レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20220103
- 登録日時
- 2022/08/18 00:30
- 更新日時
- 2022/08/20 15:20
- 管理番号
- 児童-2022-01
- 質問
-
解決
LGBTQを扱った本(フィクション・ノンフィクションを問わず)を中高生向けに紹介したい。LGBTQを扱った絵本や児童書、漫画のブックリストはあるか。
- 回答
-
調査の前に、『現代用語の基礎知識』2022(資料1)で「LGBTQ」という言葉の定義を確認した。
資料1
p.86「LGBT」
「レズビアン(Lesbian 女性同性愛者)、ゲイ(Gay 男性同性愛者)、バイセクシュアル(Bisexual 両性愛者)、トランスジェンダー(Transgender)の頭文字を組み合わせたもので、性の多様性を表すキーワードとしてセクシュアルマイノリティ(性的少数者)の社会運動の中で用いられてきた。(中略)他方、性のあり方の多様性そのものを指し示すために、LGBT+(プラス)、LGBTQ(クィア/クエスチョニング)、LGBTQ+という表現が選ばれることも増えつつある。」と記載がある。
資料1の定義を踏まえて紹介した資料は以下のとおり。なお、中高生向けのブックリストだけでなく、小学生向けや大人向けの資料も併せて紹介した。
●中高生向け
資料2
・p.40-41、142-143、264-275に、関係する資料が紹介されている。
資料3
p.42-43「第3章 みんなが応援している お勧めの本・映像」
個々の作品の紹介文が掲載されている。書籍は、当事者による自叙伝などのノンフィクション作品のみ紹介されている。
資料4
巻末p.2-3「おすすめの本・映画など」
LGBT当事者である著者がセクシュアルマイノリティ/LGBTについて知りたい人向けにすすめる作品が紹介されている。作品は、「書籍」「コミック」「映画」等の項目別に簡潔に紹介されている。
資料5
2020年11月9日及び10日に国立国会図書館国際子ども図書館で開催した「国際子ども図書館児童文学連続講座ー国際子ども図書館所蔵資料を使って」の講義録。
・p.7-33「21世紀の英米ヤングアダルト文学ー物語がもつ力と危険性」(水間千恵)
この中のp.26-27「2 「性」と「生」、そして「自己探求」」でLGBTQを扱った翻訳児童文学作品が紹介されている。この講義の紹介資料リストはp.128-131に掲載されている。
・p.89-109「英語圏のヤングアダルト文学と図書館活動」(白井澄子)
p.100-102「2 現代のヤングアダルト文学ー20世紀後半~現代 (3)ジェンダー・セクシュアリティ」でジェンダーとセクシュアリティの問題を扱った児童文学作品が紹介されている。この講義の紹介資料リストはp.142-143に掲載されている。
●中学生向け
資料6
p.222-223 「おすすめの本・マンガ・映画」
「本」「小説・ノンフィクション」「マンガ」「絵本」「映画」の項目別に紹介。
あらすじや紹介文は載っていないが、多くの資料・作品を掲載している。
「小説・ノンフィクション」の項目では、さらに「ゲイ」「レズビアン」などLGBTQの種類ごとに分けて作品名が紹介されている。
●小・中学生向け
資料7
p.112-115 「多様な性についてもっと知りたい人へ」
「絵本」「マンガ」「ウェブサイト」「書籍」「映画」の項目別におすすめの作品を紹介。あらすじや紹介文も載っている。「書籍」では、ノンフィクション作品のみ紹介されている。
●小学生向け
資料8
p.106-109「もっと知りたいとき」
「マンガ」「読み物」「絵本」「映画」「団体」の項目別に、多様な性について知るための作品を紹介。簡潔なあらすじや紹介文も掲載されている。
資料9~11
各巻p.88-89「にじいろ図書館 性と自分らしさについて考えるためのブックガイド」
セクシュアルマイノリティ(性的少数者)について、もっと知りたい人を対象にしたブックガイドが載っている。「本」「マンガ」「絵本」「映画DVD」の項目別に紹介。本はノンフィクション作品のみで紹介文と併せて掲載されている。
資料12
「多様な性と生」と「人権意識」をテーマにした絵本を中心に、232冊の絵本が紹介されている。このうち、LGBTQについての絵本が紹介されているのは以下のページである。
・p.12-18「第一章 「レインボーブックガイド」ダイジェスト 多様な性・多様な家族」
・p.31-34「第一章 「レインボーブックガイド」ダイジェスト より深く考えるために」
・p.57-80「第三章 多様な性・多様な家族」
●大人向け
