レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2012年12月21日
- 登録日時
- 2012/12/21 13:39
- 更新日時
- 2023/03/23 13:24
- 提供館
- 京都市図書館 (2210023)
- 管理番号
- 右中-郷土-56
- 質問
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解決
京都の正月飾りについて知りたい。できれば写真も見たい。
- 回答
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京都の正月飾りについて,代表的な飾りつけと,図版の載っている資料を紹介します。
●門松:【資料3,4,8,11~14】(カラー),【資料1,2,6,7】(白黒)
各家や地域によって色々なタイプの門松があるので,代表な二つを紹介します。
①根引松(ねびきのまつ/松飾りともいう)と呼ばれる簡素なものを飾ります。
竹を添えず,根を付けたままの若松を和紙(半紙や杉原紙)で,必ず向かって右が上になるようにして巻き込み,金赤(または紅白)の水引で真結びし,玄関の両柱に男松(雄松)と女松(雌松)一対で打ちつけます。
奈良時代以来の「子の日の遊び」に由来するものですが,「根が付く」との縁起をかつぐ人もいます。
②松の大きい真木に,梅の古木と青竹3本をあしらい,その下に松と熊笹で根元を隠します。割木十数本で円く巻き,上下2個所を蕨縄(わらびなわ)で結び,左右一対にして注連縄を掛けます。
上記のほかの門松は,【資料2】【資料3】に写真が多数掲載されています。
●注連飾(しめかざり):【資料1,3,4,8,11~14】(カラー)【資料1,2,6,7】(白黒)
わらを左綱によっていき,裏白(穂長)・譲り葉・橙・半紙で作った御幣などを水引でくくり付けたもので,入口の上に下げます。その作り方によって輪飾,牛蒡,ちょろけん,玉などたくさんの種類があり,各家それぞれで異なったものを飾ります。
注連飾りを小さく簡略化した輪飾りは,各部屋に掛けたり,トイレ,台所,手洗い場などの水場にも置きます。
●鏡餅:【資料3,11,12】(カラー)【資料1】(白黒)
お鏡さんとも呼びます。床の間や仏壇,おくどさん(かまど)に飾ります。
「外はにこにこ中むつまじく」という願いが込められた,外側に2個ずつ,内側に6個を串に刺した古老柿(ころがき/干し柿)を置くのが,京都の鏡餅の特徴です。【資料1】に詳しく紹介されています。
・星付き餅:【資料1】
大きな鏡餅のミニチュア版ともいえる,京都独特の鏡餅です。小餅の上に指頭ぐらいの餅粒を載せた重ね餅で,「星付きさん」とも呼ばれます。餅粒を「星付き」とたとえました。こちらは各部屋や台所,お風呂,お手洗い,仕事場など,いろいろなところに飾ります。
・輪取り餅:【資料10】(白黒)
浄土真宗西本願寺派の門徒の家では,輪取り餅とよばれる特別な鏡餅を飾ります。
直径約9cmの杉(或いは檜)の曲げ輪の型に搗きたての餅を入れて数日置いて固めます。型を外して5つ(または3つ)を積み、上に葉付き蜜柑を飾ったものを左右一対にして三方に載せて仏壇に供えます。
●歳徳棚(としとくだな):【資料2,4,5,9,13,17】(カラー)【資料2,7】(白黒)
恵方棚,歳棚,歳徳さんとも呼びます。
歳徳神(お正月の神様)を迎える神棚です。ダイドコロの天井に吊った棚で,回転が出来,その年の恵方へ向けて,注連縄などで飾りつけて祀ります。また,土地によっては固定したところに棚を作って祀るところもあります。詳しくは【資料7】に紹介されています。
●蓬莱飾(ほうらいかざり):【資料8,18】(カラー)【資料7】(白黒)
蓬莱さんとも呼びます。
「蓬莱」とは,神仙が棲むと信じられている島のことで,それをかたどった蓬莱飾りは長寿や福徳を願う心をあらわします。
昔は堂上家(公卿になれる家柄)で行われていたのが次第に庶民に広がりました。
何を用いるかは決まっておらず,家によって異なりますが,松や日陰蔓,羊歯(しだ)などの常緑の葉を用いることが多いようです。三方に載せて置いたり,神棚や床柱に掛けるものもあります。
詳しくは【資料7】をご覧下さい。
●おくど飾り:【資料3,4,5,9,12】(カラー)【資料2】(白黒)
京都では,かまどのことを「おくどさん」と呼びます。かまどに注連縄をし,その上に鏡餅や松などを飾って祀ります。
- 回答プロセス
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●京都の暮らし・しきたり・歳時記・年中行事・冬などのキーワードで当館所蔵資料にあたる。
●町家の写真集などを確認。
●冷泉家・杉本家・吉田家・俵屋など,京都の代表的な家や店の資料を確認。
●京ことばからも調べる。
- 事前調査事項
- NDC
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- 風俗史.民俗誌.民族誌 (382 9版)
- 年中行事.祭礼 (386 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】『縁起物 京の宝づくし』(岩上 力/著 光村推古書院 2003) p30~38
- 【資料2】『京都府の民具 5 年中行事(正月行事)』(京都府立総合資料館 1984)
- 【資料3】『生活ごよみ 正月の巻』(千 玄室・千 登三子/監修 講談社 1986) p50,51,56,57,62~65
- 【資料4】『京の歳時記今むかし』(山路 興造/監修 平凡社 2006) p16~18,145
- 【資料5】『雪月花の日々 京都暮らし春夏秋冬』(志村 ふくみ/文 淡交社 2011) p10~12
- 【資料6】『京のわる口,ほめころし 京の不思議と素敵な話』(石橋 郁子/著 淡交社 2004) p118,122
- 【資料7】『京のお正月 松の内』(田中 緑紅/著 京を語る会 1960) p10~11,13~21,29~31
- 【資料8】『京ごよみ365日』(駒 敏郎/編 講談社 1986) p18,19,166
- 【資料9】『京都歳時記 4 京洛の冬景色』(小学館 1986) p93,96,97
- 【資料10】『京町家のしきたり 218年の「歳中覚」』(杉本 節子/著 光文社 2008) p164,165,172,173
- 【資料11】『冷泉家の年中行事』(冷泉 貴実子/文 朝日新聞社 1987) p10~13,131,132
- 【資料12】『京都暮らしの大百科 まつり・伝承・しきたり12カ月』(梅原 猛/監修 淡交社 2002) p8~12,52~54,382,383,385
- 【資料13】『秦家住宅 京町家の暮らし』(新建新聞社出版部 2008) p32~34,54,86
- 【資料14】『座敷歳時記』(水野 克比古/写真 京都書院 1988) p19~21,40,41,51~56
- 【資料15】『折々の京ことば』(堀井 令以知/著 京都新聞出版センター 2009) p151,157
- 【資料16】『京ことば辞典』(井之口 有一/編 東京堂出版 1992) p48,53,54,170,223
- 【資料17】『京都 2001年12月号』(白川書院 2001) p14~17
- 【資料18】『俵屋相伝 受け継がれしもの』(佐藤 年/著 世界文化社 2012) p101
- 【資料19】『日本歳事史 京都の部』(江馬 務/著 内外出版 1922) p12~25
- 【資料20】『諸国図会年中行事大成』(速水 春暁斎/著 臨川書店 2003) p14,15,34~37,40
- キーワード
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- 正月
- 正月飾り
- 門松
- 鏡餅
- 星付き餅
- 注連縄
- 注連飾
- 蓬莱飾
- おくどさん
- 竈飾り
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000116392