レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 登録日時
- 2022/02/13 14:09
- 更新日時
- 2022/03/06 11:56
- 管理番号
- 2022-2.5
- 質問
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ロゼッタストーンのギリシア語部分の全訳が記載された資料はないか。
- 回答
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ロゼッタストーンは上段から「ヒエログリフ(神聖文字、聖刻文字)」、「デモティク(民衆文字)」、「ギリシア語」で記されている。ヒエログリフはエジプト語で、デモティクはその筆記体。
下記資料①に、デモティク(民衆文字)の文書をもとにした英文翻訳が掲載されているが、③によるとそれぞれの文書は逐語訳されたわけではないようであるため、ギリシア語文書の全訳とは言えない。
①⑦によると②にギリシア語文書が訳出されて掲載されているようであり、日本語で読めるものは⑧かと思われる。当館未所蔵のため、相互貸借により提供し回答とする。
- 回答プロセス
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①『ヒエログリフ解読史』
ジョン・レイ/著 田口 未和/訳 原書房 2008.10 分類:242.03 ISBN:4-562-04175-6
p.162-176第八章「石に刻まれた言葉」
・冒頭にデモティク版20~21行目の翻訳あり
・(p.162)「石のテキストはメンフィスで開かれた神官たちの会議で決められた合意内容である。…神官たちとの取り決めに応じたのは王その人で、マケドニア人の統治者プトレマイオス五世。…」
・(p.166)「…ヒエログリフ(「神の言葉を文字にしたもの」)、デモティク(「資料として残すための文字」)、ギリシア語(「イオニア人の文字」)の三種類の文字で記録され、…」
p.198-204「ロゼッタストーンの碑文」
・デモティクで記されたものをもとに一部省略等されているが全文を翻訳したテキストが掲載されている。英文翻訳はこの図書の訳者による。
・巻末の参考文献は章ごとに紹介してあり、第八章の参考文献として、「…Quirk and Andrews,The Rosetta Stoneの中の翻訳も優れている。この本にはギリシア語とヒログリフの翻訳も含まれ、…」(p.214) と、あるが、邦訳で該当する資料は未確認。
元の書誌はおそらく②かと思われる。著者の一人は⑧の著者と同名。“The Rosetta Stone”は⑧の表紙の書名と同じだが、奥付の書名“Rosetta stone“とは完全一致ではないため、同一資料なのかはわからない。
②「The Rosetta Stone : facsimile drawing with an introduction and translations by Stephen Quirke and Carol Andrews」
著者Andrews, Carol (Carol A. R.)
Quirke, Stephen
(書誌はWebCatplusより)
(http://webcatplus.nii.ac.jp/webcatplus/details/book/ncid/BA27129624.html)
③『大英博物館の至宝』
マージョリー・ケイギル/著 田辺 勝美/監訳 ほるぷ総連合・ほるぷ教育開発研究所 1994.4 分類:069 ISBN:4-89299-007-8
p.51- 「6 ロゼッタ・ストーンとヒエログリフの解読」
・「…三通りの文書の内容は非常に近かったとはいえ、一つの文書を残りの二つに逐語訳したわけではなかった…」(p.51)
・ギリシャ語文書の43,44,45,46行が翻訳されている。(p.53)
④『ロゼッタストーン解読 新潮文庫』
レスリー・アドキンズ/[著] ロイ・アドキンズ/[著] 新潮社 2008.6 分類:242.03 ISBN:4-10-216831-8
ロゼッタストーンの本文の翻訳は見あたらないと思われる。
⑤『暗号解読 ロゼッタストーンから量子暗号まで』
サイモン・シン/[著] 青木 薫/訳 新潮社 2001.7 分類:809.7 ISBN:4-10-539302-2
p.282にギリシャ語部分が若干訳されているが、行数は明記されていない。
⑥『ギリシア語の銘文 大英博物館双書 失われた文字を読む』
ブライアン・クック/著 細井 敦子/訳 学芸書林 1996.11 分類:891.1 ISBN:4-87517-015-7
p.87- 「ギリシア語の本文には誤りが多い」(p.87)
ギリシア語本文の締めくくりのみ翻訳されているが、民衆文字からの訳出が〔 〕で補足されている。ギリシア語本文と、民衆文字によって補足された部分との区別ができる。(p.88)
●レファレンス共同データベース
類似事例あり↓
⑦質問:ロゼッタ石(ROSETTA STONE)の碑文の和訳文。
(https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000014159)
キャロル・アンドリュース著『ロゼッタストーン日本語版』(1989年出版)にギリシア語部分の和訳があると記載あり。当館未所蔵のため、近隣図書館から、⑧の相互貸借を行う。
国立国会図書館サーチの書誌を確認。
(https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001985401-00)
⑧『ロゼッタストーン : 日本語版』
キャロル・アンドリューズ/著 -- ほるぷ総連合ほるぷ教育開発研究所
・原タイトル:Rosetta stone(←左記書名は奥付による。)
・標題紙・表紙の書名: The Rosetta Stone
以上
- 事前調査事項
- NDC
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- エジプト (242)
- 博物館 (069)
- ギリシア語 (891)
- 参考資料
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キャロル・アンドリューズ 著 , ほるぷ教育開発研究所 訳 , Andrews, Carol A. R , ほるぷ教育開発研究所. ロゼッタストーン : 日本語版. ほるぷ総連合・ほるぷ教育開発研究所, 1989.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001985401-00 , ISBN 4780501024 -
ジョン・レイ 著 , 田口未和 訳 , Ray, John , 田口, 未和. ヒエログリフ解読史. 原書房, 2008.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009803034-00 , ISBN 9784562041756 -
マージョリー・ケイギル 著 , 古代オリエント博物館グループ, 細川朋子 訳 , Caygill, Marjorie , 細川, 朋子 , 古代オリエント博物館グループ. 大英博物館の至宝. ほるぷ総連合・ほるぷ教育開発研究所, 1994.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002350385-00 , ISBN 4892990078 -
ブライアン・クック 著 , 細井敦子 訳 , Cook, B. F , 細井, 敦子, 1937- , 矢島, 文夫, 1928-2006. ギリシア語の銘文. 學藝書林, 1996. (大英博物館双書失われた文字を読む ; 5)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002595545-00 , ISBN 4875170157
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キャロル・アンドリューズ 著 , ほるぷ教育開発研究所 訳 , Andrews, Carol A. R , ほるぷ教育開発研究所. ロゼッタストーン : 日本語版. ほるぷ総連合・ほるぷ教育開発研究所, 1989.
- キーワード
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- ロゼッタストーン
- 金石文
- ギリシア語
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- インターネット最終確認 2021.11.27
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000312112