資料13
p.130-133「参考情報」
「相談窓口」と「本・資料・動画」の項目がある。「本・資料・動画」では「手記・自叙伝・ライフヒストリー」「絵本」「小説」「漫画」等の項目別に紹介されている。あらすじや紹介文は載っていないが、フィクション・ノンフィクション共に多くの作品が掲載されている。
資料14
46人の執筆者が、LGBTにかかわる自伝的ノンフィクションやインタビュー集、絵本、小説、漫画などを紹介するブックガイド。
●参考
資料15
2013年11月11日及び12日に国立国会図書館国際子ども図書館で開催した「平成25年度国際子ども図書館児童文学連続講座ー国際子ども図書館所蔵資料を使って」の講義録。
p.50-70「児童文学におけるセクシュアル・マイノリティ」(水間千恵)
その中のp.68-70「「児童文学におけるセクシュアル・マイノリティ」紹介資料リスト」にてセクシュアル・マイノリティを扱っている翻訳児童文学作品や日本で創作された児童文学作品が紹介されている。
資料16
p.48-49「質問20 性について描かれている子どもの本を紹介してください。」のうち「3 さまざまに描かれる性」
同性愛についての本や性同一性障害の人物が登場するフィクションの絵本・児童文学作品が数冊紹介されている。
資料17
・p.269-274「執筆者が薦める図書のリスト」
セクシュアルマイノリティを扱った図書について、紹介文とともに掲載。「予備知識のない高校生から一般の人たちが読みやすいもの、かつ入手しやすいものを選ん」だと記載されている。ノンフィクションが中心だが、一部、小説や漫画も紹介されている。
・p.275-277「セクシュアルマイノリティ教職員ネットワーク(STN21)のメンバーが執筆した本」
レズビアンやトランスジェンダーの人に焦点をあてた大人向けのノンフィクション作品などが紹介されている。
情報1
「児童文学連続講座」(国立国会図書館国際子ども図書館)(https://www.kodomo.go.jp/study/chair/index.html)
「令和3年度児童文学連続講座レジュメ・紹介資料リスト」(https://www.kodomo.go.jp/study/chair/pdf/R3_Bungaku_resume.pdf)として、2021年11月1日(月)12時~2022年1月11日(火)17時に配信された「令和3年度児童文学連続講座」のレジュメや資料リストが掲載されている。
・p.8-11「現代社会を生きぬく~ヤングアダルト文学は何をどう映し出す?~」(白井澄子)
「1 差別と戦う(3)性的マイノリティへの差別」
p.8で性的マイノリティへの差別が描かれた児童文学作品が紹介されている。
・p.13-19「ヤングアダルト文学の後先」(ひこ・田中)
p.15に「ジェンダー・LGBTQ」にジェンダー・LGBTの翻訳児童文学作品、日本児童文学作品が掲載されている。
・p.20-26「日本の翻訳ヤングアダルト文学の現在」(三辺律子)
「1 LGBTQ 文学」
p.20-21にLGBTQ を扱った翻訳児童文学作品が紹介されている。
(なお、本講義も、資料5、15のような「児童文学連続講座講義録」が刊行される可能性がある。)
情報2
『川口短大紀要』第33号 川口短期大学 2019年
p.101-116「絵本で考える性の多様性」(水間千恵)(http://id.nii.ac.jp/1354/00001277/)
日本で翻訳出版された、性的マイノリティにかかわる内容を含む物語絵本や、幼い読者向けに家族の多様性を描いた絵本などを紹介した論文。
なお、本論文は「埼玉学園大学 川口短期大学 機関リポジトリ」のうち、「File/Name」の項のpdfを選択すると全文を閲覧することができる。
情報3(英文)
「Rainbow Book List Archive for the ‘Annual List’ Category」American Library Association(米国図書館協会)
(https://glbtrt.ala.org/rainbowbooks/archives/category/annual-list)
図書館員や読者を対象とした、米国図書館協会による18歳までの子供・若者に推奨されるGLBTQに関するフィクション・ノンフィクションの文献リスト『Rainbow Book List』が載っています。日本で出版されていない資料も含みますが、多くの資料が紹介されています。
以上、インターネット情報等の最終アクセス日は、すべて2022年6月23日である。
調査方法は以下のとおり。
