レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/07/02
- 登録日時
- 2022/08/28 00:30
- 更新日時
- 2022/08/28 00:30
- 提供館
- 宮城県図書館 (2110032)
- 管理番号
- MYG-REF-220054
- 質問
-
未解決
・所得税法226条の規定に反して源泉徴収票を交付しなかったことによる行政指導の例や訴訟の判例を知りたい。
・所得税法231条1項,または24項但し書きの規定に反して給与等の支払明細書を交付してなかったことによる行政指導の例や訴訟の判例を知りたい。
- 回答
-
当館資料及び,法情報総合データベースD1-law.com(https://www.d1-law.com/ 最終検索日:2022/7/31)で調査を行いましたが,行政指導の事例や判例は見当たりませんでした。
- 回答プロセス
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参考までに下記のとおり調査内容をご案内しました。
※【 】内は当館請求記号です。
I 当館資料について
以下資料で,お問い合わせのあった所得税法226条,231条の内容を確認しました。
資料1 日本税理士会連合会編集『税務六法』(法令編/令和2年版 1)ぎょうせい, 2020【345.12/2020.8/1R】
p.491「(源泉徴収票)第二百二十六条」の項
p.501「(給与等,退職手当等又は公的年金等の支払明細書)第二百三十一条」の項
資料2 中里実編, 増井良啓編『租税法判例六法』有斐閣, 2019【345.12/2019.7/R】
p.215「(源泉徴収票)第二二六条」の項
p.217「(給与等,退職手当等又は公的年金等の支払明細書)第二三一条」の項
また,上記資料1 pp.504-505「第二百四十二条」の項,資料2 pp.219-220「第二四二条」の項で,罰則に関する内容を確認しました。法令の内容は以下のとおりです。
「第二百四十二条 次の各号のいずれかに該当する者は,一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。ただし,第三号の規定に該当する者が同号に規定する所得税について第二百四十条(源泉徴収に係る所得税を納付しない罪)の規定に該当するに至つたときは,同条の例による。(中略)
六 第二百二十五条第二項に規定する通知書若しくは第二百二十六条第一項から第三項までに規定する源泉徴収票をこれらの書類の交付の期限までにこれらの規定に規定する支払を受ける者に交付せず,若しくはこれらの書類に偽りの記載をして当該支払を受ける者に交付した者又は第二百二十五条第三項若しくは第二百二十六条第四項の規定による電磁的方法により偽りの事項を提供した者(中略)
七 第二百三十一条第一項(給与等,退職手当等又は公的年金等の支払明細書)に規定する支払明細書を同項に規定する支払を受ける者に同項の規定による交付をせず,若しくはこれに偽りの記載をして当該支払を受ける者に交付した者又は同条第二項の規定による電磁的方法により偽りの事項を提供した者」
上記資料1,2及び下記の資料を確認しましたが,行政指導の例や判例についての記述はありませんでした。
資料3 中村和洋編著 荒木誠共著『プロフェッショナルを目指す人の税務判例入門』経済産業調査会, 2017【345.19/2017.Z】
資料4 品川芳宣著『重要租税判決の実務研究』大蔵財務協会, 2005【345.19/2005.Y】
資料5 佐藤孝一著『最近の税務争訟 9』大蔵財務協会, 2013【345.19/2013.4】
資料6 管野浅雄著『Q&A税務手続事典』ぎょうせい, 2006【345.1/2006.3】
資料7 森・濱田松本法律事務所編 大石篤史著『税務訴訟』中央経済社, 2017【345.19/2017.3】
資料8 注解所得税法研究会編『注解所得税法』大蔵財務協会, 2019【345.33/2019.1】
II 法情報総合データベースD1-law.comの調査について
1 判例体系検索
(1)所得税法226条を検索したところ,以下のとおり1件の判例がヒットしましたが,お問合せありました「源泉徴収票を交付しなかった事例」ではなく,源泉徴収票に記載した退職年月日に関する内容でした。
判例ID:22001320
事件名:源泉徴収票記載事項取消請求事件
裁判年月日等:昭和61年4月23日/横浜地方裁判所/第1民事部/判決/昭和60年(行ウ)11号
