1.レファレンス事例 「斎藤秀雄について知りたい。どんな文献があるか」
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000030884 より下記の文献を調査。
①『嬉遊曲、鳴りやまず』の下記ページが斎藤秀雄のマンドリン作品に関する部分。
p.45 「斎藤はこの年(1922)、編曲に加え、マンドリン合奏曲「ダンス・ファンタスティク」を作曲している。」
p.81 「(1927年)、古巣のオルケストル・エトワールの十二回目を数えた十月二十九日の赤坂溜池の三会堂における演奏会で、斎藤は自作の曲で存分に指揮棒を振ったのである。演奏会は六曲から構成され、そのうち四曲はドイツ留学中のものであり、・・・。この演奏会についてはまさを・ただしが記している。「・・・曲の二(著者注『歌えよ小鳥、やよ歌え』)からは・・・」(「マンドリン・ギター評論」一九二七年十一月号) 斎藤は、こののちもマンドリン曲をはじめ、歌曲の作曲をつづけた。・・・」
p.362 「・・・日本マンドリン連盟理事長である市毛利喜夫氏が私蔵されていたマンドリン・オーケストラ「エトワール」関係の資料、・・・」
②『齋藤秀雄・音楽と生涯』
p.206に杉田村雄氏の「思い出の齋藤秀雄先生:暁星時代からその後」と題した中に、齋藤秀雄が作曲した全作品が書かれてあったが、所在については触れられていない。
「オルケストル・エトワール-暁星の同期の音楽グループの卒業生が他よりの同好者を加えて結成。勿論、齋藤秀雄もその指導者となり、このオーケストラの育成に努めた。年二回の定期演奏会には指揮に立ち、「エトワール」誌も随時発刊されるようになった。当時マンドリン界の指導的立場にあった、オーケストラ・シンフォニカ・タケイ-武井守成主宰する「第一回全国マンドリン合奏団コンコルソ」に、わがエトワールは齋藤指揮で出演、たしか一位か二位を確保した。・・・コンクール直後、上智大を中退。ライプツィヒ音楽院に留学、クレンゲルにチェロ他作曲、指揮法を学び帰国。ここで多くのマンドリン・オーケストラ曲が作曲されており、彼の全作曲をリスト・アップして見ると以下の通り。<フランス民謡に基く八つの変奏曲>、<主題と変奏曲>、<ロマンツァ>、<ファンタジー>、<三つの断片-1.アンダンテ・グラチオーゾ、2.ゲベット、3.スケルツォ>、<プレリュード>、<エクスターゼ>、<千鳥ヶ淵>、以上マンドリン・オーケストラ曲。他に<二つのマンドリンの為の二重奏曲>がある。」
2.音楽辞典・事典類には記載なし
3.下記参考図書に掲載なし
・『日本の作曲家の作品楽譜所蔵目録』
・『日本の作曲20世紀』
4.NDLOPAC、CiNiiで検索像。
1点録音資料あり。曲名は「蚊トンボ(小二重奏曲)」。マンドリンオーケストラの曲ではなかった。2館が所蔵。本学図書館では未所蔵。
5.国立国会図書館の歴史的音源のサイトを検索したが、斎藤秀雄が作曲したものはヒットしなかった。
6.日本マンドリン連盟のサイトを確認。
https://japanmandolinunion.jimdofree.com/ (2021/2/22確認)
「マンドリン略史」の中で、大正5年(1916)にシンフォニア・マンドリーニ・オルケストラ(その後オルケストラ・シンフォニカ・タケイに改称)を創立した武井守成が大正11年(1922)に英国ボーン文庫の大半を譲り受け「武井音楽文庫」を設置、公開。武井没後、楽器類及び合奏用楽譜、「武井音楽文庫」は杉田村雄らに譲渡され、杉田村雄没後は日本マンドリン連盟の市毛利喜夫に寄贈。平成3年(1991)に国立音楽大学図書館に寄贈された経緯が書かれている。ギター譜約2000曲、マンドリン楽譜3500曲が含まれる。
https://japanmandolinunion.jimdofree.com/2018/05/17/%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%B3%E7%95%A5%E5%8F%B2-%EF%BC%96-%EF%BC%97-%E6%AD%A6%E4%BA%95%E5%AE%88%E6%88%90%E3%81%A8o-s-t-s-m-o/ 国立音楽大学附属図書館のサイトで「武井守成」「武井コレクション」などで検索したが、ヒットしなかった。
7.Googleで「武井音楽文庫」を検索すると「The Takei Music Library」 がヒットした。
https://www.digitalguitararchive.com/2020/06/the-takei-music-library/ このサイトで、オルケストラ・シンフォニカ・タケイの機関誌で、斎藤秀雄が関係したころの雑誌「マンドリン・ギター評論」(1927-1929)について目次の一覧を見ることができる。
この雑誌には各号に楽譜が添付されており、第21号(1928年11月)と第22号(1928年12月)には斎藤秀雄作曲「祈り」合奏曲。第27号(1929年5月)には斎藤秀雄作曲「アンダンテ 三部作より」があることがわかった。
また、この雑誌が同志社大学今出川図書館中野譜庫に所蔵されていることがわかった。
CiNiiで検索すると同志社大学ほか2館が所蔵している。
8.同志社大学の「中野譜庫」について調査
『同志社大学マンドリンクラブ百年史』第4章第6節「中野譜庫」に、創設からの詳しい経緯が掲載されている。同志社大学マンドリンクラブを指導した中野二郎氏が蔵譜(マンドリン関係楽譜約6000部、ギター関係楽譜約5000部、教則本、雑誌)を同志社大学図書館に寄贈したものが「同志社大学図書館中野譜庫」であることがわかった。
また、この図書には、同志社大学マンドリンクラブの定期演奏会の記録も掲載されているが、斎藤秀雄の曲は見当たらなかった。
『同志社大学図書館中野譜庫目録マンドリン編』が1987年に出版されており、この目録に掲載されていれば、同志社大学附属図書館で楽譜を所蔵していることがわかる。この目録は本学図書館は未所蔵だが、CiNiiで検索すると同志社大学図書館ほか25館で所蔵。
9.同志社大学マンドリンクラブのサイトを確認
第16回東京公演(2018年9月7日)の曲目の中に、斎藤秀雄作曲「フランス民謡歌えや小鳥やよ歌えの主題歌による8つの変奏曲」があった。
http://www.d-live.info/cheer/schedule/index.php?c=schedule_view&pk=1535699760 (2021/2/22確認)
同クラブで楽譜を所蔵している可能性がある。