レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/12/21
- 登録日時
- 2022/01/05 00:30
- 更新日時
- 2022/01/21 13:44
- 管理番号
- 11133341
- 質問
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解決
高麗末期~朝鮮王朝時代の軍船の図が載っている日本語の資料を探しています。掲載ページとカラーか白黒かを教えてください。
- 回答
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高麗末期から朝鮮王朝時代の軍船の図が掲載された資料について、以下のとおり調査いたしました。
【 】内は、国立国会図書館請求記号です。書誌事項末尾に◎を付した資料は国立国会図書館デジタルコレクションの国立国会図書館/図書館送信参加館内公開資料、☆を付した資料はインターネット公開資料です。
(1)高麗後期(1270年~1392年)
資料1:
播田安弘 著『日本史サイエンス : 蒙古襲来、秀吉の大返し、戦艦大和の謎に迫る (ブルーバックス ; B-2149)』講談社, 2020.9【GB71-M125】
* p.28:「図1-2 高麗が建造した軍船「ポンレ3号」14世紀につくられたもの」として、2005年に発掘された高麗の大型軍船のモノクロ写真が掲載されています。
* 同書には、『高麗史』を根拠に、元が高麗に日本侵攻のための軍船を作るよう命じた旨の記述があります(pp.23-24)。これはいわゆる元寇(1274(文永11)年・1281(弘安4)年)で用いられた船ですが、元軍の船は高麗製作の船であった可能性があります。p.33にモノクロの「図1-5 CGで復元した蒙古軍船」があります。
* 講談社のHPにおける当該資料の紹介記事にも、同様の画像の掲載があります(該当箇所のURL https://gendai.ismedia.jp/articles/-/75515?page=2 )。
資料2:
小松茂美 編『日本の絵巻 13 (蒙古襲来絵詞)』中央公論社, 1988.4【YP14-1193】
* 「蒙古襲来絵詞」は、元寇に参陣した肥後国の武士竹崎季長を主人公とした絵巻物です。
* それぞれ次のカラー写真の掲載があります。:「大矢野三兄弟・季長ら、蒙古の軍船に討ち入る」(pp.96-97)、「応戦する蒙古の軍船」(pp.98-99)、「矢を射込まれる蒙古の兵船」(pp.100-101)、偵察する蒙古軍船団の情景(pp.104-105)、「停泊する蒙古軍」(pp.106-107)、
* (参考)九大コレクション「蒙古襲来絵詞 (模本)」( http://hdl.handle.net/2324/1001428143 )
(2)李氏朝鮮(1392年~1910年)
資料3:
任正赫 編著『朝鮮の科学と技術』明石書店, 1993.1【M35-E12】
* pp.95-116「第六章 船と海上活動」:「図1 統制営亀甲船図」(p.109)、「図2 亀甲船の断面図」(p.110)、「図3 全羅左水営亀甲船図」(p.113)、「図4 海鶻船」(p.114)の掲載があります。全てモノクロです。
* 本書では、亀甲船の建造方法を詳しく見るにあたり、『李忠武公全書』【082.91-R39r】☆を参照しています。『李忠武公全書』にも図の収録があり、本書の図1および図3はこれと類似しています。(該当箇所のURL:亀船 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2582721/76 、全羅左水営亀船 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2582721/79 )
* 海鶻船については、18世紀中ごろに全羅水師・田雲祥という人物が考案した戦艦との記録がある旨、記載があります(p.115)。
資料4:
イアン・グラハム 著, 角敦子 訳『図説世界史を変えた50の船』原書房, 2016.12【NC51-L73】
* p.31:韓国ソウルの戦争記念館で展示されている亀甲船の縮尺模型のカラー写真が掲載されています(ほぼ船首側からの撮影)。
資料5:
任正爀 著『エピソードと遺跡をめぐる朝鮮科学史』皓星社, 2012.7【M35-J8】
* p.177「図3-15 統制営亀甲船」:モノクロ。資料3「図1 統制営亀甲船図」とほぼ同一です。
* p.179「図3-16 閑山島会戦を指揮する李舜臣将軍(切手)」:モノクロ。船上の李舜臣軍が描かれています。
資料6:
今村鞆 編, 臨時財源調査局 編『船の朝鮮 韓國沿岸航路開始顛末 復刻版 (韓国併合史研究資料 ; 82)』龍溪書舎, 2009.12【AK2-471-J1】
* 自序の後ろの口絵の1ページ目(頁付けなし)に、「李王職所藏屏風の畫より」亀船の絵図の掲載があります。続く2ページ目(頁付けなし)には、「李王職所藏屏風の畫より」「李朝戰艦の畫」が掲載されています。いずれもモノクロかつ、原本でも船の形などが視認しづらい状態です。
資料7:
