レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/10/27
- 登録日時
- 2021/11/27 00:30
- 更新日時
- 2021/11/27 00:30
- 管理番号
- 6001053032
- 質問
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解決
「金光明最勝王経」について、どのような経典なのか内容など解説した資料が見たい。
- 回答
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まず最初に「金光明最勝王経」に別名がないか調査。
・『大蔵経全解説大事典』(鎌田茂雄/[ほか]編 雄山閣出版 1998.8)
p.201の「0665金光明最勝王経(こんこうみょうさいしょうおうきょう)」の項目によると、
「最勝王経、金光明最勝帝王経ともいう」「金光明経0663の異訳」とある。
・『正倉院への道』(松本清張/編 日本放送出版協会 1981.11)
p.45-47「護国仏教の受容と「金光明経」」で、編者の松本清張と仏教学者・鎌田茂雄が対談をしている。その記事内p.45「金光明最勝王経」の(注11)によると、「金光明最勝王経」と「金光明経」は漢訳本の違いだということがわかる。漢訳には五種あるようだが、日本でよく利用される三種について次のような記述あり。
1)北涼、曇無識訳「金光明経」、2)隋、宝貴等訳「合部金光明経」、3)唐、義浄訳「金光明最勝王経」
以上を踏まえて、「金光明最勝王経(金光明最勝帝王経)」「金光明経」をキーワードに調査し、次の資料を紹介。
■経典について
・『仏典の読み方』(金岡秀友/著 大法輪閣 1970)
p.183-192「第六章 金光明経」
仏典における「金光明経」の位置づけ、テキストの種類、関連する人物の紹介など、基本的な情報がわかる。
・『金光明経の研究』(金岡秀友/著 大東出版社 1980)
前述の著者が書いた専門的な研究書。
・『国宝西大寺本金光明最勝王経 巻第1~巻第5 天平宝字六年百済豊虫願経』(総本山西大寺/編 勉誠出版 2013.9)
・『国宝西大寺本金光明最勝王経 巻第6~巻第10 天平宝字六年百済豊虫願経』(総本山西大寺/編 勉誠出版 2013.9)
奈良西大寺所蔵本の精細なカラー影印。判型も大きく、書き込まれた白点も見えやすい。
巻第6~巻第10が収録された本の末尾には次の解説2件あり。
佐伯俊源「金光明最勝王経の思想と流伝」(p.178-192)
月本雅幸「西大寺本金光明最勝王経古点研究史」(p.193-207)
■経典の訳読など
・『梵漢対照新訳金光明経』(泉芳璟/訳 大雄閣 1933)
梵文を底本として訳読しつつ、上部に漢訳を併記することで、原典である梵文と漢訳を対照できるようにしている。漢訳は曇無識訳「金光明経」を使用。
・『金光明経 (仏典講座13)』(壬生台舜/著 大蔵出版 1987.8)
「金光明経」の解題及び本文の解説。掲載箇所に関しては訳読、語釈、注解で構成されている。本書のタイトルは「金光明経」としているが、解題p.9によると、この国訳に関しては、義浄が漢訳した『金光明最勝王経』を原本とした旨記載あり。
・『西大寺本金光明最勝王経古点の国語学的研究 本文篇 (斯道文庫紀要 第1)』(春日政治/著 斯道文庫 1942.12)
奈良西大寺所蔵の「金光明最勝王経」全十巻の影印を上段に掲載、原本に付された白点に従った訳読を下段に付している。
国立国会図書館デジタルコレクション(インターネット公開) で閲覧可能。(2021/10/27現在)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1885585
・『上代写経識語注釈』(上代文献を読む会/編 勉誠出版 2016.2)
p.392-400「奈良朝写経64 金光明最勝王経巻第一(百済豊虫願経)…宝字6・2・8」
奈良西大寺所蔵の「金光明最勝王経」全十巻中、巻一の一部のみであるが、翻刻、訳読、現代語訳し、注解を加えている。
・『大谷光瑞全集 第4巻 経典篇』(大谷光瑞/著 大乗社 1935)
p.355-553「金光明最勝帝王経講話」は著者が、「金光明最勝帝王経」について昭和9年5月に本願寺の一般会員向けに講演した内容。戦前の出版物のため旧仮名遣いで書かれているが、ルビがふってあり、また話し言葉のため比較的理解しやすい。
この資料は国立国会図書館デジタルコレクションで図書館送信参加館内公開されている。
188-287コマ(2021/10/27現在)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1223969/188
[事例作成日:2021年10月27日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 経典 (183 10版)
- 参考資料
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- 大蔵経全解説大事典 鎌田/茂雄∥[ほか]編 雄山閣出版 1998.8 (201)
- 正倉院への道 松本/清張∥編 日本放送出版協会 1981.11 (45-47)
- 仏典の読み方 金岡/秀友∥著 大法輪閣 1970 (183-192)
- 金光明経の研究 金岡/秀友∥著 大東出版社 1980
- 国宝西大寺本金光明最勝王経 巻第1~巻第5 総本山西大寺∥編 勉誠出版 2013.9
- 国宝西大寺本金光明最勝王経 巻第6~巻第10 総本山西大寺∥編 勉誠出版 2013.9 (178-207)
- 梵漢対照新訳金光明経 泉/芳璟∥訳 大雄閣 1933
- 金光明経 壬生/台舜∥著 大蔵出版 1987.8
- 上代写経識語注釈 上代文献を読む会‖編 勉誠出版 2016.2 (392-400)
- 大谷光瑞全集 第4巻 大谷/光瑞∥著 大乗社 1935 (355-553)
- https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1885585 (『西大寺本金光明最勝王経古点の国語学的研究 本文篇 (斯道文庫紀要 第1)』(2021/10/27現在))
- https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1223969/188 (『大谷光瑞全集 第4巻 経典篇』(2021/10/27現在))
- キーワード
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- 経典(キョウテン)
- 金光明最勝王経(コンコウミョウサイショウオウキョウ)
- 金光明経(コンコウミョウキョウ)
- 仏典(ブッテン)
- 合部金光明経(ゴウブコンコウミョウキョウ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000308070