レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2010年02月11日
- 登録日時
- 2010/02/11 15:05
- 更新日時
- 2010/03/04 15:43
- 管理番号
- 山形県-2008-0033
- 質問
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解決
米沢藩の「原方衆」について、その内容を教えてほしい。他藩の「郷士」階級に相当するものであったのか。
- 回答
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「明和6年原方屋敷絵図について」の説明に「原方衆」について、端的に解説したものが載っていますので、御紹介します。
『上杉氏の二代景勝は、関ヶ原役後会津若松百二十万石から米沢三十万石に厳封され、慶長六年(1601)六千余の家臣と共に米沢へ移った。しかし、米沢の狭い城下にすべての家臣を収容しきれず、慶長十四年頃までに下級の藩士は、南原、花沢等に屯田式の聚落を設けて住まわせ、河川の氾濫や街道防備の任に当たらせた。これらの家臣は原方奉分人(原方衆)とも呼ばれ、半士半農の生活を営んだが、こういう特異な郷士聚落は薩摩の麓聚落を除いて、他藩に殆ど例を見ない。屋敷割りも広く、間口は身分に「応じて六間から八間、奥行きはおよそ二十五間と一定しているが、さらに屋敷に続く土地を開けばその開墾地の所有も許されていた。』また、「原方衆」の子孫となる二人の著作、「米沢藩原方衆」「原方士族の次男坊」では、身分は武士でも貧しい農民と変わらぬ暮しの中での彼らの誇りがうかがい知れます。
米沢藩の郷士集落については、次の資料にも記載が見られます。「新訂山形県地誌」の「19米沢藩の郷士集落の項中」P384~『原方衆』「山形県史通史第2巻」「第3節米沢藩」の項中P113~『家臣の米沢移住』、「米沢市史近世編1」の「第3節藩体制の成立」の項中P114~『家臣の移住』「米沢市史民俗編」の「第一節城下町のくらしと村のくらし」の項中、P19~『原方のくらし』「上杉藩の郷士聚落の研究」のP20~『原方』「置賜民衆生活史」のP44~『城下と原方』などです。
また、米沢の城下町建設は直江兼続が中心となって事を進めましたので、直江関連の資料の中にも「原方衆」に関する記載が数多く見られます。
「米沢市制100周年記念直江兼続伝」のP197~『第二節城下町の建設』「直江兼続傅」のP661~『第7章兼続と米澤』「直江兼続とその時代」のP139~『米沢の建設』「直江兼続の素顔」のP22~『治水』「直江兼続物語」のP42~『治水』P49~『米沢の建設』「直江城州公小傳」のP5~『第二章米澤入城と其建設』「直江兼続がつくったまち米沢を歩く」などをご覧ください。
「米沢風土記第3集」のP149~『米沢の城下町と武家屋敷』「廣幡のむかし」「萬世郷土史」「町内めぐり」では、それぞれの町に残る資料から原方についての記載があります。「明和六年諸奉公人屋鋪絵図」のいわゆる「原方絵図」と称される2枚の絵図と、「御城下並原々屋鋪割張」からは、「原方衆」の実際の屋敷割がご覧いただけます。
前述の「米沢市史民俗編」の『原方のくらし』には『子弟に厳しく武芸を仕込み、そのための武芸所は七ヶ所に置かれた。』とありますが、『原方衆は城下の下士に較べ藩のお手伝い普請に動員される場合がかなり多く、生活は自作の田畑を有する点で城下の下士よりはやや良く、『城下のお粥っ腹、原方の糞つかみ』という罵言が生まれ、幕末の藩儒山田穫堂が詩に読み込んだほどである。」との記載があります。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本 (281 9版)
- 東北地方 (212 9版)
- 日本史 (210 9版)
- 参考資料
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資料①米沢藩原方衆/曽根伸良著/よねざわ豆本の会/2004(YK270/ソネ)
資料②原方士族の次男坊/今泉亨吉著/1984(YK270/イマ)
資料③山形県地誌/長井政太郎著/中央書院/1973(YK290.1/ナガ)
資料④山形県史通史編第2巻/山形県編/1985(K209/ヤマ/2)
資料⑤米沢市史近世編1/米沢市史編さん委員会編/米沢市/1991(K274.1/ユネ/2)
資料⑥米沢市史民俗編/米沢市史編さん委員会編/米沢市/1990(K274.1/ヨネ/6)
資料⑦上杉藩の郷士聚落の研究/長井政太郎著/国書刊行会/1982(YK297/ナガ)
資料⑧置賜民衆生活史/吉田義信著/山形県南置賜社会科教育研究会/1956(YK270/ヨシ)
資料⑨直江兼続伝/渡部恵吉〔ほか〕著/米沢信用金庫/1989(YK289/ナオ)
資料⑩直江兼續傳/木村徳衛著/木村益子/1969(YK289ナオ)
資料⑪直江兼続とその時代/渡辺三省著/野島出版/1980(K289/ナオ)
資料⑫直江兼続の素顔/遠藤英著/2007(YK289/ナオ)
資料⑬直江兼続物語/遠藤英著/新潟日報事業社/2008(YK289/ナオ)
資料⑭直江城州公小傳/米沢市編/1938(K289/ナオ)
資料⑮直江兼続がつくったまち米沢を歩く/遠藤英著/2009(YK297.41/エン)
資料⑯米沢風土記第3集/米沢市編/1976(K27401/ヨネ/3)
資料⑰廣幡のむかし/高橋勝郎著/1977(YK274.1/タカ)
資料⑱萬世郷土史/万世郷土史編集委員会/明示百年記念事業実行委員会/1977(K274.1/バン)
資料⑲町内めぐり/泉崎清著/米沢新報社/1978(YK297.41/イズ)
資料⑳屋鋪絵図〔1〕南原五町六十在家長手新田/米沢市市史編さん委員会編/米沢市/1980(KM741/ヤシ/1)
資料21屋鋪絵図〔2〕花沢八町山上ニ町/米沢市市史編さん委員会編/米沢市/1980(KM741/ヤシ〔1〕)
資料22御城下並原々屋鋪割帳/御城下並原々屋鋪割帳頒布会編/1973(KM741/ゴジ)
※( )は自館の「請求記号です。}
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資料①米沢藩原方衆/曽根伸良著/よねざわ豆本の会/2004(YK270/ソネ)
- キーワード
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- 米沢藩
- 原方衆
- 直江兼続
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 所蔵調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000063098