岡本弘道 編『船の文化からみた東アジア諸国の位相 : 近世期の琉球を中心とした地域間比較を通じて (周縁の文化交渉学シリーズ ; 5)』関西大学文化交渉学教育研究拠点, 2012.1【DK131-J70】
* pp.89-101 李哲漢、李恩善(翻訳:篠原啓方)「朝鮮王朝後期における船の文化」:「戦船」(p.90)の項に、「図1 板屋船」「図2 兵船」の掲載があります。いずれもモノクロで、ソウル大学校奎章閣韓国学研究院蔵とあります。「亀船」(pp.90-91)の項に、「図3 海上で戦闘中の亀船」(出典不明)、「図4 亀船の模型」の掲載があります。いずれもp.91に載っており、モノクロです。
* 関西大学学術リポジトリで閲覧可能です( http://hdl.handle.net/10112/5975 )。
[そのほかの調査済資料およびウェブサイト]
大倉隆二 著『「蒙古襲来絵詞」を読む』海鳥社, 2007.1【KC231-H9】
佐藤鉄太郎 著『蒙古襲来絵詞と竹崎季長の研究 (錦正社史学叢書)』錦正社, 2005.3【KC231-H4】
※『高麗史』【GE125-45】は、デジタル化作業中のため確認できませんでした。
上野喜一郎 著『船の世界史 上巻』日本図書センター, 2012.6【NC51-J108】
* pp.246-247「朝鮮の軍船」:p.247にモノクロ図版「図237. 亀船(朝鮮の船)」の掲載があります。資料3、5の「統制営亀甲船図」に類似しています。
朴永圭 著, 神田聡, 尹淑姫 訳『朝鮮王朝実録 改訂版』キネマ旬報社, 2012.3【GE127-J28】
* pp.68-69「亀甲船開発」:p.69に戦争記念館所蔵の亀甲船のモノクロ写真が掲載されています。資料4と同一のものと思われますが、撮影角度は異なります(側面(左舷方向)から)。
Hamel's journal, and a description of the Kingdom of Korea, 1653-1666 / by Hendrik Hamel ; translation from the Dutch manuscript, Br. Jean-Paul Buys
Published for the Royal Asiatic Society, Korea Branch by Seoul Press, c1994【GE125-A7】
ヘンドリック・ハメル 著, 生田滋 訳『朝鮮幽囚記 (東洋文庫 ; 132)』平凡社, 1969(【GE127-3】)
* 当館資料はデジタル化作業中のため、契約データベース「ジャパンナレッジLib」で確認しました。
金沢兼光 著, 住田正一 編解題『和漢船用集』卷第七 巌松堂, 昭和19【R550.36-Ka48ウ】◎
全相運 著, 許東粲 訳, 宮島一彦, 武田時昌 校訂『韓国科学史 : 技術的伝統の再照明』日本評論社, 2005.10【M35-H6】
「人類文化研究のための非文字資料の体系化」第1班 編『東アジア生活絵引 朝鮮風俗画編 (神奈川大学21世紀COEプログラム「人類文化研究のための非文字資料の体系化」研究成果報告書 = Report on the results of"systematization of nonwritten cultural materials for the study of human societies"Kanagawa University 21st century COE program)』神奈川大学21世紀COEプログラム「人類文化研究のための非文字資料の体系化」研究推進会議, 2008.2【GE114-J3】
以下のサイトでは、「朝鮮国舩」と題されたカラーの絵図が見られますが、年代や用途(軍船であるか)は不明です。
早稲田大学古典籍総合データベース( https://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/bunko08/bunko08_c0880/index.html )
ウェブサイトの最終アクセスは2021年12月18日です。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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①『朝鮮半島がわかる本 1 ~古代から近代まで』(津久井 惠/文,長田 彰文/監修 かもがわ出版)p.30(カラー)
②『亀船』(金 在瑾/著,桜井 健郎/訳 文芸社)の口絵・p.21・p.69・p.85・p.172・p.209・p.227・p.228・p.245・p.247(口絵のみカラー)
③『朝鮮王朝500年の秘密』(橘 洸次/著,姜 基洪/監修 二見書房)のp.55(白黒)
④『秀吉の朝鮮侵略と民衆』(北島 万次/著 岩波書店)のp.74(白黒)
- NDC
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- 朝鮮 (221 10版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 人文(レファレンス)
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000310080