レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年12月11日
- 登録日時
- 2023/03/23 17:12
- 更新日時
- 2023/03/23 17:12
- 管理番号
- 千県東-2022-0015
- 質問
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解決
夏目漱石がイギリスから帰国後に、妻・鏡子の弟か甥を誘って弓に行こうとすることについて書かれた書簡か何かの文章を読んだことがある。全集にあったもののような気がするが、どの本に書かれていたか知りたい。
なお依頼者によれば、漱石が誰かに宛てた書簡ではなく、別の第三者が書いた書簡の中にあったはずとのことだった。
- 回答
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【資料1】中根倫「義兄としての漱石」『定本漱石全集 別巻 漱石言行録』(夏目金之助著 岩波書店 2018)p534-539
p536に、漱石が洋行(英国留学)から帰ってきた後のエピソードとして、妻・鏡子の弟である中根倫を「大弓引きに行かうとか云つて連れ出」したことが書かれていました。
質問者に確認してもらったところ、この資料で間違いないとのことでした。
- 回答プロセス
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1 書簡が書かれた年代を特定するため、Wikipedia「夏目漱石」(https://ja.wikipedia.org/wiki/夏目漱石)を確認。1896(明治29)年に中根鏡子と結婚し、1900(明治33)年-1903(明治36)年に英国留学したと書かれていた。
2 鏡子の家系について確認するため、同じく「夏目鏡子」(https://ja.wikipedia.org/wiki/夏目鏡子)を確認。参考文献として挙げられていた『漱石の思い出』(夏目鏡子述 文芸春秋 1994)を確認したところ、p21に「家族は父母、私、時子、倫、梅子、豊子、壮任の6人兄弟」と書かれていた。
3 レファレンス協同データベースをキーワード「夏目漱石 書簡」と検索。
「夏目漱石から内田百閒への手紙を見たい。」(https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000253881)より『漱石先生の手紙』(出久根達郎著 日本放送出版協会 2001)を確認したところp81に、鏡子の弟の倫もロンドンの漱石に手紙や日記を送っており、1902(明治35)年3月10日の手紙では倫への文言もあったと書かれていた。
「夏目漱石が森田草平に宛てた書簡の中で、画家の小杉未醒について書いていたことがあると聞いた。その書簡の全文を読みたい。」(https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000222585)より『夏目漱石辞典』(古川久編 東京堂出版 1982)を確認したところ、弟については記載があったが甥については書かれていなかった。
4 『定本漱石全集 第24巻 書簡』(夏目金之助著 岩波書店 2019)巻末の「人名に関する注および索引」で、中根倫・壮任の項目を確認。
1901(明治34)年9月26日付、1902(明治35)年3月10日・9月12日付の手紙に、中根倫から手紙が来た旨が記されているが、弓に関する記述は見つけられなかった。
5 千葉県立図書館ホームページ「図書・雑誌・視聴覚資料検索」、WhoPlusでキーワード「中根倫」「中根壮任」と検索するが、情報は見つけられなかった。
6 国立国会図書館リサーチ・ナビを「中根壮任」と検索するが、情報は見つけられなかった。
7 6と同じくキーワード「中根倫」で検索したところ、【資料1】が見つかった。
(インターネット最終アクセス:2022年12月11日)
※参考資料末尾の数字は当館の資料番号。
- 事前調査事項
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・夏目漱石の来歴や妻の鏡子の家族も含めた系図を調べるため、以下のウェブサイトを確認した。
Wikipedia「夏目漱石」(https://ja.wikipedia.org/wiki/夏目漱石)
「夏目漱石 近現代・系図ワールド」(https://kingendaikeizu.net/bungaku/natumesouseki.htm)
・レファレンス共同データベースをキーワード「夏目漱石」「弓」、「夏目漱石」「書簡」、「文豪」「弓」で検索したが、情報は見つけられなかった。
・以下の資料は確認済み。
『回想子規・漱石』(高浜虚子著 岩波書店 2002)
p107-258「漱石氏と私」
漱石が松山中学の教師をしていた1895(明治28)年ごろに弓を引いている描写がある。しかし書簡ではないのと、漱石が結婚したのが1896(明治29)年のことであるため該当せず。また1907(明治40)年に虚子宛の書簡にて弓について触れている記述があるが、依頼内容とは異なる。
『漱石・子規往復書簡集』(和田茂樹著 岩波書店 2002)
p133の1984(明治27)年3月12日付の書簡に、「当時は弓の稽古に朝夕余念なく候」と書かれている。しかし依頼の年代とは異なる内容であり、また依頼者に確認したところ相手は子規ではなかったと言っていた。
『漱石書簡集』(夏目漱石[著] 三好行雄編 岩波書店 1990)
『漱石全集第24巻日記及断片 上』夏目漱石 著 岩波書店 1979.11
熊本県弓道連盟ホームページ「夏目漱石も弓道をしていたのですね」(https://jp.bloguru.com/kumamotoken/341857/2019-01-31)
- NDC
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- 日本文学 (910 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】中根倫「義兄としての漱石」『定本漱石全集 別巻 漱石言行録』(夏目金之助著 岩波書店 2018)p534-539(2102828969)
- キーワード
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- 夏目,漱石(ナツメ,ソウセキ)
- 中根,倫(ナカネ,ヒトシ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000330903