混合流通」正貨とならんで藩札が併用される。
(2)『日本貨幣史概説』復刻版(久光 重平著 国書刊行会 1996)p121
藩札は領主権に基づいて強制通用させたもののため他領では通用しないのが原則。また領内通用を確保するため硬貨の流通を禁じたので、他国者の旅行の場合など不便を感じさせた、と記載あり。
(3)『日本通貨図鑑 カラー版』(日本専門図書出版 2004)p260
各藩では藩内の資金決済は原則として領内限りで通用が認められた藩札の使用を強制し、金銀貨、銅貨は江戸や大阪の商人、あるいは他藩との取引決済資金に使用された、とあり。
(4)『誰にもわかる 貨幣(おかね)の歴史』(本間 重蔵著 新潟日報事業社 1996)p117
幕府は発行に際し札会所(札座)を設置させ、期限付きで領内限り通用させたこと、藩札と正貨の交換には打歩を以って当たらせたが、期限がくると藩は新札と交換させたり、兌換を求めると権力で制止するなど不換紙幣同様だった、と記載あり。
(5)『近世藩制・藩校大事典』(吉川弘文館 2006)p157~162
藩札の発行に際して、藩当局は札奉行・札場目付などの職制を設け、城下町や領内の主要な地点に藩札会所(札会所・札座・銀札会所など)を開設した、と記載あり。
(6)『貨幣』(東京堂出版 1999)
尾張藩の藩札と兌換について記載あり。諸藩の領内における藩札の通用は、正貨との両替規定を設けてはいたが、兌換準備金の不足から多くの藩札が不換紙幣となり、藩士・領民の困窮をもたらした、と記載あり。
●新潟での藩札の両替・兌換について
以前「越後で発行された藩札」を調査し、新発田藩、村上藩、与板藩、清崎藩、高田藩、村松藩、椎谷藩が藩札を発行していたことが分かっている。
(7)『新潟県史 通史編 4』(新潟県 1988)p564
高田 銭座で寛永通宝を鋳造。松平光長改易とともに廃止。
新発田 銭座は両替座とともに銭相場と両替を管理する機関で、実際の両替は城下七、八か所に設けられた銭札所で行った。銭座の運営には主として町年寄が当たった。
糸魚川 銭座は両替を業とした。藩はしかるべき富豪に命じて銭座の運営に当たらせた。
村上 銭座は両替を業としたと思われるが内容は明らかでない。
(8)『新潟市史 通史編2』(新潟市 1997)p87
江戸時代の貨幣は金・銀・銭だったが、それぞれを両替するときの相場はよく変動したこと、長岡藩領時代の両替は、様々な商人が自由に行い、両替商という特定の商人はいなかったことなどが記載されている。
(9)『糸魚川市史 3』(糸魚川市役所 1978)p235~236
糸魚川藩が然るべき金持ちに銭座(両替のための業務をする場所)をさせた、と記載あり。
(10)『新発田市史 上巻』(新発田市 1980)p567~568
新発田の銭座・両替座は銭相場と両替を管理する機関で、町中には実際に両替を行う銭札所が7~9か所設けられた、と記載あり。
(11)『新潟県史研究 3』(新潟県 1978)
p57~60「新発田城下町の銭座・両替座」
新発田の銭座・両替座について記載あり。
(12)『近世藩制・藩校大事典』(吉川弘文館 2006)p453
高田藩の藩札(明治時代に発行)について記載あり。
(13)『高田市史 第1巻』(高田市役所 1958)p521~
高田藩では明治元年から紙幣を発行して領内に通用させたこと、藩札は元来兌換紙幣であることが原則だが、高田の藩札は不換紙幣だったことが記載されている。
(14)『日本古紙幣類鑑 下巻』増訂(思文閣 1972)p77
「旧藩札明治新貨比較表」に高田藩の記載あり。
※新潟県立図書館で『越後・佐渡関係の古札図録』(土田正雄共著、土田二三江共著 1988)を所蔵
※貨幣博物館ホームページに『貨幣博物館 常設展示図録』のデジタルブックあり。閲覧のみ可能。印刷は不可。https://www.imes.boj.or.jp/cm/collection/tenjizuroku/
【記載がなかった資料】
『糸魚川市史 資料集 2』(糸魚川市役所 1987)
『与板町史 通史編上巻』(与板町 1999)
『与板藩史 上巻』(池上 大一著 与板藩史刊行会 1982)
『与板藩史 下巻』(池上 大一著 与板藩史刊行会 1982)
『村松町史 上巻』(村松町教育委員会事務局 1983)
『長岡市史 通史編上巻』(長岡市 1996)
『長岡市史 通史編下巻』(長岡市 1996)
『長岡市史 資料編3』(長岡市 1994)
『長岡市史 資料編4』(長岡市 1993)
『新発田藩史料 第3巻』(国書刊行会 1988)
『神林村誌 通史編』(神林村 1985)
- 回答プロセス
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1 図書館情報システムで、件名「貨幣」で検索。
2 CiNiiで「藩札」「両替」「両替屋」で検索。新潟(越後)の両替について述べた資料は見つからず。
3 Google(インターネット検索サイト)で「両替」で検索。
4 新潟市文書館所蔵資料検索システム(https://wwwa0.musetheque.jp/niigata_bunshokan_web/)で「両替」で検索。
5 新潟県立文書館(https://www.pref-lib.niigata.niigata.jp/?page_id=569)で「両替」で検索。
(インターネット情報は2023年2月23日確認)
- 事前調査事項
- NDC
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- 貨幣.通貨 (337 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 藩札
- 貨幣
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 一般
- 質問者区分
- 一般利用者
- 登録番号
- 1000329721