レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年09月27日
- 登録日時
- 2024/01/11 10:38
- 更新日時
- 2024/01/17 10:27
- 管理番号
- 横浜市中央2706
- 質問
-
解決
横浜にあったジャズ喫茶「メーゾン リオ」について知りたい。いつどこに開店したか、
どんな店だったか。
- 回答
-
1 開店した年代及び所在地
下記の資料に開店時期や所在地に関する記述がありましたのでご紹介します。
(1)『横浜ジャズ物語 「ちぐさ」の50年』 吉田衛/著 神奈川新聞社 1985.8
p.22「昭和四、五年ごろ、横浜の吉田町通りに「メーゾン・リオ」という店ができた。
経営者は小笠原さんという、東京の五反田で電気器具のセールスをやっていた人
だった」
(2)『おれたちのジャズ狂青春記 ジャズ喫茶誕生物語』
ジャテック・バード/編 ジャテック・バード 1991.7
「レコードたった百枚で『ちぐさ』は始まった」吉田衛/著
p.68「そこで知り合った小笠原さんという人が『デュエット』に刺激され、
昭和六年に横浜の吉田町に『メーゾン・リオ』というクラシック専門の名曲喫茶を
出した。小笠原さんは五反田で電気器具のセールスをやっていたので、
横浜にも店を出し、レコードで音楽を聴かせながら電気蓄音機のセールスを
しようと考えていたらしい。ところがクラシックではあまりはやらないので
ジャズに切り替えた」
(3)「<座談会>横浜にジャズが入ってきたころ(1)」
(「ジャズ批評」6号 ジャズ批評社 1969.8) p.22~25
店名は明言されていませんが、「メーゾン リオ」のことと思われる記述が
ありましたので、ご紹介します。
p.25 吉田衛氏が以下のように述べています。
「それから横浜で電気蓄音機の販売をしていた人がクラシック専門の店を
出したが、寺田さんと知り合ってジャズに切り替えたのは、昭和五年でした。」
(4)「モダンボーイたちの子守唄」瀬川昌久/著
(「太陽」1986年11月 珈琲博物館 平凡社) p.107~109
p.108「昭和五、六年頃になると、(略)横浜の『メイゾン・リオ』(略)と、
ジャズ・レコード、それもパリパリの新着輸入盤を競って聴かせる専門の喫茶店が
誕生して、多くのファンを吸収する」
(5)「ジャズの大衆化・ジャズ喫茶のあゆみ 四章」
(「ジャズ批評」12号 ジャズ批評社 1972.6)p.64~69
p.64「S6年(略)小笠原氏横浜に「メイゾン・リオ」電機蓄音機を売る傍でジャズ・
レコードを流す」
この記事は、「ジャズ批評」207号に再録されています。
(6)『中区わが街 中区地区沿革外史』 “中区わが街”刊行委員会 1986.1
巻末「中区記憶絵図集抄」のp.16に、「吉田町記憶絵図(昭和10年頃)」があり、
「メーゾン・リオ」の名前が見えます。
2 店の特徴について
(1)『近代日本の音楽百年 第4巻 ジャズの時代』 細川周平/著 岩波書店
2020.12
「表6 昭和10年代のジャズ喫茶一覧」
p.257 メーゾン・リオの特徴として「37年型ハイ・フィデリティ式RCAビクター
R99号の再生する輸入ジャズレコード」「外国レコード 直輸入未曽有の収集」
とあります。
同様の表が、下記論文にもあります。
「ジャズ喫茶の文化史戦前篇―複製技術時代の音楽鑑賞空間」細川周平/著
(「日本研究」34号 国際日本文化研究センター 2007.3) p.209~248
「日文研オープンアクセス」 https://doi.org/10.15055/00000588
(最終確認日:令和5(2023)年9月27日)
(2)「モダンボーイたちの子守唄」瀬川昌久/著
(「太陽」1986年11月 珈琲博物館 平凡社) p.107~109
p.108に、「ダンスと音楽」1935(昭和10)年掲載の広告画像があります。
「リオのレコードは・・・全部輸入盤です!! 本年度第八回新入荷発表
(パンフレット差上げます)」
また、店内の写真もあります。
(3)『ジャズ昭和史 時代と音楽の文化史』 油井正一/著 DU BOOKS 2013.8
p.51「僕が下宿していた横浜には、吉田町に「メイゾン・リオ」というのがあって、
ここは毎月英語で印刷した新入荷レコードのリストを配ってくれた」
p.224「「メイゾン・リオ」はじめ大抵のジャズ喫茶は二連のプレイヤーを置いていて、
一方の演奏が終わるころにもう一方に針下ろしておいてすぐ次の曲を出す。」
なお、油井氏が横浜に下宿を始めたのは、昭和10(1935)年です(p.641 年譜より)。
(4)『横浜ジャズ物語 「ちぐさ」の50年』 吉田衛/著 神奈川新聞社 1985.8
p.23 昭和12(1937)年の音楽雑誌に載った「メーゾン リオ」の広告画像が
あります。
「輸入盤ジャズの演奏店 純正…喫茶店 外国レコード直輸入未曽有の蒐集」
とあります。
(5)『ジャズ喫茶リアル・ヒストリー』 後藤雅洋/著 河出書房新社 2008.12
p.15「横浜吉田町の「メイゾン・リオ」という店は昭和13年ごろ、輸入盤を
どんどん取り寄せ、油井先生はこの店で、カウント・ベイシーのビッグバンドや、
アルバート・アモンズのブギウギ・ピアノを聴いたという。」
(6)『横浜 朝日旅の事典』 朝日新聞社 1986.9
「船も港もスイングでいっぱい」瀬川昌久/著
p.122に昭和13(1938)年の「メーゾン リオ」の広告画像があります。
「横濱にタツタ一軒の輸入盤ジズ(ママ)演奏店 外国レコード直輸入未曽有の蒐集
R.C.Aサウンド・システム2機設置 新入荷盤・・ストック豊富 続々発表」
とあります。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 器楽合奏 (764 10版)
- 商業経営.商店 (673 10版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000344510