以下の資料に、分数表記がある和風建築の設計図(断面図)を確認しました。
なお、今回は合理的な調査手段がないため、和風建築の図面が多数収録されている資料等、分野の主な資料を調査の対象としました。
その他の資料にもお求めの図面が掲載されている可能性はありますが、ご自身でご確認ください。
・『日本建築史図集 新訂第2版』(日本建築学会/編 彰国社 2007)
p.118「『匠明』の木割」の項に、一部が分数で表記された図面が掲載されています。
解説はp.192-193にありますので、あわせてご確認ください。
また、ご参考までに、調査の過程で確認できた図面の中から、比較的わかりやすく表記されたものをご紹介します。
・『図解社寺建築 社寺図例編』(鶉功/著 理工学社 1993)
・『図解社寺建築 各部構造編』(鶉功/著 理工学社 1993)
社寺建築の参考図集で、建築全体だけでなく細かな部分まで取り上げて図解されています。
掲載されている参考図(図例)の中には、寸法を「敷梁6×10」などと表記しているものもあります。
また、木割り表と思われる表が掲載されている図もあります。(『各部構造編』p.41)
・『伝統木造建築事典』(高橋昌巳/編著,小林一元/編著,宮越喜彦/編著 井上書院 2018)
p.102,104「木割り」の項があり、簡易な解説があります。
また、p.105には「『匠明』木割りと桂離宮木割りの比較表」及び、古書院矩計図が掲載されており、矩計図の単位は尺ですが「柱 0.400×0.400」などと表記されています。
■その他、木割りについて参考となる資料等
以下の資料は、数値の入った図面はありませんが、木割りについて調査する上で参考になると思われますので、ご活用ください。
・『図解建築小事典』(建築小事典編集委員会/編 オーム社 2018)
p.244「6・3・5 基本寸法」の項に、簡易な解説と共に「図6・11 木割りの例」として床柱幅を基準とした木割りの例が掲載されています。
・『すぐに役立つ建築の規矩術』(中原靖夫/著 理工学社 1971)
p.付30-付36「付録4.社寺建築」の項に、社寺建築の各部名称(図)と木割りが掲載されています。
木割りは図とは別に掲載されていますが、「軒桁…大きさ0.6四方.口脇にて0.5」などと表記されています。
また、木割りは規矩術の一部であったことから、付録以外にもご参考になる部分があるのではないかと思われます。
・『絵で見る工匠事典 第4巻 和風建築 1 基礎・茶室・東屋』(建築資料研究社設計構造課/編集 建築資料研究社 1991)
p.12-15「第1章 基礎編 和室の構成(各部の標準木割り)」の項に、標準木割の表が掲載されています。
図はありませんが、部屋の広さに対する柱の太さなどを調べることができます。
また、共栄大学機関リポジトリより、参考となりそうな論文を確認しましたのでご紹介します。
・白井裕泰/著 「支割法の構造について」(『共栄学園短期大学研究紀要 12』所収 1996)
図の掲載はありませんが、『匠明』に指定された寸法に関する考察で、計算式が複数掲載されています。
論文は以下のURLから無料でダウンロードすることができます。
<参考>「支割法の構造について」(共栄大学機関リポジトリ)
http://id.nii.ac.jp/1372/00000430/ (2022.12.23確認)
『匠明』とは幕府の大棟梁であった平内家に伝わる木割書であり、今回確認した資料にも記述が散見されました。