所得税法226条に関連する,所得税法施行令353条,所得税法施行規則95条の2,93条,94条,94条の2と,所得税法231条,及び関連する所得税法施行令356条,所得税法施行規則100条を検索しましたが,該当する判例はありませんでした。
(2)罰則に関する「所得税法242条」と「源泉徴収票」のキーワードを掛け合わせて検索したところ,以下の判例がありました。
判例ID:21000710
事件名:所得税法違反被告事件
裁判年月日等:昭和24年4月28日/大阪地方裁判所/第1刑事部/判決
主文の理由欄に,被告会社が,給与を受けた人の住所,氏名,支払額を記載した支払調書を期日までに所轄税務署に提出しなかったことや,所定の必要事項を記載した源泉徴収票を期日までに所轄税務署に提出しなかったという旨の記載があります。
2 フリーワード検索
「源泉徴収票不交付×給与支払明細書不交付」のキーワードで検索したところ,以下の判例がありました。
判例ID:28261963
事件名:未払報酬等請求事件
裁判年月日等:平成29年9月22日/さいたま地方裁判所熊谷支部/判決/平成28年(ワ)105号
判示事項:【事案概要】被告会社の取締役であった原告が,被告会社及び被告会社の代表者である被告代表者の,原告の取締役報酬の一方的な減額,給与明細及び源泉徴収票の不発行は不法行為を構成し,原告が精神的苦痛を被ったとして,被告代表者に対しては,主位的に不法行為に基づく損害賠償,被告会社に対しては,主位的に会社法350条又は民法709条,予備的に債務不履行に基づく損害賠償請求を行った件につき,原告の請求が一部認容された事例。
ただし,本文中に以下の記述があります。
「(前略)原告は,被告らが原告の求めにもかかわらず,給与明細書を発行せず,また,未払報酬額を記載した源泉徴収票を発行しなかったことが不法行為にあたり慰謝料が発生する旨主張する。
この点,所得税法上,給与等の支払いをする者は,支払明細書を交付する義務を負い(同法231条),その年において支払いの確定した給与等について源泉徴収票の作成義務を負う(同法226条)。しかしながら,前記認定のとおり,原告は従前,給与明細書の不発行を許容していたことに加え,原告の主張するところによっても,被告らは,原告が平成27年5月28日に行った給与支払明細書不交付の届出を受けて,給与明細書を発行したというのであって,このような事実関係からみると,本件における被告らの給与明細書の不発行自体が,不法行為を構成して慰謝料を発生させるようなものであったとまでは認められない。(後略)」
- 事前調査事項
- NDC
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- 租税 (345 9版)
- 参考資料
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- 日本税理士会連合会?編集. 税務六法 令和2年版1. ぎょうせい, 2020.8【345.12/2020.8/1R】:pp.490,501,504-505
- 中里/実?編 増井/良啓?編. 租税法判例六法. 有斐閣, 2019.7【345.12/2019.7/R】:pp.215,217-220
- 中村/和洋?編著 荒木/誠?共著. プロフェッショナルを目指す人の税務判例入門. 経済産業調査会, 2017.12【345.19/2017.Z】:
- 品川/芳宣∥著. 重要租税判決の実務研究. 大蔵財務協会, 2005.11【345.19/2005.Y】:
- 佐藤/孝一?著. 最近の税務争訟 9. 大蔵財務協会, 2013.4【345.19/2013.4】:
- 管野/浅雄∥著. Q&A税務手続事典. ぎょうせい, 2006.3【345.1/2006.3】:
- 森・濱田松本法律事務所?編 大石/篤史?著. 税務訴訟. 中央経済社, 2017.3【345.19/2017.3】:
- 注解所得税法研究会?編. 注解所得税法. 大蔵財務協会, 2019.1【345.33/2019.1】:
- 管野/浅雄∥著. Q&A税務手続事典. ぎょうせい, 2006.3【345.1/2006.3】:
- 深澤/邦光?編著. 多様な雇用形態をめぐる源泉徴収Q&A. 大蔵財務協会, 2017.10【345.33/2017.X】:
- キーワード
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- 所得税法 -- 判例 -- 日本
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000320357