レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2008/05/08
- 登録日時
- 2008/12/11 02:11
- 更新日時
- 2009/01/06 14:36
- 管理番号
- 埼熊-2008-030
- 質問
-
解決
韓国人の名字「姜(カン)」氏について、ルーツなどを知りたい。
- 回答
-
中国の姜(キョウ)姓に由来する。
上古炎帝神農氏が姜水のほとりで長じたため姜姓が生まれた。
姜(カン)はチンギス汗の汗や韓国の韓と同じ「上に立つ、尊大な」の原義を持つ尊称から生じた姓。
2000年現在、韓国に姜姓は105.7万人いて、総人口の2.3%を占めている。
以上の情報を連絡する。
- 回答プロセス
-
韓国姓氏についての資料を調査し、中国の姓との関連から中国の姓氏関連資料も調査した。
『韓国姓名字典 増補改訂』には「初期の姓は、自分たちの住んでいた地名や、仰ぎ見ていた山名、川名などにちなんでつけられたようだ。たとえば、神農氏の母が姜水に住んでいたので姜氏が発生」とあり。
『人名の世界史』には「朝鮮族の大姓の由来は、おおむね中国人の姓をそのまま用いたもので、姓だけを見ると中国系か朝鮮系か判然としないものが多い。」「姜はチンギス汗の汗や韓国の韓と同じ「上に立つ、偉大な」の原義をもつ尊称から生じた姓で、いずれももとは古代中国の姓にならったものである。」「中国における姓の起源は、黄帝など三皇五帝の神話時代にまでさかのぼる。平民と峻別するため、帝の神農は姜、舜は姚のような血族の祖を示す標識として名のったのがはじまりで、やがて同族の部族集団を形成した。」とあり。
『人名の世界地図』には「現在、使われている中国式の姓が一般化してきたのは、中国から漢字が導入され、定着してきた7世紀以後と考えられている。『三国史記』や『三国遺事』では、高句麗・百済・新羅の始祖伝説にすでに中国式の姓が使われていたように記されているが、実際には神話上の話と解釈されている。」「実際に、朝鮮半島で姓が生まれたのは、統一新羅時代になってからである。(中略)また、中国の姓をまねただけでなく、自分の住んでいる地名、周辺の山や川にちなんでつけられた名前もあったようだ。」とあり。
『世界の姓名』には「朝鮮では唐人の姓をおおむねそのまま用い、古くは四百九十六姓あったという」「姜姓は中国で最も古く、代表的な有力な姓の一つである。その祖先は中国古代の神話によれば有益な薬草を試し調べ、また農耕を庶民に教えた神農、あるいは漢民族共通の祖と言われる黄帝と争って敗れた、非漢民族の代表者である炎帝ということになっている。その発祥については中国のはるか西北方の天山北路、チベット系の羌(キョウ)族であったといわれる」「中国の先史社会にあって姜姓と姫姓は最も有力な姓であった。伝説によれば姜姓の始祖である炎帝は、姜水(岐水のこと)の水源にある高い山(陜西省岐山)に天上から降臨し、その子孫は下流の平原に出て農業を営むようになった。」とあり。
『中国姓氏考 そのルーツをさぐる』 女性始祖の出産した場所によって得た姓として「姚」と「姜」の例あり。「姜、神農は姜水に居り、因りて以て姓となす。」(『説文解字』)。「炎帝の母女登(ジョトウ)華陽に遊び、陽に感じて炎帝を姜水に生む」(『帝王世紀』)。
『中国姓氏事典』 〈姜(キョウ)〉に、「上古炎帝神農氏が姜水(岐水と同じ=陜西省岐山県西部に源を発す)のほとりで長じたためこの姓が生まれた。周代、斉に姜姓を名乗るものがいた。」とあり。「姓氏起源分類一覧」の「帝王あるいは諸侯の領地名、又はそれと関連する邑名、河川名、山名等から転用したもの」に「姜」あり。
- 事前調査事項
- NDC
-
- アジア (282 9版)
- 参考資料
-
- 『韓国姓名字典 増補改訂』(金容権 三修社 2007)
- 『人名の世界史』(辻原康夫 平凡社 2005)
- 『人名の世界地図』(21世紀研究会 文藝春秋 2001)
- 『世界の姓名』(島村修治 講談社 1977)
- 『中国姓氏考』(王泉根 第一書房 1995)
- 『中国姓氏事典』(日中民族科学研究所 国書刊行会 1983)
- 『韓国・朝鮮人名仮名表記字典』(人名仮名表記字典編集委員会 ブレーンセンター 1984)
- 『韓国人名大事典』(韓国人名大事典編纂室 新丘文化社 1995)
- キーワード
-
- 姓氏-韓国
- 姜(カン)氏
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000049643