レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年07月12日
- 登録日時
- 2021/07/12 13:21
- 更新日時
- 2022/04/23 17:52
- 管理番号
- 吹-60-2021-003
- 質問
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解決
昔読んだ本に出てきた「聴香読画館」の読み方と、どんなものだったかを知りたい。
- 回答
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読み方は「ちょうこうどくがかん」で、明治初期の画家川上冬崖(かわかみ とうがい)が明治2年(1869年)に下谷御徒町(したやおかちまち)に開設した画塾。小山正太郎(こやま しょうたろう)、松岡寿(まつおか ひさし)、高橋由一(たかはし ゆいち)らを輩出し、明治の洋画発展に大きく貢献した。
- 回答プロセス
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(1)有料データベースジャパンナレッジLibで「聴香読画館」を検索し、川上冬崖等の項目に聴香読画館の記載があった。そのうちのひとつ「日本大百科全書(ニッポニカ)」の川上冬崖の項目は下記のとおり。
「明治初期の文人画家、また洋風画の先覚者。(中略)その画才を認められて西洋画法の研究にあたり、のち画学局が置かれるとその筆頭になった。68年(明治1)創立された沼津兵学校の絵図方として図画の指導を担当、のち大学南校の図画御用掛を命ぜられた。71年下谷(したや)御徒町(おかちまち)に画塾聴香読画館を開いて西洋画を教え、門下から小山(こやま)正太郎、松岡寿(ひさし)、高橋由一(ゆいち)らが輩出し、明治の洋画発展に大きく貢献した。」
(2)『世界大百科事典 6 改訂新版』(平凡社 2007.9)
p246の川上冬崖の項目に聴香読画館の記載があった。
「川上冬崖1827-81(文政10-明治14)江戸時代末~明治期の洋画家、南画家。(中略)69年(明治2)私塾聴香読画館を開設して後進の育成をはかる一方、大学南校、陸軍士官学校などで図画教授の職に就き、英語の翻訳≪西画指南≫や≪写景法範≫6巻などの技法書を刊行。西洋画法の啓蒙に努める。」
(3)『日本美術全集 25』(学研 1979.11)
p176に聴香読画館の記載があり、ふりがなが記載されていた。
「彼は明治二年、下谷和泉橋通御徒町に聴香読画館(ちょうこうどくがかん)を設け、後進の指導に当たった。」
(4)『日本近代美術事件史』(滝悌三/著 東方出版 1993.1)
p5の川上冬崖の頁に聴香読画館の記載があり、ふりがなが記載されていた。
「明治二年下谷御徒町に家塾聴香読画館(ちょうこうどくがかん)を設立して門生の教育に当たり、この門からは、小山正太郎、松岡寿、中丸精十郎ら多くの洋画家が輩出している。聴香読画館は明治期洋画塾の先駆なのである。」
- 事前調査事項
- NDC
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- 絵画 (720 10版)
- 参考資料
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世界大百科事典 6 (カヘナ-キス) 改訂新版. 平凡社, 2007.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009140454-00 -
細野, 正信(1926-) , 谷, 文晁(1763-1840) , 渡辺, 華山(1793-1841) , 細野, 正信(1926-) , 谷, 文晁(1763-1840) , 渡辺, 華山(1793-1841). 近代絵画の黎明 : 文晁/崋山と洋風画. 学習研究社, 1979. (日本美術全集)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I089797259-00 , ISBN 4050029375 -
滝悌三 著 , 滝, 悌三, 1931-. 日本近代美術事件史. 東方出版, 1993.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002237186-00 , ISBN 4885913136
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世界大百科事典 6 (カヘナ-キス) 改訂新版. 平凡社, 2007.
- キーワード
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- 聴香読画館(ちょうこうどくがかん)
- 川上冬崖(かわかみ とうがい)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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以下の資料については聴香読画館について記載なし。
『覚書幕末・明治の美術』(酒井忠康/著 岩波書店 2013.4)
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000301679