まず、都立図書館蔵書検索及び雑誌記事検索をキーワード<LGBTQ><LGBT><セクシュアリティ><セクシュアル><ブックガイド>等で検索した。次に、都立多摩図書館の児童書を配架したこどものへや、中学生・高校生向けの資料を配架した青少年エリア、児童研究資料を配架した児童研究エリアの書架を確認。主に確認したのは、次の分類番号とテーマの書架である。
・分類番号019:読書、読書法
・分類番号367、367.9:家庭・性問題、性教育
・分類番号909:児童文学研究
なお、紹介した資料1~13及び資料15~17は全て都立多摩図書館所蔵資料、資料14は都立中央図書館のみ所蔵の資料である。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 家族問題.男性.女性問題.老人問題 (367 9版)
- 読書.読書法 (019 9版)
- 児童文学研究 (909 9版)
- 参考資料
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【資料1】現代用語の基礎知識 (2022) / 自由国民社 / 2022.1
- 【資料2】今すぐ読みたい!10代のためのYAブックガイド150! 2 / 金原瑞人監修 / ひこ・田中監修 / ポプラ社 / 2017.11 <019.5/5131/2>
- 【資料3】もっと知りたい!話したい!セクシュアルマイノリティ ありのままのきみがいい 3 未来に向かって / 日高庸晴著 / 汐文社 / 2016.3 <367/5102/3>
- 【資料4】恋の相手は女の子 / 室井舞花著 / 岩波書店 / 2016.4(岩波ジュニア新書 829)<367.9/5370/2016>
- 【資料5】国際子ども図書館児童文学連続講座講義録 (令和2年度) 10代に手渡す物語-ヤングアダルト文学総論 / 国立国会図書館国際子ども図書館編 / 国立国会図書館 / 2021.09 <DK/909.0/5058/2020>
- 【資料6】性の多様性ってなんだろう? / 渡辺大輔著 / 平凡社 / 2018.6(中学生の質問箱)<367.9/5429/2018>
- 【資料7】「ふつう」ってなんだ? LGBTについて知る本 / ReBit監修 / 学研プラス / 2018.2 <367.9/5444/2018>
- 【資料8】個「性」ってなんだろう? LGBTの本 / 中塚幹也監修 / あかね書房 / 2018.12 <367/5118/2018>
- 【資料9】いろいろな性、いろいろな生きかた 1 / 渡辺大輔監修 / ポプラ社 / 2016.4 <367.9/5414/1>
- 【資料10】いろいろな性、いろいろな生きかた 2 / 渡辺大輔監修 / ポプラ社 / 2016.4 <367.9/5414/2>
- 【資料11】いろいろな性、いろいろな生きかた 3 / 渡辺大輔監修 / ポプラ社 / 2016.4 <367.9/5414/3>
- 【資料12】レインボーブックガイド 多様な性と生の絵本 / 草谷 桂子/著 / 子どもの未来社 / 2022.2 <K/019.5/5660/2022>
- 【資料13】LGBTってなんだろう? 自認する性・からだの性・好きになる性・表現する性 / 改訂新版 / 藥師実芳 [ほか]著 / 合同出版 / 2019.5 <367.9/5335/2019>
- 【資料14】にじ色の本棚 LGBTブックガイド / 原ミナ汰編著 / 土肥いつき編著 / 三一書房 / 2016.1 <367.9/5362/2016>
- 【資料15】国際子ども図書館児童文学連続講座講義録 (平成25年度) 英米児童文学をめぐる時代と環境 / 国立国会図書館国際子ども図書館編 / 国立国会図書館 / 2014.10 <DK/909.0/5058/2013>
- 【資料16】子どもの本100問100答 司書、読書ボランティアにも役立つ / 大阪国際児童文学振興財団編 / 創元社 / 2013.8 <K/019.5/5406/2013>
- 【資料17】セクシュアルマイノリティ 同性愛、性同一性障害、インターセックスの当事者が語る人間の多様な性 / 第3版 / セクシュアルマイノリティ教職員ネットワーク編著, ロニー・アレキサンダー [ほか]著 / 明石書店 / 2012.9 <367.9/5082/2012>
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【資料1】現代用語の基礎知識 (2022) / 自由国民社 / 2022.1
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000320004