『大漢和辞典』(7巻p.901)によれば「玉編」に民の下に日を書く字は「珉」と同じ、意味は<美しい石>とある。読みは、ビン、ミンとあるが、ミンの用例はなし。姓に関する記述は見当たらない。
資料1~3を調査するが、珉姓または珉という姓の人物は見当たらない。
中国語図書では日本語の読みはわからないが、珉姓について知るために『中華姓氏大典』『中国姓氏辞典』『千家姓』など姓に関する辞典類をあたるが「珉」の字は見当たらない。また『中国歴代人名大辞典』など人名事典の類にもなし。
少数民族ではないかと想定し、『中国民族史人物辞典』(RC2822/110/90)をみると、p.384に「珉徳」という人物が出てくる。「明代四川馬湖土官。彝(イ)族」とあり。また『姓氏詞典』(RC2881/9/81)にも、「『明史・巻311』明に珉徳あり」という記述があり、『中国民族史人物辞典』と同じ人物をのせている。
非常に稀な姓のようなので、日本語の表記が出ている資料の探索を断念する。
日本音ではビン(漢音)、ミン(呉音)と読む。中国の事物を日本語で表記する場合は仏教関係を除いて、通常漢音で表記する。
資料4によれば桓武天皇の792年に勅令を以って, 呉音を習うを禁じ、漢音を熟習せしむことが定められて(『日本紀略』による)以来漢籍については次第に漢音に読むことが定着した、とあり。
資料3も「「漢音で統一したが、わが国で一般的になじみの薄い若干の漢音については便宜上呉音または慣用音を記した(例::夢 ボウ→ム 是シ→ゼなど)」と説明している。
以上のことから、「珉」は漢音ビンと読むのが妥当であると考えられる。