レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018/11/10
- 登録日時
- 2018/12/04 00:30
- 更新日時
- 2019/03/20 14:10
- 管理番号
- 2853879
- 質問
-
解決
旧岩崎邸の和館を設計した「岡本春道」について記載のある資料を探している。
国会図書館に該当する資料があるかどうかを調べてほしい。
- 回答
-
岡本春道について、資料1~9に記載がありましたのでお知らせします。
三菱社員であったことから、三菱や岩崎家関係資料の綿密な調査により、岡本春道についての記述が更に見つかる可能性があります。
文化財建造物保存技術協会編『重要文化財旧岩崎家住宅(洋館・撞球室・大広間・附煉瓦塀)保存修理工事報告書』文化庁, 2005.3に記載がある可能性も考えられます。
当館では所蔵していないため確認できませんでしたが、東京都立中央図書館、東京大学 工学部・工学系研究科等、複数の都道府県立図書館や大学図書館で所蔵しているようです。また、東京都公文書館では、岡本春道に関する公文書を所蔵しているようです。
【 】内は当館請求記号です。
資料1
『岩崎家四代ゆかりの邸宅・庭園』三菱広報委員会, 1994.2【YP12-210】
* 青木信夫「解説」(pp.121-153)の「岩崎弥太郎・久弥茅町本邸」の項(pp.124-127)に、「設計は岡本春道、施工は大河喜十郎による。岡本は、戦前の岩崎家にあって、営繕の最高責任者として働き、数多くの邸宅造営に携わった。」とあります。
資料2
岩崎家伝記刊行会 編『岩崎弥之助伝』東京大学出版会, 1980.5【GK66-28】
* 上巻p.449に引用された母美和の手記に「そのうち深川の家(別邸)を建てることを考へ、国々の材木を取寄せ、大工棟梁は小三郎(河田)、営繕は岡本(春道)、庭方は吉永(治道)、森田(晋三)、谷内どもが世話いたす」とあります。
* 上巻pp.422-425に「岩崎家系譜調査材料書類寫」巻頭に掲載された弥之助の明治33年12月の年紀がある諸言が引用されている中に、「岡本春道を土佐に派遣して、三所の墓碣文字を墨搨し、該地の親類及び古老の伝統を歴問し、慶次家蔵の古文書を借受せしめたるに、春道は鋭意尽力して渾て余が望を満足したり。」とあります。
資料3
三菱社誌刊行会 編『三菱社誌』東京大学出版会, 1979-1982【DH22-1061】
* 第2巻(明治8年)の「傭員人名」のp.509に「岡本春道 監督課雑掌」とあります。また、pp.387-388に「本社監督課雑掌岡本春道ヲ遣リ命ヲ千里丸事務長柳井重郎衛門ニ傳ヘテ同行登社セシム春道警ヲ怠リ途ニ重郎衛門ヲ失フ仍テ給廿分一ヲ収ム」が掲載されています。
* 第3巻(明治9年)の「九年度入退者人名」中「四、邦人退社人名」の項のp.640に「岡本春道 運用課輸入品検査係」のほか、給料「拾圓」、理由「依願」、在職年月「一ヶ年」、解傭月日「四月八日」との記載があります。
* 第19巻(明治27~31年)の「明治二十七年中入社人名」のp.47に岡本春道の名がみえ、月日「一月一日」、職名「本社事務」、給料「六〇円」とわかります。
* 第21巻(明治39~44年)の「明治四十年中退社人名」のp.1044に岡本春道の名がみえ、退社月日「二月十四日」、入社年月「明治八、五」、解傭理由「依願」、爾来職給「本社事務 一〇〇円」、贈与金「一〇、〇〇〇円」とわかります。
* 別巻の「31.人名索引」(pp.231-238)から第2巻pp.387-388の記載を確認しています。入退社に関する記録は、同じく別巻「30.名簿」(pp.214-230)から名簿の掲載箇所がわかるのと、資料4『日本紳士録』から推測される入退社の時期を手掛かりに確認しています。
資料4
『日本紳士録. [第1]-16版』交詢社, 明22-44【86-41】
* 明治22年の第1版~明治41年の第12版に岡本春道の名がみえます。
各版の出版年と岡本春道の肩書、及び、国立国会図書館デジタルコレクションにおける該当箇所のURLは次のとおりです。
・第1版 明治22年 肩書の記載なし。 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/780090/96
・第2版 明治25年 通勤 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/780091/92
・第3版 明治29年 三菱合資会社員 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/780092/140
・第4版 明治30年 三菱会社員 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/780093/135
・第5版 明治32年 三菱合資会社員 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/780094/124
・第6版 明治33年 三菱合資会社員 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/780095/122
・第7版 明治34年 三菱合資会社員 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/780096/133
・第8版 明治35年 会社員 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/780097/131
・第9版 明治36年 会社員 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/780098/123
・第10版 明治38年 会社員 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10342784/114
・第12版 明治41年 肩書の記載なし。 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/780100/142
* 国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開していますので、詳細は利用者ご自身でご確認ください。
