レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019/11/01
- 登録日時
- 2021/03/31 00:30
- 更新日時
- 2021/03/31 00:30
- 管理番号
- 参調 20-0024
- 質問
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解決
1 明治~昭和初期(戦前)頃に登場した画家や小説家は、どのように商業デビューしていったのか知りたい。
竹久夢二や橘小夢等の画家は、雑誌にコマ絵が掲載されたのが商業的に作品を発表した初めだと聞いていますが、雑誌への投稿者の中で優秀な人には出版社から直接執筆の依頼をしていたのでしょうか?それとも、美術会や師匠とのコネクションで仕事を紹介してもらったりしていたのでしょうか?
2 出版社や新聞社の社員が、小説や絵といった創作物を誌面に発表することはあったのか?
3 明治~昭和初期(戦前)頃の出版社で働いていた人の勤務内容について知りたい。
特に、文学や絵に関する雑誌・書籍を編纂していた編集者が、執筆者とやり取りをしていた方法や、誌面の作成をどのようにしていたか(原稿を活字にしたり、挿絵を適当な位置に拡縮・配置したりする方法)といった、日常的な勤務風景が分かる資料、または間接的に読み取れる資料等を教えてください。可能であれば、文章で分かる資料と、写真や絵図でビジュアル的に分かる資料の両方について教えて頂けると助かります。
●その質問の出典や情報源、調査済み事項など
1 『女学世界』『中学世界』といった雑誌を見て、文章や絵等の投稿コーナーがあることを知りました。竹久夢二等の著名な画家も、おそらくこうした投稿コーナーに作品を投稿することから商業活動をスタートしたのではないかと推測し、当時の誌面で募集要項を確認しましたが、優秀者には誌面掲載・賞金・講評はあるものの、現代の文学賞や漫画賞のように「商業作家としてデビューすることを前提としたもの」という募集文には見えませんでした。調べられる範囲で画家の経歴が書かれた資料を読んでみたのですが、例えば「出版社から原稿執筆依頼の手紙が届いた」といったような、具体的に商業活動に繋がる流れが読み取れる記述・資料が見つからなかったので、ご教示願います。
2 小説家の岡本綺堂が、新聞社で働きながら小説を誌面に発表したと聞きました。作家としてではなく一社員として勤務していたサラリーマンが記事以外の創作物を掲載するということは一般的なことだったのか、または本人が社内で直接折衝して掲載の機会を作ってもらったのか、具体的な流れや、他に同様の例があれば知りたいと思いました。
3 明治頃の雑誌を見て、現在のように電子化されていない時代、本や雑誌がどのように作られたのかを知りたいと思いました。作家に執筆を依頼する方法(手紙や電報か、直接家に行ったのか)、誌面として整える方法(原稿は切り貼りしていたのか、タイピングやコピーは社内に専門の部署があったのか、または印刷所等に原稿を持っていっていたのか)、勤務の様子(現代のように電話やパソコンは無いであろう社内には何が置かれていたのか)といった、編集者の勤務風景を知りたいです。
- 回答
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1 個別事情だと考えられるので、画家や小説家の作家研究や画集・著作集の解説を調べる方法を知らせる。
例えば竹久夢二の画集を探す場合、蔵書検索で「著者名:竹久夢二」で検索する。岡本綺堂の作家研究を探す場合、「件名:岡本綺堂」×「分類:910.268(作家研究)」で検索する。
該当の時代の個人の特定の方法として、次の資料を紹介した。
(1)作家の場合
『日本近現代文学案内』(回答資料1)など、日本文学史の参考図書により、作家を特定する。
この資料の場合、明治・大正・昭和の時代による区分と、文学一般・詩・短歌などのジャンルによる区分により、個人名が特定できる。
(2)画家の場合
『美術家人名事典』(回答資料2)など、美術の参考図書により、作家を特定する。
この資料の場合、画家の五十音順の配列だが、掲載項目に生年月日と没年月日があり、時代の判断がしやすい。
2 「1」と同様、画家や小説家の作家研究や画集・著作集の解説を調べる方法のほか、出版の歴史に関する資料を紹介する。
(1)作家の特定
・道立図書館の蔵書検索で「件名:記者」×「分類:910.268(作家研究)」で検索し、元記者の作家を抽出した。
井上靖、夏目漱石、巌谷小波、三角寛、石川啄木、船山馨、二葉亭四迷、夢野久作
・道立図書館の蔵書検索で「件名:記者」×「分類:72(前方一致・絵画)」で検索し、元記者の画家を抽出しようとしたが、該当の時代の人物はヒットしなかった。
(2)出版の歴史に関する資料
・道立図書館の蔵書検索で「件名:編集者」、「件名:出版」×「件名:歴史」、「全文(キーワード):新聞小説」で検索し、
『時代を創った編集者101』(回答資料3)
『日本の時代をつくった本』(回答資料4)
『日本出版文化史』(回答資料5)
『新聞小説史 明治篇』(回答資料6)
『新聞小説史 大正篇』(回答資料7)がヒット。
3 本や新聞のアナログ方式の作り方の資料を紹介する。
・蔵書の「分類:021(編集)」、「分類:023(出版)」、「分類:070(新聞)」の書架で現物を確認し、図や写真入りの次の資料を選んだ。
『本のできるまで』(回答資料8)
『編集入門』(回答資料9)
『編集・出版マニュアル』(回答資料10)
『新聞の出来るまで』(回答資料11)
『新聞の編集 「整理」と呼ぶ活字の造型術』(回答資料12)
『新聞・新聞社・新聞記者』(回答資料13)
- 回答プロセス
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回答に記載
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本文学 (910 7版)
- 参考資料
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- 1 日本近現代文学案内 日外アソシエーツ株式会社?編集 日外アソシエーツ 2013.7 910.26/NI
-
2 美術家人名事典 日外アソシエーツ株式会社?編集 日外アソシエーツ 2009.2 721.03/B -
3 時代を創った編集者101 寺田/博?編 新書館 2003.8 021.4/J -
4 日本の時代をつくった本 永江/朗?監修 WAVE出版 2017.4 020.21/NI -
5 日本出版文化史 岡野他家夫∥著 春歩堂 1959 023.1/O -
6 新聞小説史 明治篇 高木健夫∥著 国書刊行会 1974 910.26/TA -
7 新聞小説史 大正篇 高木健夫∥著 図書刊行会 1976.12 910.26/TA -
8 本のできるまで 全国学校図書館協議会∥編 明治図書 1954 022.8/E -
9 編集入門 水田茂,戸台俊一,高橋錦吉∥著 デザイン編集室∥編 ダヴィッド社 1957 021.4/MI -
10 編集・出版マニュアル 沢田和雄,竹内忠雄∥著 竹内忠雄(1929? ) 文化社 1969 021.4/HE -
11 新聞の出来るまで 由利和久∥著 同文館 1955 070/Y -
12 新聞の編集 三樹/精吉?著 同文舘 1957 070.1/MI/5 -
13 新聞・新聞社・新聞記者 茂木政∥著 三省堂 1957 070/SH/9
- キーワード
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- 出版界
- 編集者
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事項調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000295974