資料5
三菱地所株式会社社史編纂室 編『丸の内百年のあゆみ : 三菱地所社史』三菱地所, 1993.3【DH22-E781】
* 上巻「第1章 丸の内、三菱の所有となる(明治初年~23年)」(pp.49-104)の「第3節 丸の内土地の払下げ」(pp.83-103)中、「第2号地以外はすべて三菱社員である岡本春道が最高入札者となっている」(p.88)とあるほか、p.89、p.91にも名がみえます。
* 上巻のp.278、p.514に茅町の岩崎久弥邸、同じく上巻のpp.109-110、p.340、p.447に岩崎家深川別邸に関する記述がありますが、岡本春道についての言及はありません。
* 「資料・年表・索引」巻に、「主要人名索引」(pp.497-505)、「主要建造物名索引」(pp.506-520)があり、上巻の関連箇所は索引を手掛かりに確認しています。
* 森田貴子「三菱の東京における不動産買入--丸の内払下をめぐる諸説再考」(『東京大学日本史学研究室紀要』(9) 2005.3 pp.89-109 【Z8-B637】)のp.98には「三菱では、岩崎弥之助の代わりとして岡本春道が入札者となった」とあります。
資料6
北条浩 編『旧慣温泉権史料集 : 群馬県伊香保町千明仁泉亭文書』宗文館書店, 1963【324.2-H736k】
* 「資料二一」(pp.133-138)の明治22年の文書中に岡本春道の名が散見されます。「東京府下谷区下谷茅町壱丁目」と添えられているのは、明治22年出版の資料4『日本紳士録. 第1版』に記載の「下谷区茅町一丁目十一」とも合致します。
* 国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館館内公開/図書館送信参加館内公開)
資料7
「三菱船渠計画」(『朝日新聞』東京/朝刊 1897年7月14日 6頁)
* 「兵庫、神戸間に一大船渠を建設せんとの説ありしが頃日三菱社員岡本春道氏神戸に出張し既に買収の約を結べる兵庫和田崎町二百五十番地(中略)其他附近の地所を買収せんとて各地主と交渉中なりと云ふ」とあります。
* 朝日新聞記事データベース聞蔵Ⅱビジュアル(当館契約データベース)で確認しています。
資料8
岩崎久弥伝編纂委員会 編『岩崎久弥伝』岩崎久弥伝編纂委員会, 1961【289.1-I935Ii】
* 明治13年夏、岩崎久弥が伊香保温泉に赴いた際の随行として岡本春道の名がみえます(p.186)。
* 国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館館内公開/図書館送信参加館内公開)
資料9
日本経営史研究所 編『日本郵船百年史資料』日本郵船, 1988.10【DH22-E232】
* 「創業初期の株主(25株以上、年月日不詳)」(pp.12-17)中p.16と、「明治25年の株主(25株以上、明治25年10月31日現在)」(pp.17-22)中p.22に岡本春道の名がみえ、いずれも都道府県は東京、株数は30です。
〔主な調査済み資料・ウェブサイト〕
国立公文書館 デジタルアーカイブ/横断検索
https://www.digital.archives.go.jp/globalfinder/cgi/start
* 岡本春道で検索すると「東京都公文書館情報検索システム」で22件ヒットします。
歴史的建築総目録データベース https://glohb-aij.eng.hokudai.ac.jp/
* 「すべての建築類型」での検索で、「設計・施工」欄に「岡本春道」と入力して検索しましたが、旧岩崎邸の和館以外の建築はヒットしませんでした。
加治屋嘉文「修復トピックス 重要文化財旧岩崎家住宅 : 壁の実大実験により明らかになった耐震性能と補強工事」(『建築史学』(62):2014.3 pp.80-101 【Z11-1356】)
* J-STAGEで全文の閲覧が可能です。DOI:https://doi.org/10.24574/jsahj.62.0_80
加治屋嘉文「現場レポート 東京都 重要文化財旧岩崎家住宅 : 大広間の地盤改良工事」(『文建協通信』(106):2011.10 pp.18-21 【Z71-D367】)
後藤治, 三船康道 監修 ; 歴史・文化のまちづくり研究会 編『東京の近代建築』地人書館, 2000.12【KA81-G149】
村松貞次郎, 近江栄 編 ; 青木信夫 [ほか]著『近代和風建築』鹿島出版会, 1988.6【KA81-E9】
* p.84に「司法研修所(旧岩崎家茅町邸和館)」の項があります。
大川三雄「和風大邸宅に見る近代の諸相」(『月刊文化財』(457) 2001.10 pp.8-15 【Z11-57】)
日本人名情報索引(人文分野)データベース https://rnavi.ndl.go.jp/jinmei/
皓星社データベース 日本人物情報大系
http://www.libro-koseisha.co.jp/top01/main01.html#data_jin
NDLオンライン https://ndlonline.ndl.go.jp/
NDLサーチ iss.ndl.go.jp/
CiNii Books https://ci.nii.ac.jp/books/
ヨミダス歴史館 ※当館契約データベース
Google Books https://books.google.co.jp/
ウェブサイトの最終アクセスは2018年11月10日です。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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図書「東京公園文庫46 旧岩崎邸庭園」及び、雑誌「都市公園」「ランドスケープデザイン」「ランドスケープ研究」を確認したところ、岡本春道という名前と設計を担当した、という記述は確認できた。それ以上の情報は得られなかった。
- NDC
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 人文(レファレンス)
- 調査種別
- 文献紹介 所蔵調査 所蔵機関調査
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000246888